だが今はそんな話はいいかと思い、ブリーフィングルームで全員にに今回の仕事の説明をした。
「今回行動するのはココ、チャドの首都であるンジャメナだ。前はゲリラ戦だったが、今度は政府軍からの依頼だ」
「依頼って?」クルーの一人が聞いてきた。
「反政府組織討伐作戦、言うなればゲリラ狩りだな」
「またでっかいのとか来たら困るよ~」桜花が口を挟んだ。瞬殺した人間の言うことではないが。
「大丈夫だ。聞いた事によると、WAP部隊が1個中隊相当だけらしいな」
「それって結構居るじゃないの! 本当にゲリラ?」麗帝は気に食わない顔をして言った。
「そこで、皆に一つ発表がある。新入隊員が入ったので紹介したいと思う」俺はそう言って新面子が入って来るドアを開けた。
入って来たのは、細身で落ち着いていて、顔はいかにも「紳士」の風格を持った男だった……
「皆々様、お早う御座います。新しく劉帝に加入させていただきます、白虎と申します。以後お見知りおきを」
「白虎」は、丁重な挨拶を流れるような口調で話した。
「前置きはいい、まずは装備と役割、そして役に立つかを確かめてねば!」麗帝は、多弁嫌いだった。
「いいでしょう、私は以前テストパイロットをやらせて頂き、装備は主にアタッカー兼スナイパーをやらせて頂きます」
続けて
「もう私は隊長に1対1の勝負形式でテストを受けさせて頂いております。故に今こうしてここにいるのでしょう?」
これには麗帝に限らず、皆も返答に困った。いや、返す言葉が無かった。
「アタッカー兼スパイパーって所の矛盾を説明してくださ~い」柳葉が不思議そうな顔をして質問した。
「えっとですね……つまり片手に狙撃用の大口径ライフルに、もう片手にセイバーを装備してます。ちなみにBPはジェットを扱わせて頂いています」
「せいばー?」「せいばー??」「せいばー???」隊員たちは真新しい単語におののいている様子だった。
「いいよもう俺が説明するから! はい皆一旦お口にチャック! セイバーってのは、簡単に言うと刀だ!」貫禄の説明である。
「かたなって?」しまったと思った……
こいつらは半分以上を言語がギリギリ通じるレベルの外人で構成された部隊という事をすっかり忘れていた。
「刀ってのはな……」と説明しようとした俺の脳裏にある考えが走った。我ながら自惚れのアイデアだ。
「もういい! 今度の戦場で試してみればいい。 それで納得すると思う」
新入隊員紹介は、一部の人間の不満を買ったまま終わった……

ーーーーーーーーーー紳士の鉄拳ーーーーーーーーーーー

「ふああ……」ジンバブエでの戦闘後、俺は疲れた体を癒すために風呂「混浴 大浴場」ののれんを潜り、ゆったりと漬かっていた。
その時、「誰か入ってるんですかぁ~」「はいってるんですかぁ~」二人の女の子の声がした。
「いいよ入って。」軽い気持ちで俺は2人に声をかけた。
「それじゃ遠慮なく~」「なく~」2人の若々しい色白の女体が俺の面前にさらされた。
タオルは巻いているが、下半身を隠しきれていない。
俺のことを異性だと考えていないのだろうか(まぁ悪い話ではないが)。
俺は下半身の魔獣を抑えつつ相変わらずゆったりと入っている素振りをした。
「あの……隊長~」「ちょ~」2人(1人オウム返しもどき)は真剣な表情で聞いてきた。
「私の桜花のパイルバンカーの針の出が悪いんですけど~」「柳葉のリペアBPも結構古いやつだから新品のやつがほしいですよ~」
俺は腹の中で場所と台詞のギャップに苦笑しながら答えた。
「パイルバンカーは装甲の厚い所には差し込めない。この前だって場所が悪かったら差し込めなかったんだぞ!」
この前……つまりジンバブエの大型WAP戦のことである。腹部は装甲が厚いのが当たり前だ。
続けざまに俺は「リペアBPはそのうち買ってやる。だがあれは古くはないぞ! お前の扱いが荒いから直ぐに老朽化するんだ!」
俺は激混じりの答えを出した。
2人は納得した様子でまた湯船に沈んだ。
俺はリペアBPの価格に頭をタオルで掻きながら外に出て行った。
「隊長、もうすぐチャドに着きます」今日もオペレーターの女の子の顔は笑顔を絶やさない。
容姿端麗 花顔柳腰と言って間違いはないだろう。

ブリッジクルーの一人がズームをして敵大型WAPのパイロット席を見た。
「首相!」俺はパイロット席に座っている老獪にむかって叫んだ
「反政府軍などに加担して何になる!?」老けた顔の首相は叫んだ
「金さえもらえれば何でも受けるのが俺らだ! 金は嘘をつかない! 貧乏の爺さんは寝てればいいものを……」俺は皮肉を飛ばした。
「このエクスタシーカリバーは堅牢だ!そんな小さいWAPに何が出来る!」
いかにも爺さんが考えそうな名前だ。
「呆けた老獪! 今砂丘に沈めてやろう!」俺は腹の底から叫んだ。
「今その口を聞けなくしてやろう!」と言って首相は徐々に機体を艦に近づけてきた!
「どうします隊長、4,5番機も出します?」冷静に炎砲は言った。
その時俺は快感タイムが終わった所だった。「いいだろう。勧めたくはないがな……」
4,5番機のパイロットは今風呂に入っていた。双子である彼女らは風呂から出て出撃指令を受けた。
「それじゃ行ってきま~す♪」これが戦闘中でしかも敵が目の前にまで接近している。
しかしそんな状況は関係ない。それが2人のマイペース精神であるという。
 俺はそれがあまり気に食わなかった。
 それが勧めない理由なのだ。
「4番機! 桜花行きます!」「5番機! 柳葉行きます!」
2人は艦を飛び出すなり大型WAPに向かって一直線に突撃していく
少なくとも彼女らに恐れは無かった。
 未だに17、8の少女の動きでは無かった
桜花を踏み台にした柳葉は一気に大型WAP に向かってジャンプして、土手っ腹にパイルバンカーを深々と差し込んだ!
機関部にぐいぐいと針が入っていく。
そしてエクスタシカリバーは下半身の動きを止め、前のめりになって倒れこんだ。
倒れたことによる衝撃で砂が舞う……
俺は倒れこんだ姿を見られないまま爆風の音を聞いた。
動けない機体に2人が止めを刺さないわけが無い。
そんな事はもうとっくに分かっていた。
「よし、帰還しろ。」俺は落ち着きを見せて指令を出した。
誰も居なくなった荒野には大きな黒い金属の塊が煙を上げていた……