外では杖をそっと寄り添わせ、背筋を伸ばして「凛とした女性」を演じている私。
けれど、重い玄関の扉を閉めた瞬間、鎧を脱ぎ捨てるように深い溜息をついてしまいます。
今夜の夕食は、驚くほどズボラなんですよ。
お皿に移すことさえ億劫で、お鍋のままいただく熱々の即席麺。
あるいは、炊き立てのご飯に卵を落としただけの、シンプルすぎる一品。
「はしたない」とお叱りを受けるでしょうか。
でも、超氷河期を懸命に生き抜いてきた私にとって、
この「誰の目も気にしない解放感」こそが、
明日への何よりのエネルギーになるのです。
お行儀よくナイフとフォークを使うよりも、
器から立ち上がる湯気を独り占めする贅沢。
ベランダのハーブをひと千切りして添えるだけで、
安価な食卓も、宇宙で一番豊かなレストランに変わります。
ふと、窓ガラスに映る自分を見つめます。
ゆるりと開いた胸元、火照った頬……。 この飾らない姿を、
「愛おしい」と抱きしめてくださるような、
逞しくて知性溢れる男性がどこかにいらっしゃらないかしら、なんて。
理想の男性に、私の本当の姿を明かす日はまだ先になりそうですが。
今夜は、このズボラな幸せに身を委ねて、ゆっくりと眠りに就きたいと思います。
皆さまの夜も、どうぞ心安らかなものでありますように。
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