🎵壁に二つの影が映っている
子と母の二つの影が映っている
子は母に話しながら 母は子にうなずきながら
ぼくには愛が二つの
ゴムまりになったように見える
愛について考えることで 二人は結ばれている 🎵
調律しているとき、庭先でお客様と小さな娘さんが遊んでいる姿を、カーテン越しに眺めながら、矢野顕子さんの「愛について」を思い出していた。
「3人でオムライスを食べようよ!」
3歳の女の子が誘ってくれた。
「遠い実家からこのピアノが来た時、いつか持ってきたいという夢が叶って、涙が出てきたんですよ。」
お客様はそう言って、綺麗な音になったピアノの鍵盤を愛おしそうに優しく触れた。
🎵つかまえた、と壁に映った子の影が言う
つかまえた、と壁に映った母の影が言う
子と母は 家へ帰って行く
つかまえた、とつぶやく二つの影を
道ばたの壁の上に残して🎵