伐採跡地の遺跡に行って見ると、ギボウシの花が咲いていました。
この遺跡も見つけて二年に成りますが、まだ教育委員会に報告していません。
昔この様な事が有りました。

国の道路建設用地で石器を見つけ教育委員会に届出たのですが、しばらく放置されていました。
現場確認がされたのは、私が再び蜜柑箱に詰めた遺物を持ち込だ時です。
その時には工事が進み、遺構や遺跡はほとんど破壊されていました。
不信感を持ったのは、「やっぱり遺跡が有ったのかな」「あまり騒がないで欲しい」と言われたことです。
本来ならば遺跡を探して保護する立場の市と県の担当者の発言ですから、驚いたのは言うまでも有りません。
また、現場で立会った若い職員からは「県では遺物はここに移動して来たものと考えている」と話されました。
「どういう事?」「現場も見ずに遺物の写真だけで、なぜ判断出来るのしょう?」
私は土地所有者の知人から、ここは笹薮のうえ氏神様も祀られていたため長い間土が動いていない事を確認していました。遺物が出たのは地面が掘削された所で、土砂の搬入や埋立も行われていません。
ただ、専門家の見解ですから、何か根拠が有るのだろうと思っていたのですが・・。

この道路は、遺跡区域の片隅を横切る形で計画されました。
その為道路建設に当たっては、事前に遺跡が埋もれていないか試掘する調査が必要になります。
調査費用は原因者負担ですから国土交通省が支払いますが、元は税金です。
ここで県が二年に渡って調査しましたが、何も出て来ませんでした。
私が遺物を見つけたのは、その結果を基に既に工事が着手された後です。
希少な遺物や遺構でも発見されない限り、工事に影響を与えるとは考えられません。
では、市や県はなぜこのようなことを言ったのでしょう。
今では全国の遺跡発掘調査報告書の一部が、インターネットで読めるようになりました。
そこで、この調査報告書を探し読んでみました。

調査は「トレンチ」という細長い溝を、地中に何本も掘り確認します。
ここで二十数本掘られたトレンチのどれ一つからも、遺物や遺構は確認出来なかったとされていました。
広大な面積のごく一部の調査ですから、例え遺構や遺物が発見出来なかったとしても、このこと自体問題では有りません。
このトレンチの位置を確認したところ、やはり私が遺物を見つけた所は調査されていませんでした。
ただ、この中で2つのトレンチからのみ旧表土が検出されていました。
一つは私が石器を見つけた所に最も近いものです。
あと数mも掘れば遺物は出たはずで、当然ですが遺物は最初からここに埋まっていたのです。
また、調査結果のまとめには「・・・調査地の小丘陵の西緩斜面は自然傾斜地であり・・・縄文時代の貝塚や遺構は南部の丘陵平坦部と東斜面に広がるものと考える」と記載されています。
西緩斜面は道路が通る中心部で、私が遺物を見つけた所です。
その後も丘陵西側で幾つか遺物を採集していますから、実態とはかけ離れた調査報告と成っています。
また、通常工事中に遺物が出て来れば、短期間でも工事を停止し調査されるものですが、その形跡も無いのです。

推測に過ぎませんが、何も無かったと報告した場所から、大量の遺物が出て来られては面目が立ちません。
何より「ずさんな調査で着工し遺跡が破壊された」との批判もされかねません。
この「不都合な真実」が、公になることを避けたかったのでしょうか。
埋蔵文化財担当者ならば、この仕事に誇りと情熱を持って取り組んでいるものと思っていましたが、例外も有るのかもしれません。
過って世間を騒がせた「旧石器遺跡ねつ造」と言う事件が有りましたが、私が読んだ本には次の様に書かれていました。

「考古学が大古の昔の人々の考えや生活を、地中の真実に基づき明らかにするものならば、発掘の事実を作為的に表現してはならないし、まして偽りの発掘などは許されるものでは無いのは言うまでも有りません。
それ故、それに関わる人達には、真摯で高潔な生き方が求められているのです。」