今日も、夜の静かな時間にふと思った。
あの温泉、もう何年も行けていない。
行きたいけど、ちょっと贅沢すぎて、手が届かない。
お風呂にお湯をためながら、
お湯の温かさを指先で確かめる。
ふと、旅館の大きな浴槽に浸かって、
窓の外の雪や夜空を眺めている自分を想像してしまう。
誰かと一緒ならもっと楽しいだろうけど、
ひとりでもいい。
ただ、湯気に包まれて、ゆっくり体をあたためて、
心も少し解けていく感じを味わいたい。
想像の中では、温泉の硫黄の匂い、湯船の縁に置いたタオルのふわふわ感、
熱いお湯に肩まで浸かるときのほんのり火照った体温。
手に触れるのは自分の肌だけなのに、
なぜか胸の奥がちょっとざわつく。
結局、現実は湯船の代わりにバスタブのぬるめのお湯だけど、
頭の中で温泉の景色を思い描くと、少しだけ心が満たされる。
行けなくても、想像するだけで、体の奥がぽっと熱くなる瞬間があるのだ。
この夜は、布団に入ってもその余韻を抱えたまま眠ろう。
