---------------------------------------紳士よ永遠なれ----------------------------------
柳葉の反対を押し切って、俺達は早々と黒井少佐の作戦に協力することにした
所詮は傭兵。情より金で動く
そんな物は周知の事実。裏切りなんて茶飯事だ
とにかく汚く生きてきた。柳葉はその現実から目を背けて、周りに付和雷同していた
だからこそ、今回は義やら温情にほだされたのだ
俺達は部屋で作戦の裏を合わせに行った
予測していたかの様にドアの前に置かれていた黒井少佐の電話番号を書き記したメモ…
しかし、部屋のアナウンスが掛かった
「劉帝! ブリーフィングルームに集合せよ!」
いかつい女性の声だ
すっかり回復した麗帝を半ば介抱するように抱き起こし、俺達は廊下を早歩きで移動した
「隊長…」麗帝が何か言いかけた
少し額をそちらに向けた
麗帝はうつむいて、「何でもないです」の一言…
同じように柳葉は顔を落とし、半ば釈然としない形相で歩いていた
仕方ないか…何度も言うが少女なのだからな
ブリーフィングルームに到着
司令は言った
「それでは、早速お前達に働いてもらおう!」軽い笑みを浮かべる
「ミンダナオ島に民間機を装って進入して来た連中の飛行機が不時着した。恐らく狙いはわが軍の弾薬倉庫だろう
破壊用のWAPも積んでいるはずだ! 出撃して破壊しろ!」
未だに表面上は雇われているのだ
全員が意気揚々と返事をした「応!」
俺達はハンガーに向かった
ハンガーには今までのみすぼらしい姿とは大違いの、新品同然の装甲と、鮮明なカラーリングが施されていた
艦、WAP共々にカスタムしたらしい。整備長が言った
「どうです?日本軍から提供された装備は? 一応F-5ハンドロッドも最新式のアゴーニFに換装済みです」
アジア方面基地の丁寧な整備にはいつになっても脱帽物だ
いつもなら在り合わせの備品を適当に武器に組み込むような、いつ爆発してもおかしくない装備を用意する整備屋もいた
有難い事この上ない
「すまんな…遠慮なく使わせてもらうぞ」笑みを浮かべた俺の口
全員に命令を飛ばす
「では、我々劉帝は、ミンダナオ島に急ぐ! 出撃するぞ!」
「はぁーい!」旅行気分なのかこいつらは…
反面で仕事していてくれるなら、それでいいのだが
何故か釈然としない…いつも…
心に半分の闇を抱えたまま、俺達は艦に乗り、ブリーフィングルームを見渡した
蟻一匹とて歩く姿は見られなかった
「おぉ~!」はしゃぐ桜花
いつもは鸚鵡の様に続く柳葉だが、今日はそこまで乗り気では無いらしい
無理も無いが…
ふと時計を見ると、もう既に時間は押していた
こうしている間に、弾薬庫が破壊されでもしたら目も当てられない
「全機乗り込め! 仕事するぞ!」
恒例の返事は問題なく聞こえた…
コクピットにはあろう事かクーラーが設置済みだった
亜熱帯のジャングルを進むときには、正しく楽園である
「何だ、やけに気が利く整備屋だったなぁ!」気分が良いのか、はたまた酒が残っているのか、炎砲は上機嫌だ
柳葉が少し編隊から遅れている…
俺の心の闇は消えなかった
ミンダナオ島に上陸した俺達は、早速基地長官と話をした
「現在、ここから北西に、民間機のエマージェンシー信号を発信したままの機体がある」
「これは確率として、反政府軍である可能性が極めて濃厚である、至急破壊してくれ」
俺は耳を疑った
「おい! まだ確信が無いのに、随分と決め付けてくれるじゃねぇか!」俺より先に炎砲が出てきた
司令は反駁する
「よく考えて見ろ、ここまでしつこくエマージェンシーが、墜落した民間機に出せると思うか? 追加装甲でも無ければ、燃え尽きているだろう?」
炎砲は黙った
確かにこの状況下では、今の司令の言葉もまぁ分かる
結果論から言ってみて、司令は何かと理由をかこつけて、正体も分からない敵を掃討せよと言いたいのだ
無理難題を押し付けるのはどこの軍隊も変わりはしない…
日本軍を除いては…
数分か
はたまた十数分か
炎砲と司令の言い合いは続いた
だが司令も一介の軍人だ。渋々炎砲が引き下がり、俺達はデッキに搭乗した
「隊長…確かに俺達は傭兵だ! だが人間でもあるんだ! 早く日本軍に行きたいぜ…」怒り心頭の様子
ただ皆々炎砲の愚痴をデッキで聞いていた
空気に痺れを切らしたのは柳葉だった
「もう行きましょうよ…あの人も大変なんですから…」限界まで和を保ちつつ、宥めようとしているのは目に見えている
必死な心遣いが多少なりとも届いたのか、皆一同黙ってWAPに乗り込んだ
こんな編隊で出撃したらゲリラとて全滅しかねない
一筋の不安と汗が頬を伝った
「ぼやいてても埒開かないぜ! これより劉帝は恐らく民間機に偽装しているであろう敵ゲリラ軍を徹底的に叩く!」
まとめる意味も多少こめて、檄を飛ばした
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーcomander Kuroi------------------------------
マナロ司令と面を合わせてから約半日
ご丁寧にもこの軍基地には温泉施設も備えてあると教えてもらった。
その言葉を聞いて満面の笑みを浮かべたのがうちの双子だった
無邪気な子供のように一直線に「温泉」との暖簾をくぐった
その後から俺達が歩いていた
「なんかこうして見ると、私達夫婦みたいですね。」麗帝が顔を赤らめる
百戦錬磨の鬼傭兵と言えども、やはり人間であった
俺は同じく唇を広げて見せた
「ところで麗帝…」この空気なら言えると確信した。
「俺はあの2人に1度で良いからお兄ちゃんと呼ばれて見たいんだが…」
目の前を一閃の影が走る
その瞬間に案の定と言った所か、ブーツの踵が突き刺さった
「この色情魔め…空気をどうしてくれるんですか?」
仰る通りです申し訳ありません
と口を開かせるまもなく数分間程失神していた…
目が覚めた時、俺は通路に置き去りにされていた
そこまで嫌わなくても良いだろうに
半ば目覚めない俺の耳に入る
「たいちょ~早く来てくださいよ! ここジャグジーも付いてますよ~!」
とても18の少女達には見えないほどのオープンマイルドさだ
脱衣室に入る前にスーツを脱ぎ始めた
そういう事象を見ていると、妹というニュアンスは捨てきれなかった。
いつの日か…
改めて湯船はこれ程まで日々の疲れを取ってくれるのかと思う
このまま昇天してしまいそうだった
しかし何故混浴なのだろう
精神的に休めない気がする
俺の両脇には2人の少女。遠巻きに鬼の形相で見てくる女性がいる
疲れが取れるという発言を撤回しよう
限界まで神経が磨り減る…
間近は天使が浮いているというのに、足を伸ばしたら冥界に行ってしまいそうだ
だが不可抗力というものは恐ろしい
丁度俺の座っているところがジャグジーの泡が放出される場所だったのだろう
双子はさらに俺に近寄ると、股体を曝け出す開放的な座り方で泡を浴びた
「いい気分ですぅ~」「ふぇぇ~」品の有無より、俺は2人の無防備さに心から感謝した
黒髪のいい香りが俺を包んだ
それと同時に、おぞましい瘴気が、全身を刺した
原因は分かっている。
正直、不可抗力よりも別のベクトルで恐ろしかった
「たいちょ~ どうしたんですかぁ?」兵士としての神懸った神経をここでも使ってほしかった
俺は何も言わず、目の前の女性を指差した
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!」「ひぃぃ!」
やはり麗帝は色々と無敵だ…
この鈍感に関しては最強のいっちょ噛みの2人を戦慄させるとは…
正直。いつ後ろから誤射されても文句が付けられないかもしれない
俺は半ば現実から目をそらすように少し遠くに目を移した
「よぉ隊長! 盛ってるねぇ!」大柄の炎砲が他人事の様に言う
心は日本人といったところか
かぶれとしか思えない
情景とマッチングすることは認めるが
この国で杯に一升瓶で酒盛りとは…
言語よりも習慣の方に関心がいっているのか
少しは隊員とのコミュニケーションも考えてほしい物だ
しかしこっちの天国地獄を境目に見ることが出来る湯船とはかなり格差があるように見えた
炎砲のいるところがたぶん天国だろう
心中で代わってくれと何度も叫んだ
さらに他人事の様に細身の紳士は浸かっている
だが湯船でコーヒーは無いだろうコーヒーは
変な形での和洋折衷はしないでほしかった
少なくとも日本人の俺としては
遠くから見下したような目でこちら凝視している白虎
「隊長…ずいぶんとお盛んですね」
もう少しマシな言葉を選べなかったのだろうか…
現実から目を背けて尚現実を知らされるとは
精神的に八方塞だ…
しかもさっきから瘴気が一段と強くなってきている
ついに桜花と柳葉は俺にすがりついて震えだした
目にはうすら涙が浮かんでいる
最早温泉どころでは無いので、俺は瘴気の根源に対して口を開いた
「麗帝…これは不可抗力なんだから、そこまで気にするなよ」口元がおぼつかない
麗帝は何も言わずにお湯を吹っかけた
かかった直後の俺の顔はなんとみすぼらしい
本当に歴戦の傭兵なのかと自分で疑った
そこで2人が
「れーちゃん! これは私達が隊長を単純に好きだってことだよ!」
もろ火に油、いやニトログリセリンをマッサージチェアに乗せるぐらいの危なっかしい発言をした桜花
続いて
「そーだよ! れーちゃんが嫉妬してるだけじゃない! 何で勝手におこってるの?」
完璧に死を覚悟した
恐らくこの場合だけは、俺が2人をたぶらかしたと見えるんだろう
とんだ勘違いだ
しかしそれが案外とお嬢には効いたようで
彼女の周りから殺気と瘴気が引いてきたように感じた
無言で麗帝は湯船に頭まで沈むと、そのまま浮き上って来なくなった
最初1分は羞恥心かその類を隠しているのかと思った
だが4分もすると流石にまずいかという空気が漂ってきた
俗に言う「ベタなパターン」という奴だが、実際問題洒落にはならなかった
俺と桜花は風呂に沈んだ麗帝を急いでタイルの縁まで引き上げ、寝かせておいた
おそらく俺に呪詛を送っているときに精神力を使いすぎたのだろう
そこまで嫉妬心が強いとはとても思えなかった
「総員引き上げだ…飯の準備が出来たらしい」碌々と命令した
麗帝を全員で持ち上げ、部屋まで戻ると、その様子を看ていた…
部屋の外から靴音がした
俺達は基地の中でも端っこの方の部屋を与えられたため、ここまで人が来るとは珍しい
靴音はノックの音に変わった
俺は飯やら何やらの類と思い、ドアを開けた
俺の目の前には、飯ではなく軍人が立っていた
顔つきからして日本人であろう。日本軍のコマンダースーツと中柄の体格もそれを物語っている
しかしそのオーラには圧倒される物があった
どうしてこの国に着てから、司令と言い何といい神経をすり減らすことばっかりが起こるのだろう
俺の体の中の不条理を噛締めていると
「お前が呉龍か?」
名乗りもせずに身元を聞いてきた
俺は小さく頷いた
「そうか…思ったより小さいな…」
ただ単に馬鹿にしに来たならお断りだと叫んでやりたいが
逆に慇懃無礼な態度よりはマシか
「いや、別にそれを言いに来たのではない。俺は日本軍の黒井と言う者だ。」
風貌だけでとったら、典型的な「軍人」だろう
しかしその形相はおよそ軍人と呼べるものが少ない気もした
日本人独特の顔つきといったらいいのか
だが、目線だけは真っ直ぐで、俺達には重要な事情を伝えてきたように見えた
実質そうであろう
「日本軍生え抜きのコマンダーが、こんな傭兵部隊に何の用だ?」若干であるが、皮肉交じりの言葉を飛ばす
黒井は言った
「今ゲリラの活動が活発化しているだろう? 俺達はフィリピンの海底油田の権益のために、将兵を散らすことは無いと思っているのだ」
続けて
「日本軍は表面上はこの国に加勢しているが、内面的にはかなり険悪なのは知っているだろう?」
確かに、今までのフィリピンとかはMIDAS騒動等々で軋轢が絶えてないのは知っていた
しかし、反政府軍鎮圧作戦にも地下ではこのような話が起こっていたとは…
俺が口をあけるより先に、寝床の麗帝が口を先にあけた
おぼつかない様子で言った
「要するに…来て早々、裏切れって…事か?」
頭がろくに回らない状態にしては、ずいぶんと核心を突いている
黒井は重い口をあけ始めた
具体的な作戦を言っている
「まず、俺の部隊、つまり日本軍関東機械化大隊第1,2,3師団が、ルソン島のミサイル基地を破壊し、それを反政府軍の仕業に見せる。
さらに、反政府軍と政府軍は恐らくバタンガス市で戦闘になるだろうから、その隙に海底油田を奪取。その後、消耗した政府軍を叩く…」
完璧だ
アリの穴も開かない、鉄壁の作戦だ
しかし俺には疑問に感じる
「何故、そんな大事な作戦情報を、どこの馬の骨か知らない傭兵部隊なんぞに教えるんだ? 俺には今一道理が分からないぞ」
当然ともとれる質問をした
黒井は少し笑んで
「お前達だからこそ、この情報を漏らしたんだ。協力するか協力しないかは、お前次第だ。一応決行は明後日の夜01:30だ…」
と、捨て台詞を残してもと来た廊下をカツカツと歩いていった
どうすればいいのだろう
一応傭兵部隊とは言え、人間として義理という物がある
俺には到底決められなかった
優柔不断は本来戦場では即死に繋がる致命的なミスだが、今はそんな物には構っていなかった
皆の意見を仰ぐことにした
まずは炎砲
元々楽観的な上、豪胆なので、戦場の空気さえ体感できればなんでも良いのかと思った
しかし蓋を開けてみると、案外とナーバスらしく、真剣に腰を落として悩んでいた
だがすぐに立ち上がった。そして
「俺達の本来の目的は協力なんかじゃなくて金だったろう? だったら金蔓につられて動くのは傭兵の本分じゃないのか?」
一理
白虎にも聞いた
白虎も大凡同じようなことを考えていたらしく
「ふむ…元々命を危険にさらしてまでフィリピンに節を屈する事はないのかもしれません…」
次は双子
「う~ん…桜花はお金がほしいから、お金のあるほうに行く!」
しかし柳葉は
「でも、マナロさんに悪いんじゃ…」
確かに司令には恩らしき物はある
しかし俺達も何度も言うが傭兵だ、態々リスクとリターンのバランスを考えずとも、どちらにつくかは分かっている
柳葉はまだ傭兵になりきれていないのだろうか
兵士としては完璧だが…
柳葉にとっては、引き金を引くよりも数倍重い決断だったのだろう
ともかく最後に麗帝に訊く事にした
「あたしは…傭兵としての矜持を持つよ…日本軍の肩を持つ…」
俺の針の振れは一部を除き、全て日本軍に加勢することに振れた
ただ1人。柳葉を除いては・・・
ヴァリアントの全銃口から数十発の砲弾とミサイルが発射され、爆音が装甲越しに伝わって来た…
思わず俺は耳を塞ぎ、煙に巻かれた…
どうやら追加改造をしたらしい、いつも以上に耳をつんざかれそうだ
だが、その音と煙を物ともせずに突っ込んでいく機体を真横に目視した
真紅のジャウアー…麗帝機だ
「どうせ残弾はあった物じゃない! なら一点突破で町まで行くしか無いじゃない!」
こういう時の向こう見ずの特攻力は流石麗帝だと思わせるものがある
だがその威勢もすぐに消し飛んだ
炎砲の放った弾丸が敵中隊に直撃したのだ
地響きが数キロ先まで伝わった
麗帝機は大きく膝からバランスを崩し、転んだ
「向こう見ずもいいが、煙の中突っ込むのは自殺行為だろ お前傭兵何年目だ!」
たまには俺だって激ぐらい飛ばす。まずは仲間の命が最優先であるからだ
そのために多少理性を失うのも仕方ない
麗帝機は何も言わずに態勢を立て直し、敵陣に突っ込んでいった
何を思ったか…
ひとまず感傷に浸る前に敵陣を突破することが先決だった
丁度煙は敵の目を欺くようにいい煙幕の役割を果たしていた
ベテラン傭兵の俺たちには茶番にもならない煙だが。
「少し反動が大きすぎたな…安定しないな」爆心地のくせに何を暢気な事を言っているのだか
前面のガスト部隊がいたはずの所には何も見えない
炎砲機にもそれなりの応酬はあったらしいが
まずRとの戦闘で大破して間もない状態で戦闘しようという性根が信じられなかったが…
艦に後続命令を出した
ひとまず戦闘は終了
予想だとここはルソン島付近のマニラに到着しているはずだが
それ以前にWAPで市街地を横行していい物なのかマナーとして…
WAPは通常の機動兵器と何ら遜色無い大きさだが、民間人だらけの町では予想以上に目立つ
「隊長! 看板見てください!」
桜花に指摘された目線の先には、「マニラ」と日本語表記で書いてあった
良心的なグローバル社会だ
とりあえずこの町は補給拠点としてもOCUの前線基地としても、重要な役割を担っている
また、政府軍の占領下にあるため、ゲリラはここまで追撃してこれない
表情に幾許かの緩みがあった
その時、黒のボディに黄色いラインが入った、やけに尖ったデザインのWAPが数機、俺の目の前を通り過ぎた
俺はOCUの機体には疎かったので、白虎に質問した
「あのフォルムは陣陽ですね。 決して強い機体とは言い難いですけど、コストパフォーマンスが優秀なんですよ。
コストは恐らく隊長のレイブンの4分の1で作れますし、その割には各国の量産型WAPと互角に戦える能力がありますね」
流石は元テストパイロットと言った所か、求められた以上の回答をしてくれた。
それにしてもコストの割には軽快な機動性だ、下手すると基本BP性能は量産機最強かも知れない
考えている合間に、市街地を4機の陣陽は滑っていった…
「たいちょ~温泉入りましょうよ~」
桜花は自分の機体より風呂の方が優先なのか
しかし砂漠 海 ジャングルと来て亜熱帯の市街地
体からはかぐわしい異臭がしている。
俺は桜花に対して初めてといっていいほど同情に近い意を覚えた
「待て待て、補給基地に着いたら風呂でもどこでも自由行動だから、それまで我慢してくれ」
諭すように俺は言った
そして5分間程周りの目に機体を晒しながら移動していると、何やら軍事基地のような建物が見えてきた
一見工場の様だが、明らかに軍備が厳重な上に、日本軍は私的な工場を守らないはずであるからだ。
俺たちは艦にWAPを収容すると、工場警備の兵士に話しかけた
「貴様ら何者だ?」まぁ当然返って来るべき質問だろう
俺は何も言わずに劉帝のエンブレムである、朱雀の文様を差し出した。
警備兵達は扉を開け、手のひらを返した様に迎え入れた
これには俺をときたま馬鹿にしたような目で見てくる麗帝も、俺の威厳というものを感じたんだろう。
半ば感嘆したような様子で俺の背中を見た。
艦をハンガーに入れるように言っておき、俺たちはフィリピン軍司令の部屋まで歩いた
ブリーフィングルームに司令はいた。
俺は目を疑った
束ねられた黒髪、すんなりとした容姿、そして胸の膨らみ…
「何だ? このような役職の人間が女では不満か?」しかも俺の気持ちまで察している
俺は感じた。出来る…
俺たちからしたら、雇う人間は聡明なほうが良いので、特に文句は無かった。
性別など二の次だ
男であろうが女であろうが、戦場では1人の人間でしかない。
俺はひとまず事情と加勢の都度を伝えた。
「いいだろう。補給基地でも風呂でも何でも使え。だがきっちり仕事はしてもらうぞ。」
それを承知の上で来ているのだろう、傭兵に対しては愚問だな
「では、今からはこのマナロ=フェリペナスの命令に従って貰う! 異論はないな?」
全員が答えた「応!」