
宮城県石巻市泉沢貝塚出土遮光器土偶
私が石器や土器に興味を持ったのは、道路工事現場で見つけた土器がきっかけです。
ただこの土器は後から、それほど古いものでは無いと分かりました。
その道路は数年前に開通しましたから、私の知識はその程度のものです。
その際、土器を見つけた土地の所有者である知人から「大きな石の下から出て来た銅剣」と「蔵の下に埋まっていた埴輪」の話を聞きました。
「銅剣」は祟りが怖いので前の場所に埋めていたところ造成工事で行方不明に、「埴輪」は複数有ったそうですが、盗難に会ったと言う事です。

知人は高齢ながら地域の名士で、家は何十代も続く旧家ですから信頼が置けます。
近くに縄文の遺跡と古墳らしきものが有りますから、真実に違いないと思いました。
いずれ、工事で破壊される場所です。
知人の了解を得て、探して見ることにしました。
最初は何も発見出来なかったのですが、ある日、重機で押され大量の円礫が現れました。
その日を境に、石斧や石棒などの石器が出て来たのです。

今思えば、これら大量の円礫は「集石遺構」か「川原石積古墳」だったと思いますが、その時は知る故も有りません。
須恵器の破片や錆びた金属片も見つかりましたが、古墳由来のものかどうかは判りません。
土器片は僅かに出ましたが、埴輪や土偶らしきものは有りませんでした。
埴輪が見つかれば、太平洋沿岸最北と成るのですが、近くには縄文遺跡が在りますから、大型土偶の可能性も有ると思いました。
そこで、知人に埴輪と土偶の写真を見せたのですが、ハッキリしません。

岩手県藤沢町相ノ沢出土遮光器土偶
隣県ながら隣町の遺跡では、「遮光器土偶」を含む多数の土偶が見つかっています。
「遮光器土偶」は、ゴーグルを被った様なあの宇宙人に似た土偶です。
亀ヶ岡のものが有名ですから、主に青森や岩手で見つかるものと思っていましたが、私の住む宮城でも幾つも見つかっています。

宮城県大崎市恵比須田出土遮光器土偶(レプリカ)
最近「蓑虫放浪」と言う本を読んだのですが、この中で隣市で発見された「遮光器土偶」の話が書かれていました。
「蓑虫山人」は、幕末から明治に全国を放浪した絵師で、縄文の遺物の発見や収集をしたことで知られています。
蓑虫が「遮光器土偶」の所有者に懇願しなんとか手にいれるのですが、それを援助したのが友人の本家(親戚)の人と分かり驚きました。

この土偶は大型で破損も無く、今残っていれば間違いなく重文級と言われています。
ただ、残念ながら今は行方不明なのです。
この「遮光器土偶」のことは、隣市の市史にも載っていて知ってはいましたが、関係者が私の町の人とは知りませんでした。

行方不明の遮光器土偶
昔の市町の境界は現在とは異なっていた様ですし、関係者は全てこの町の人ですから、「遮光器土偶」は隣市では無く、本当はこの町で出土したものではないかと思っています。
いずれにせよ、隣接する二地域で「遮光器土偶」が見つかっていますから、ここでも見つかってもおかしく有りません。
それで私は、小さな土器片でも「土偶や埴輪の一部でないか?」とよく確認するのですが、未だ欠片すら見つけられません。