「申し訳ありません。少しタイミングが早かったようです。」
そんな問題ではない。あんな遠距離から1個中隊の半数をライフル1発で消し去った……
人間が出来る技なのか。いや、現実に有り得るの事か。
「どうしました? 敵が来ますよ」白虎は続けざまに、そして冷静に言った。まるで何事も無かったかのように。
「お、おう 桜花! 柳葉! やれるか?」期待のこもった質問をした。
「待ってました!」「ました!」自身と気合は十分。
2機は敵WAPが近づいてくる前に一気に接近、リペアBPを背負っているとは思えない動きだ。
そして敵機が銃を構える前にパイルバンカーを敵太股に差し込んだ。
俺のアドバイスがあっての事か、胴体、特に腹部装甲に撃ちこむことを止めたのだ。
流れるような動きで敵を撃破した桜花。
柳葉は、敵とのすれ違いざまに両腕と片足を砕く離れ業をして見せた。
瞬間的に敵機を所謂ダルマにして見せたのだ。
そして振り返り様に背中にパイルバンカーを直撃させた。金属音と針が入る際の耳に障る摩擦音。敵機は轟音と共に爆発
爆風がこちらまで伝わってきたのを確認した
その時だった……
レーダーが地中から巨大な熱源反応を探知した。ジンバブエの時よりも巨大な敵影……
「二人とも退け! 来る!」言い終わらない内に2人はこちらに戻っていた。
敵を察知したらしく、急いでこちらに向かってくる。
「隊長、桜花たちは大丈夫です! それよりも……」
「全機、unknown機に警戒!」砂中から敵はその巨大な姿を太陽の下に晒した。
戦艦(ビック○レー)とWAPを混ぜたような巨大ユニット。
その影は部隊のWAPを全て飲み込んでしまった。
「隊長、ここは私が……」白虎が進み出た。
「どうしたんだ?」白虎が珍しく歯に震えを見せているのを感じた。
「あれは私がテストパイロットだった頃に試運転したことがあります。たしか側面の装甲は薄く、底に移動用ジェネレータがあったはず……」
そう言うなり白虎はライフルを捨て、両手でセイバーを抜刀、刀身が太陽光を反射して眩しく輝いている……
背中のジェットを噴射し、一気に側面に詰め寄った。
そして……
金属が裂ける音
「炎砲!」俺は咄嗟に命令していた。
「あいよ隊長、さぁてと……」炎砲は背中の巡航ミサイルを発射体制にした。
白虎が側面装甲を切り捨てて、起動部が無防備になった。
「発射!」
炎砲は天を劈く音と共に巡航ミサイルを発射した。
元々後ろに待機していた炎砲にとって、敵unknown機は動きの鈍い標的にしかならない。
煙を上げ巨大な鉄の砲弾が発射された。
敵機に一直線に向かった巡航ミサイルは、もう少しで装甲まで到達するだろう。
だが、ミサイルは誘導を曲げることはできない。誤算だ。
正面に命中、正面装甲を爆破するにとどまり、破壊はできなかった。機関部は健在。
その状況を見て、
「ったく、だらしないねぇ。私がいないと何にも出来ないんだから……」麗帝が苛立ちを隠せずに口走った。
麗帝は両手のSGを前面に構え、全力ダーボで剥き出しの機関部に接近
散弾が放たれた
一瞬の事。
金属の弾丸が数十発、心臓部に突き刺さった。天を焦がすような爆風と轟音。
麗帝はその砂煙と煙に巻き込まれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー戦場にてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
炎天下の中、皆額に汗を流しながら出撃準備をしている
「全く、クーラーは!?」うちの女性隊員達の文句が俺の耳に立て続けに入ってくる……
生憎WAP内にクーラーは設置されていないので、隊員達は、艦内のクーラーを受けた後のコックピットは地獄と化す事に散々愚痴った。
俺だってこの猛暑に耐えているというのに。
そんな中 白虎は既に初陣の準備は完了し、落ち着きながらカフェラテを飲んでいた。
WAPほどの長さがあろう大口径ライフル、そして左手には巨大な刀身が眩い光を放っていた。
俺もナックルの代わりにロッドを装着、肩にシールドを付け、猛暑に耐え切れるようにBPは冷却水兼のバーニアに付け替えた。
麗帝機は、機動性確保のためにMGの代わりにSGを装着し、暑さ対策ゼロのBP、大出力ターボを付けた。
炎砲は、肩に敵機を焼くナパーム砲に、複数ロックミサイル、両手にはグレネードランチャー、そして背中には巡航ミサイルらしき巨大な物体を背負った
「まるでハリネズミだな……」と言って炎砲は自分の作ったWAPに対して苦笑していた。
桜花と柳葉は、二人とも暑さに痺れを切らしたらしく、整備を終わらせると風呂に入っていた。
「よし! 桜花と柳葉が戻り次第、索敵と殲滅を行う。乗り込め!」
皆黙々とWAPに乗り込んで、システムを起動する。二機を除いた全機が出撃可能状態になった所で、
「おくれました~」「ました~」相も変わらず人をイライラさせる才能だけは認めてやろうと思う。
2機がバーニアに点火した……
「俺の後ろにつけ。桜花と柳葉はすぐ後をついて来い 麗帝は中央、炎砲と白虎は後方だ。全機、出撃だ!」
5機は一斉に艦から滑るように飛び出した。その時、すぐにレーダーに敵が表示された。
「敵が接近してくるぞ! 迎撃用……」俺がそう口走った時だった。
突然、後ろから耳をつんざく音と一緒に、細長い弾丸が隊の前へと飛び出した。
数秒後、呆気にとられてまだ気分が落ち着いていない俺は、レーダーに目をやった。
すると、敵反応の約半数が消滅している!
「あ……」俺はある予感がし、すぐに後ろを向いた。
予感は当たっていた
白虎機のライフルの大きな口が、煙を上げていた……