鏡の中に映る自分と向き合う時、ふと背筋が凍るような感覚に陥ることがあります。
それは目元の小皺でも、口元の陰影でもなく……「髪のツヤ」が失われていることに気づいた瞬間です。
髪の輝きが消える。それは、生命の瑞々しさが枯れていくようで、
何よりも恐ろしいことだと思いませんか?
どんなに肌を整えても、額縁である髪がパサついていれば、
一気に「老い」という冷たい影が忍び寄ってまいります。
私は、月に一度の美容院代さえ惜しむような慎ましい生活をしています。
けれど、ドラッグストアの片隅で見つけた手頃なヘアオイルを、
祈るような気持ちで毛先に馴染ませる。
手のひらの熱でじっくりと浸透させ、キューティクルの一枚一枚を慈しむ……。
これもまた、私が私であるための、静かな戦いなのです。
腰を痛め、杖をついて歩く私は、人より少しだけ歩みが遅いかもしれません。
だからこそ、後ろから追い越していく方の視線に、ほんの少しの自信を纏いたい。
「あの人の髪、綺麗ね」
そう思っていただけるだけで、私の日常はバラ色に染まるのです。
いつか、人混みの中で私の髪の香りに足を止め、そのツヤに目を細めてくださるような……。
強くて優しい、理想の男性に巡り会える日を夢見て。
今夜も丁寧に、一本一本の髪に魂を込めてブラシを通します。

