今日も朝から満員電車に揺られた。ラッシュアワーの車両は、人と人の体が押し合いへし合い、もはや「密着」が日常だ。
そんな中、私の目の前に座っていた男性。スーツ姿で、見た目はいたって普通のビジネスマンなのに、彼は信じられないことに、足を組んでいた。
組まれたその足が、揺れるたびに、私の足の横を、何度も、軽く、触れていく。
本来、満員電車という空間では絶対に許されない「接触」。
しかし、その行為が、故意なのか無意識なのか判別がつかない。彼は俯いてスマホ画面を見ている。
私は、避けることも、注意することもできない。
彼の組まれた足の、硬い靴の先が、何度も、そして少しずつ強く、私の肌をかすめる。そのたびに、ゾクッとするような微細な電気が走る。
この公然の場で許されない、秘密めいた触れ合いが、私の心をざわつかせる。
普段の私なら、きっと不快感でいっぱいになるはずなのに、今朝の私は、この禁止された「侵入」に、妙な高揚を覚えた。
ああ、この緊張感がたまらない。彼は、この緊迫した密室で、自分の優位性を無意識に主張しているのだろうか。
彼の足が離れるたびに、私は次の接触を期待してしまっている。そんな自分に気づき、思わず体の奥が熱くなった。