「作れば、彼はやって来る。」
映画「フィールド・オブ・ドリームス」は、ケビン・コスナーが天らの声を聴き、とうもろこし畑を野球場に作り変えることによって起こる奇跡を描いたファンタジーだ。
この工房を作ったとき、いつか仲間たちが集まってくれたらいいなと、思っていた。
でも、フリーで仕事をしている仲間たちはそれぞれが忙しく、仕事以外で顔を合わせることはほとんどないから、わざわざここに来ることなんて、遠い先だと思っていた。
「今まで、色んなピアノ工房に行きましたが、一番居心地と雰囲気がいいですよ。」
「ジブリの舞台みたい」
「すごく温かい工房ですね。」
「とても綺麗な工房だね。」
「高永さんと小久保さんの人柄が表れている工房だなと感じました。」
みんな温かい言葉をくださった。
「工房の内装が、個性的だったので、お花はそれに合うようにシンプルなアレンジにしてもらいました。」
ほのかなグリーンの紫陽花が入ったシンプルで上品に飾られたお花が、彼らから届いた。
「彼が来るから、作れ。」
ではなくて、
「作れば、彼はやって来る」
優しい色合いの花と、ピアノの周りで突如始まった技術研修会の様子を見ながら、
いつか、色んな人たちがここに集まってくる、そんな奇跡の前触れを
僕は感じていた。