小林克也が司会の『ベストヒットUSA』という番組があって、わりと楽しみにしている。
特徴としては、エレクトロ・ダンスのはびこる退屈なチャートと、思いがけない過去のアーティストの意外な近況の組み合わせが、なかなか面白い。
先日は、産業ロックの代表格(自称「クラシック・ロック」)とされるジャーニー(Journey)のヴォーカルが現在スティーブ・ペリーではなくなっており、そのかわりに非常に小柄なフィリピン人・ピネダ君になっている、ということを教えられた。
これが、心とろかすウルトラ美声の持ち主で、「消臭力~♪」のミゲル君も顔負けだというので、驚嘆と同時に、感心させられっぱなしだったね。
一世を風靡した大バンドが、こんな(というと語弊があるが)ボーカルをスカウトするとは……
しかし、これはこれで、ジャーニーの世界(アジア?)ツアー戦略の一環として、賢明な策だったろう。
この手のバンドにありがちな「白人臭さ」も緩和されている。
そういえば、日系アメリカ人がボーカルの、フーバスタンク(Hoobastank)というロック・バンドもいるが、それよりももっと意外性がある。
あと、フィリピン系といえば、トロ・イ・モワ(Toro y Moi)というエレクトロ・ファンク男も、近年、話題を集めているらしく、「ベストヒットUSA」でも取り上げられたことがあった。
この日は番組内で、ファルコ(FALCO、1957-1998、享年40歳)の回顧もあり、名曲というか異端の極み「ロック・ミー・アマデウス」(1985年)のPVが流れ、またまた面白かった。
そして、小林克也いわく、スムーズ・ラップとは別の潮流が、このドイツ語ラップによって打ち立てられた可能性もあったのだ、という。
なるほど。ありえたかもしれない歴史に思いを馳せることに……
しかし、ファルコのこの曲はドイツ語ならではの引きつった硬直的なリズム感があり、この方法論がインターナショナルに普及しえたかとなると、別問題だろう。
日本語ラップには、ボヤボヤした生温いくぐもった響きある。悪くいえば、歯切れが悪いのが特色。そこに、エグみのあるファルコ的な方法論を導入できたか、どうか。
♪エァヴァインプンカ、ンデァレプテ、ンデァゴセンシュタッ、…
また、「ロック・ミー・アマデウス」の内容も、そう簡単には真似できない良さ・強みがあった。
つまり、オーストリア人が、自国の偉人(クラシック作曲家)をパロディーにしているのだ。
しかも、自国のコトバで。
伝統あるオーストリアだからできる離れ業(ほとんど1回限りの)であり、歴史の浅いアメリカには真似できないし、クラシック音楽の偉人がいない日本人にも、この世界観をどう模倣するべきか、可能か否か、定かではない。
パロディの対象がなければ、意味がないし、インパクトもないのだから。
ファルコ(本名=ヨハン・ヘルツェル)の死についても、このたびウィキペディアで調べて、あらためて詳しく分かった。ドミニカに移住していたファルコは、ディスコの駐車場から三菱パジェロに乗って出ようとしたところを、猛スピードで走って来たバスの激突を食らって即死したという。
バスの運転手は事故の責任を負い、ファルコの遺体からは、アルコール、コカインおよびマリファナが検出されたらしい。
なるほどなあ。
アルバムセールスは、トータル2000万枚、シングルは1500万枚という。