性同一性障害の友達は3人ほど自殺しちゃったけど、
その中でも一番思い入れが強い、親友の話。
姉との出合い
昔ネットで交流してた8人ほどの
MTF(男の子から女の子になろうとしてる人)が
オフ会を開こうと話していた。
集まったのは東京神田のファミレス。
写真を見ていた人は詐欺写真テクニックに笑ったり
写真を見たことない人はイメージとのギャップに
みんな和気あいあいリアル対面を楽しんでいた。
恋バナやどんな生活をしているのか、美容話やお悩み相談
きれいとも言えない8人がみんなで盛り上がっていた。
たまたま隣に座ったお姉さんのイントネーションが
似ていることに気付いて出身の話をふってみた。
「*県出身だよ。」
「え!同じ!何市?あたしは*市なの」
「えーー!!!同じ!!何中?」
「*中学卒だよー」
「信じらんない!同じ!」
「何年卒?あたし平成*年」
「4つ下だよ!じゃぁ、*先生知ってる?
文化祭でセーラームンのコスプレした男の先生」
「あたしのときもやってたよ!てか、担任だし…」
「部活の顧問www」
まさかまさかの中学の先輩だった。
それがまさかネットで繋がって東京の神田でお茶してるなんて…
それも二人揃って女の子になろうとしてるとかマジうける。
以来本当に仲良くなって帰ってからもいろんな話を
メールやSkypeで話してた。
故郷の村意識とか傾奇者に対する冷たい扱いとか
お互いに知ってるからこそ相談できた。
本当の姉妹のように仲良く、暇を見ては話をしていた。
東京でシステムエンジニアをしていた彼女(以後姉と呼ぶ)、
職場内で移行生活を始めたけど、始めたばかりで
パス度(望む性の人として見られる程度)が低すぎて
みんなから気持ち悪がられてしまい、
立場がどんどん無くなっていると悩んでいた。
そのまま首を切られホルモンの不安定も重なり悩む。
そんなときに例のオフ会仲間のある一人がMTFを諦め
MTX(男性から中性)になるといい始め、
姉のことが好きだから一緒に暮らそうと呼んだ。
人のペットになる男
行くあてもなくお金にも苦しんでいたから飛び込んだ。
しかし、そのMTXを名乗る奴は
とても危険な奴だった。
言葉巧みに姉の心を支配し、逆らえないようにした。
愛しているという言葉で繋ぎ止めた。
副作用と将来不安から鬱を患う中で
女として愛されるという状況が
どれだけ嬉しかったかは想像に難くない。
どんどん結ばれていく二人。
何も知らない私は姉が幸せならそれでいい…
そう思って見守っていた。
しかし、ある日突然相談された内容にびっくり。
実は奴はヘルス嬢に飼われていたペット
だったのだという。
意味がわからなかった。
人がペット?ちんぷんかんぷん
何とヘルス嬢は言いなりになる男が欲しくて
奴の事をペットにして可愛がっていたのだという。
しばらく仕事で家を空けていたけど戻ってきたのだという。
そんな変なことを受け入れるやつがまともなはずはない。
私もすぐに別れたほうがいいと勧めたけど、
もう冷静な判断ができなくなっていた。
仕事もう見つけられないし、
どう生きていっていいかわかんない。
しばらくは私のことも
面倒見てくれるっていうし…
大丈夫、なんとかやるから。
私自身姉を取り返す経済力もないし、
東京から遠く離れてたし、
私にはどうすることもできなかった。
姉からの連絡は日に日に少なくなり、
しかし鬱病はどんどん悪化していってると聞いた。
明るく元気で知的だった彼女の姿はもう無かった。
薬に依存し、どんどん逃げることもままならなくなり、
そのヘルス嬢のいいなりになって、
自分はペットでいいと言い始めた。
見ていられなかった…
苦しかった…
でも何をしてあげられるかもわからなかった。
どんどん精神は崩壊し始め、
苦しい苦しいと訴えていた。
でも、彼は私を支えてくれるの…
大丈夫、大丈夫、大丈夫
私には何もできない。
亡くなる前にくれた電話
そしてある日、私がバイトから帰ると
姉からの着信があった。
すぐに折り返したらやつが出ていた…
彼女が死んでた…
精神薬と睡眠薬を飲み、
彼がもうすぐ帰るから起きててと連絡したらしく、
眠気どめを飲み、胃薬を飲み、
やっぱり行けなくなったと連絡され、
また入眠剤を飲んだらしい。
多量の薬物を飲んだら(オーバードーズという)
体が拒否できるように吐き気を催す薬が混ざっているが、
それをおさえる胃薬も飲んで耐えようとしていた。
そして毒が回り亡くなった。
冷静さは無かったから自殺ではないとも思った。
しかし、そんなバカな人でもない。頭はいい。
それに、今までそんなオーバードーズはしていなかった。
すべてを終わらせたかったんじゃないか…
死につながるオーバードーズをする前に私に電話をくれた。
最後の救いを求めていたのかもしれない。
それを受けてあげることができなかった。
止めることができたかもしれない。
もっと早く救い出すことができたかもしれない。
そうすれば…
何日も何日も思い出しては泣き続けていた。
後悔ばかり。
地元が同じだからお葬式にいってあげることしかもうできない。
最後を温かく見送りたい…
もうひとり姉と3人で仲良くしてた妹的な子も参列することに。
うちの実家に泊めてあげて式に出た。
そこにはや奴の姿が…
遺族の怒りと奴の奇行
お前のせいで…
そう思いながらも怒りを押し殺し参列。
姉の両親は憔悴しきり。
しかし、仕方ないんだけどあくまでも
女性として生きた歴史をかき消すような式。
姉の実姉が私達のところにやってきた。
最後だけは見送らせてあげるけど、
あなた達のことみんな恨んでるから
弟を返して!
何も言えない…
そう、私達が殺したようなもの。
遺体が焼却炉から帰ってきて
骨を拾うとき、奴はズケズケと拾いに行く。
そして姉の母に何か話していた。
一連の式が終わり帰るとき涙ながらに遺族に深く頭を下げ
退場したが、目も合わせてくれない。
そして、奴は私達のもとにやってきて、
姉の彼氏として彼女の形見に遺骨を分けてほしいと
お願いしてもらってきたことを嬉しそうに語る。
そしてその遺骨を小瓶から出し貪った。
ボリボリボリボリ
スナック菓子でも食べるように…
常軌を逸しているとはこのこと。
人の為せる業ではない。
吐き気がした。怒りに震えた。
恐ろしくて身の毛がよだった。
すぐに妹をつれて去った。
霊
そんなあと、下宿先に夜中に戻ると
ドアの前に姉が立っていた。
青白い色をして、苦しそうに嘔吐をしていた。
助けてくれと目で強く訴えてくる…
そんなはずはないと思いながらも逃げてしまった。
繁華街に逃げ行くあてもなくなった。
小一時間して近くに住んでた大学の男友達に
電話をして一晩だけ助けてもらった。
一晩錯乱し続けた。
友人の家の中なのに、声が聞こえた。
苦しい、苦しいとドアの向こうから聞こえてきた。
事情をしらない友人は迷惑だったろう。
朝までいさせてもらって何とか帰宅。
それからも二三日続いた。
あんな経験したら流石にノイローゼにもなるよなぁ…。
友達に相談したら、彼女巫女の家系らしく
霊媒の力がある知人がいるというので聞いてみるといわれた。
そんな力を私も信じてなかったけど、
目の前に確かに姉がきている。
怖かった。不安だった。
私のせいで死んでしまった…
恨まれていてもおかしくない。
友人から電話が来た。
相手の方からは電話を掛ける前に
すでに霊媒師のところに姉が来てると言われたらしい。
その人が話す内容すべて姉のことだった。
友人にも話してないことを見事に当てていた。
恨みではないこと、しかし変に関わると引っ張られるから
適切に除霊をすればよいと指示を受け
実践したら姿が消えた。
私のことを慕って頼ってやってきた。
大切にしてあげなさい。
そう言われた。
不思議な体験だから何とも言えないけど、本当の話。
以来、実家に帰省をするときはほぼ欠かさず墓参りをしている。
ひまわり
苦しいときも悲しいときもいつでも明るく
優しい笑顔で元気に咲いていて
元気がもらえる。楽しくなる。
ずっとその笑顔を見ていたい。


