双葉町、浪江町、飯舘村の6地点から微量のプルトニウム2 件が検出されたと、
文科省が2011年9月30日明らかにした。正確にはかなり前に検出していたのを
漸く発表したのだ。

下記の通りプルトニウムの出すα線は吸収されやすいので検出率は非常に低い。
ほっとスポットが随所に有る可能性が大きい。

2011年3月28日 東電は原発敷地内の土壌中でプルトニウムを検出したと
発表した。

実はこの発表の直前までプルトニウムは無かったわけではなく、測って
いなかったと云う。そのことはWikipediaの
 福島第一原子力発電所事故
に記されている3月27日までの核種にプルトニウムが入っていないことで
判る。(元データは東電のプレスリリースと思われる)

フリージャーナリストの上杉隆氏の追求によって東電はその事実を認め
測定を開始したと、本日(3/29)TBSの「小島慶子のキラキラ」で上杉氏が
語っていた。そして同氏はTBSにより、俄に番組から降ろされてしまった。

TBSは東電や電気事業連合会からの圧力に屈したのだろう。

上杉氏によれば東電社長は測っていない理由は「α線測器が無い」からだと
云ったらしい。本当だったら法律違反だろう。口から出任せに決まっている。

プルトニウムの放射線は数cmの空気で遮られるので、地面の
一番上に有ってさえ車上や人が携帯している測定器では存在が
判らない。通常発表されるSv値にはプルトニウムの分は入って
いない。正確に測定するには土の化学分析が必要だろう


数cmの空気、紙一枚でも防げると云うことは人体に完全に吸収されることを
意味する。だから汚染されていても外からは判らない。生物学的半減期が20
-50年と長く体内に蓄積され人体に深刻な影響を与え続ける。セシウム137の
100-200日、沃素131の8日とは桁が違うのだ。

 体内に入ったプルトニウムについて云われていることは、
 どうやって確認されたのだろうか?

  存在すら判りにくいので動きは把握困難だと思うのだが・・・。

 

幸い化合物が水には溶けにくいから、経口摂取の可能性は大きくない。万一
食べてしまっても吸収されにくい。怖いのは水素爆発で微細な粉末が飛散した
場合に吸い込んで呼吸器系、消化器系に蓄積されることだ。一旦体内に入れば
微量でも非常に怖い核種であり、無害だと云うのは嘘だ。現状ではすぐに吸入、
発癌ということは無いと思われるが、水素爆発が繰り返された場合には注意が
必要だ。

グランドや畠では埃となって舞い上がり吸い込まれる可能性が有るので怖い。


この危険な核種プルトニウムを測定していなかった筈は無い。隠していたと
考えるべきだ。妙に厳しい野菜の出荷制限の裏にプルトニウムが有ると思う
のは考えすぎだろうか?

体内汚染については別の記事を見て欲しい。


だがMOX燃料は融点が低いので今回のような事故では一番熔け出しやすい。
いま洩れ出ているのは3号炉のMOX燃料ではあるまいか?

なお、プルトニウムのような半減期の長い物質の場合、
動物実験は不可能である。寿命が影響が現れるまでの
時間より遥かに短いからだ。
Wikipediaの記事によれば米国では人体実験を行ったと云う。


このように危険なプルトニウムだが、それ自体よりもMOX燃料に
入れたものが変化して出来るアクチニウムやキュリウムなどは
酸に溶けるので更に厄介である。

エアラインでの中性子線被曝で、プルトニウムが
 体内で核分裂
それで中性子が出来るので連鎖反応も有りうる?

これはヤバイかも!(コンコルドは一段と)

今日で悲しい大天災と絶対安全を主張しながら信じられない程の怠慢と不注意さ
から東電が起こした未曾有の大人災から半年になった。

奇しくもあの9.11からも10年になったが、これについての論評は避けたい。
3000年前はこの辺は俺達の土地だったと云って乗り込んで、暴力的な国を造った
人々を応援した(恐らくしないわけには行かなかった)ことが根本原因だとだけは
云って置こう。

今回の地震と津波は、どうやら1100年程前(平安朝時代)に同じようなものが
有ったらしい。→貞観津波

つまり今回津波の被害を受けた場所は1100年程前に同じような憂き目を見て
いたのだ。恐らく長い間人はそう云う危ない場所には住まなかっただろう。何か
しら危うさを伝える昔話が伝えられていただろう。三陸海岸についてはより短い
間隔で大津波が襲来する。リアス式海岸は津波地震で形成されたものなのだ。

だが、喉元過ぎればの例え通り、いつしか伝承は忘れられ、人が住み着き、町が
出来てしまい、そして災いがやって来る。

悲しいことだ。

気仙沼出身の有名人で「明治三陸津波」と云う本を買って有ったのに読んでなか
ったと云う人の話をラジオで聴いた。それ程危機意識が希薄だったのだ。だから
38mまで到達した津波のことも知らなかったらしい。気仙沼に住むと云うことが
何を意味するか、読んでいれば気付いていただろうに・・・・。

この大津波は1896年、115年しか経っていないが恐怖の記憶は風化していたのだ。
貞観津波の教訓が生かされなかったのも無理は無い。

この風化は自然に起きたものだけではなく、人為的に起こされた面もあるようだ。
今回、早くも陸上に乗り上げた船を「残すな」と主張する人が少なくないと云う。

だが、今回の規模の大地震が1000年に一度という保証は無いのだ。今回も注意は
「東海南海連動大地震」にだけ振り向けられ、その分「東北は未だ大丈夫だ」と
云う暗黙の楽観論が頭に有った人が多いだろう。プレートのマップを見れば東海
南海ではプレート境界が陸に近いので、プレート沈降が測定可能だっただけだと
云えそうだ。

坂上田村麻呂が征夷大将軍になったのが797年だから、800年以前には東北地方は
おろか関東地方の情報だって入ってこなかっただろう。1000年に一度と云う話は
割り引いて考えなければなるまい。

東海南海連動大地震らしきものが684年に有ったらしい。その数年前に大規模な
津波地震が東北地方で有ったかも知れない。

原発は絶対安全と云いながら記録のある貞観津波と同規模の津波をあり得ないと
考えて対応策を取らなかった東電幹部の罪は大きい。
津波は普通の波とは違い、底から天辺まで一体で押し寄せるそうだ。
そのスピードは地形にもよるが秒速8-10m、時速で30km位だ
そうだ。(沖では時速700km、陸地に近づくと摩擦で遅くなる)

 700kmが30kmに落ちるということは通り道の海底が
 掘り起こされることを意味する。その部分が隆起した
 のがリアス式の海岸だろう。


何百両もの電車かダンプカーか戦車が、3段積み、4段積みの集団で
時速30kmで次々に突っ込んで来るようなものらしい。2~5階建ての
公団住宅が何百、何千と密集隊形でやってくると云っても良いだろう。

その行く手を防潮堤で遮ればどうなるか。陸前高田の防潮堤のように
頑丈で壊れにくい堤防状のものであれば、後から押されるので、よじ
登って超えてしまう。「明治三陸津波」では海抜38.2m地点に達した。
そして今回も37.6m地点まで押し登ったという。北海道西南沖地震でも
奥尻島で最高で海抜30mまで登ってきた。津波そのものの波高が38mとか
30mも有った訳ではなく、行く手に山が有れば後から押されて登るのだ。
普通の波のように山が一つだけ移動するのではなく、巨大台地が移動
するようなものだからである。

登れなければ後から来るものが立ち往生した先行車両の上に乗り上げ
2倍とか3倍の高さになる。それで津波の威力は防潮堤が無い場合の
4倍、9倍になり、防潮堤を粉砕するだろう。

台風で発生する高波には有効な防潮堤も大津波に対してはむしろ有害
ではないだろうか。

作るなら信玄堤のように受け流す形の物を何段にも重ね、最後に高い
ものを置くと云う形でないといけないだろう。自然に逆らうのは良くない
と云うか無駄なのだ。

参考 ジャンボ機250機分の波、世界一の防波堤破壊

静岡では幅40m、扉高9.3mの巨大水門を作ったそうだが、頼りすぎ
ては危ないと思う。個人的見解では、これで防げるのはせいぜい3m
迄の津波だろう。

あれから半年、あちこちで防潮堤建設の話が出ているようだが、良く
良く考えて貰いたい。
1)地域別に測定値が発表されているシーベルト/時(Sv/hr)

 これは測定器の表示するカウント/分(cpm)に換算・補正係数を掛けて
 算出した値。だから吸入摂取、経口摂取の区別は無い。

  γ線にしか通用しない係数と思われる(メーカ資料で判断)

 測定位置は恐らく地上1メートル程度(車上または手持ち)。原発構内
 では常設モニタリングポストでこれも地上1メートル程度。

  幼児への影響を考えるなら地上すれすれの値も見たい。

 これで測っているのは

  1A) 空間を飛び交う、恐らく地面から来る放射線
  1B) 空気中のちりや水蒸気に含まれる物質、ガスの放射能

 地上1mでは1Bは半分以下だろう。
 1Aは表面被曝、1Bは吸入被曝。

 50cmで測って1mでの値の4倍に近ければ、地面からの放射線(1A)が
 多いことになる。逆に云うと

  1mでの値ー50cmでの値/4

 が1Bと考えて良いだろう。

 なお放射線量は線源からの距離にの2乗に反比例するので、地面に
 密着させての測定をするとすれば、ある程度広い範囲に亘って行い、
 その平均値を出さないとまずい。

 キュリウムなどのα線、ストロンチウムなどのβ線は空気中でもすぐに
 減衰するので含まれていない。ヨウ素131もβ線は入っていない。

 従って内部被曝の評価には使えない。



2)食品や飲料水のベクレル値(キログラムまたはリットル当り)に
   実効線量係数(吸引摂取と経口摂取で異なる)
  なるものを掛けて出す値。

   この係数はいかにももっともそうな計算をして算定している
   ものだが、検証は全然されていない。

   同位体の化学的性質は同じはずなのに係数に違いがある。
   ストロンチウム90とストロンチウム89の場合、原子量が
   1しか違わないので、化学的性質に大きな違いは無いと
   思われ、生涯被曝量はSr89の方が大きいのに、実効線量
   係数が1桁違うのは全然納得が行かない。(Sr90>Sr89)

   体内での50年間の影響を考慮して出しているので、数年
   程度の期間での影響評価には本質的に不適当である。

   飲み水や食品について「シーベルト」が登場したらこれだ。

3)医療機器被曝でのシーベルト
 
  医療機器はグレイが基本で、1グレイ=0.8シーベルトで換算
  している模様。

  CTスキャンを含むX線被曝は透視できるのだから体への影響は
  線量の割りには少ない。にも拘わらず発癌誘発が疑われている。
  これと比較して良いのは1Aだけ。
核実験で有名になったストロンチウム90と兄弟分Sr89が検出された。
浪江町ではSr90が250Bq/kg、Sr89が1500Bq/kgだという・
ここ
更に→ここ

浪江町のSr89の線量1500Bq/Kgは数年間でその約6,000,000倍になる
ことをを考えると大変な量だ。Sr90の250Bq/kgも半減期が長いので
生涯での被曝量としては1000,000,000倍にもなるので大変な量だ。

それで驚いてはいけない。
 原発内ではSr89が19000Bq/l、90が6300Bq/l!
空気、排液。排水、排気中についてはBq/lでなくBq/ccなので記事を読む
時には注意して欲しい。
 →ここ

いずれも骨に沈着して白血病を招く恐ろしい核種で高エネルギーで
「遅延効果」のあるβ-線をを出すのが気になる点だ。

Sr90は半減期が長いので放射能は小さいが、なかなか減衰しない。
それに対しSr89は半減期が短いので放射能は大きいが数年で微弱に
なる。両方セットで出てくるので短期的にも長期的にも大問題だ。
ヨウ素131なんかめじゃあないのだ。そう云う危険なものを今まで
隠していたのは犯罪的だ。

核実験の時には日本に届く頃には89の方は減衰していた。しかし
今回はどんどん出ている模様。3月の爆発で出たのなら4倍ほど
有った筈だが

浪江町の土壌1kg分の放射線量をシーベルト値換算すると
 Sr89の1500Bq 1500X5.6×10^-6mSv/h=約8.4μSv/h
 Sr90の250Bq 250X7.7×10^-5mSv/h=19.25μSv/h
となるが、これだとSr90の時間当りの被曝量がSr89より大きくなる。
これは全くおかしな話で、同じβ線だから1500Bqは250Bqの6倍の
影響を人体に与える筈だ。

そもそも1gの放射性物質が放射線総量は1gに含まれる原子数であり、
それはSr89の方が多いのだから、長期間での被曝量でもSr89の方が
上になる。それなのにSr89の実効線量係数が5.6×10^-6mSv、Sr90
のそれが250X7.7×10^-5と云うのは全く変だ。

要するに「実効線量」は非常に長い期間での影響度を示すもので
あるから、累積値には意味があるかもしれないが、時間当りの
放射線の強度(時間当り線量)と強い相関を持っていそうな発癌率
などを評価するのに適当な指標とは思えない上、こう云う怪しい
点があるので信用しない方が良さそうだ。

また発表されているSv値は何かという疑問もある。測定に使われる
ガイガーカウンタなどは放射線によって起きる電離現象をカウント
しているだけなので、測れるのはシーベルト値ではなく、グレイ値
だろう。測定器は放射線を出している物質を識別するわけではない
ので、出しているシーベルト値はグレイ値そのままの筈だ。




Sr89は崩壊後ルビジウム89とイットリウム89になる。(割合は不明)
Sr90は100%がイットリウム90になる。イットリウムは放射能が無く
ても肺疾患の原因になるらしい。

初期放射能
 ストロンチウム90 5.089x10^12Bq/g 半減期 28.9年
 ネプツニウム239 8.580x10^12Bq/g 半減期 2356日
 ストロンチウム89 1.075x10^15Bq/g 半減期 50.52日
 沃素131     4.553x10^15Bq/g 半減期 8.1日

生涯被曝量
 ストロンチウム90 β 5.852x10^21カウント/g 半減期 28.9年
  イットリウム90 β 5.843x10^21カウント/g(Sr) 半減期 58.5(二次崩壊)
 沃素131     β 4.597x10^21カウント/g 半減期 8.1日
  キセノン131m  β 4.597x10^21カウント/g 半減期 11.74日(二次崩壊)
 ストロンチウム89 β 6.766x10^21カウント/g 半減期 50.52日
  ルビジウム89  ε 6.766x10^21カウント/g 半減期 15.5分(二次崩壊)


核種別放射能と生涯被曝量


4月12日にも浪江町で検出されていたのを見逃していた。orz
ここ

3号炉で使用中のMOX燃料のプルトニウムは7割がアメリシウム241や
キュリウム242/244などになる。詳しいことはここの表1で。


半減期が163日のキュリウム242は、摂取すると、最大の体内被曝を
受けることになるだろう。

 放射能はヨウ素131の1/38で半減期が20倍、放射線の影響度がα線
 なので少なくとも20倍。総合で10倍以上!

 ところがWHO飲料水質ガイドライン(日本水道協会)の203ページ
 ではキュリウム242の上限がヨウ素131と同じ10Bq/Lになっている。
 (暫定基準値では1Bq/kg)
 


キュリウム242の実効線量係数は次の通り。出典はここの別表2

 すべての化合物 吸入摂取 3.7×10^-3 経口摂取 1.2×10^-5

因みにヨウ素131では
 ヨウ化メチル以外の化合物 吸入摂取 2.2×10^-5 経口摂取 1.1×10^-5

吸入摂取の係数がヨウ素131より小さいのは、どう考えても変だ。また
経口摂取の係数より吸入摂取の係数が小さいのもあかしい。まあ実効
線量係数なんてそんなものだと思えばよいのだが。



熱水や酸に溶けるのでプルトニウムより拡散しやすく、プルトニウムと
同様に線量計で捉えにくい。塩酸に溶けるので経口摂取でも腸から吸収
され、人体組織に蓄積されるので、プルトニウムより危険と思われる。
放射能だけでなく鉛の親戚みたいな元素なので鉛中毒のような恐ろしい
害があるかも知れない。

これらはウラニウムやプルトニウムと同様にα線を出して崩壊するが、
出来たものも放射能を持ち、人間の寿命に比べれば無限と云って良い
期間、放射線を出し続ける。これについては、Wikipediaの崩壊系列
ネプツニウム系列を見て貰いたい。

ハンフォード再処理工場で起きた大量の241Amによる人体汚染事故の場合、
被曝後11年後に病死した遺体では90%骨に、5%が肝臓に、4%が筋肉と脂肪に
集まっていたと云う。半減期が432年と長いので放射能は弱く、幸いにも
癌にはならなかった。体調に影響が無かった筈はないが、はっきりしない。
このケースは硝酸に溶けたものを顔面に浴びたと云う。出典はここ

被爆時には64才、死亡時75才だが、被曝後の11年間の健康状態は不明だ。

胎児、乳幼児、青少年の摂取は避けなければなるまい。

3号炉がメルトダウンしていたことが漸く明らかにされた。
幾ら水を注入してもだだ洩れになることも判っていた筈だ。

そして既にアメリシウム241とキュリウムは敷地内で検出
されている。ここ

いずれ格納容器も大破して、プルトニウム、アメリシウム、
キュリウムが露出するだろう。
ウラニウム、プルトニウムなどα線を出す放射性物質(アクチノイドと呼ぶ)は、
一回放射線を出して終わりではなく、10回以上の崩壊を経て最終的には鉛の
安定同位体(質量数205~208)になる。鉛になる迄に
 (最初の物質の質量数-205)/4(小数点以下切捨)回
α線を出し、その間に数回β線も出す。

だから、アクチノイドはキュリウム242のように半減期が短い物でも、完全に
安定するには長期間掛かり、しかも最終的には猛毒である鉛になるのだから、
体内に取り込むことは避けなければならない。


α線は質量数が4なので一回のα崩壊で質量数は4減る。故に上記の崩壊列で
出来る物質の質量数を4で除した剰余(あまり)は変わらない。この剰余により
アクチノイドの崩壊は
 4n+0 トリウム系列
 4n+1 ネプツニウム系列
 4n+2 ウラン系列(ラジウム系列)
 4n+3 アクチニウム系列
と云う4つの「崩壊系列」に分類されている。

多段崩壊での放射線量計算
---------------------------------------------------------------------
多段崩壊での放射線量計算

アクチノイド汚染
--------------------------------------------------------------------
アクチノイドは事故が起きない限り広い範囲にまき散らされることは無い。
使用済み燃料に含まれるアクチノイドの量についてはここの表1を見て
貰いたい。この表の単位はMCi=ラジウム1トンの放射能だが、サイクル
辺りの線量なのだろうか、その辺は良く判らない。

福島ではプルトニウム、ウラン、キュリウム、アメリシウムが放出された。
それらの中で人体への影響が大きいと思われるのはキュリウム242である。
それ以外は半減期が長いので線量計算では無視しても構わない。



キュリウム242とそれが崩壊して出来るプルトニウム238はウラン系列に無く、
プルトニウム238が崩壊して出来るウラン234から記載されているが、プルト
ニウム238の半減期は長いのでこれ以下を無視しても被曝量に大きな誤差は
出ない。(健康に影響しないと云うことではない)


 キュリウム242 α 163日→プルトニウム238 α 87.74年

次の核種も使用済み燃料に含まれる。

 キュリウム243 α 29.1年 →(推定)プルトニウム239 α 8.08x10^7年
 キュリウム244 α 18.1年 →プルトニウム240 α 6564年
 キュリウム248 α 3.4x10^5年 →プルトニウム244 α 8x10^6年
 ネプツニウム239 β 2356日 →プルトニウム239 α 24110年
 プルトニウム241 14.1年
   99.9975% β →アメリシウム241 432.2年
   0.0025% α →ウラン237 6.75日 α →ネプツニウム237 2144000年

  
ネプツニウム239はアクチニウム系列のメンバーだがα崩壊でなくβ崩壊
してプルトニウム239半減期24110年になる。

プルトニウム241は微量がα崩壊してウラン237になり、殆どがβ崩壊して
アメリシウム241になる。ウラン237は微量なので無視しても良く、アメリ
シウム241は半減期が非常に長いので被曝量は非常に小さい。


α線は数cmの空気で遮断されるのでカウンタによる測定では検出できない。
二次崩壊以降で発生するβ線、γ線をカウントしてもヨウ素131の出すものと
区別出来ないので正確なα線量を得るのは難しい。α崩壊するアクチノイドに
ついては、化学分析により含有量を求めることが必要だ。


アクチノイドの中で一番危険と思われるのはキュリウム242だ。MOX
燃料が入っている炉で事故が起こると水蒸気などに入って放出される。


半減期は163日で質量が大きいので放射能はヨウ素131の1/38だがヨウ素131の
出すβ線の20倍も人体への影響度が大きいと云われるα線をヨウ素131の20倍
もの長期間出し続けるから、ヨウ素131の10倍の影響を人体に与える。しかも、
水にも溶けるので体内に取り込まれ易いから非常に危険だ。

キュリウム244もセシウム137より危険な核種であるが、量も放射能もCm242に
比べると大幅に小さいので無視しても良いだろう。


なお、ウラン238の崩壊過程にあるラドン222は5日以内にα崩壊、β崩壊を
何回もした後に鉛210になる。非常に半減期の短い中間物質を経由するので、
放射能が強い上、人体に極めて有害な鉛として長期間存在するので非常に
危険だ。飲んだり吸い込むことは良くないと思う。
ウラン系列図


初期物質の原子量をWとすると
 原子重量g w=W・1.660538782×10^-27・1000
 原子数 N=1/w


初期物質・の原子数をX、崩壊定数をr1
第1段崩壊後の物質Yの原子数をY、崩壊定数をr2

とする。(崩壊定数はln2/半減期)

第1段
dX/dt=-r1・X(t)
→X(t)=N・e^(-r1・t)

第2段
dY/dt=-r2・Y(t)+r1・X(t)
→Y(t)=r1・N・(e^(-r1・t)/(r2-r1)+e^(-r2・t)/(r1-r2))
   =r1・N/(r2-r1)・(e^(-r1・t)-e^(-r2・t))
放射線崩壊の数学による
 →齋藤和男氏によるその元ネタ数理地理演習-17回答

この式はr2=r1だと使えないがr2=r1+εとして

Y(t)=r1・N・(e^(-r1・t)-e^(-r2・t))/ε
=r1・N・e^(-r1・t)・(1-e^(-ε・t))/ε

ここでεをゼロに限りなく近づけると

Y(t)≒r1×N・e^(-r1・t)・ε・t/ε
  =r1×N・e^(-r1・t)・t


となるので、これを使う。
r1に比べて十分に小さな値をεとしr2=r1+εとして計算しても良い。


時刻tまでの放射線量は
 第1段 N-X(t)
 第2段 N-Y(t)
である。


3段目以降は当面使用しないので省略。


計算例
 60年被曝量
  沃素131      β 4.597x10^21カウント/g 半減期 8.1日
   キセノン131m  β 4.597x10^21カウント/g(I) 半減期 11.74日(二次崩壊)
  キュリウム242   α 2.488・10^21カウント/g 半減期 163日
   プルトニウム238 α 0.932・10^21カウント/g(Cm) 半減期 87.7年(二次崩壊)
  ストロンチウム89 β 6.766x10^21カウント/g 半減期 50.52日
   ルビジウム89  β 6.766x10^21カウント/g(Sr) 半減期 15.5分(二次崩壊)
  ストロンチウム90 β 5.852x10^21カウント/g 半減期 28.9年
   イットリウム90 β 5.843x10^21カウント/g(Sr) 半減期 58.5日(二次崩壊)
 60年後の残留原子数
  キュリウム242   α 0.000・10^21/g 半減期 163日
   プルトニウム238 α 1.557・10^21/g(Cm) 半減期 87.7年(二次崩壊)
失敗1 歴史に学ばない
--------------------------------------------------------------
西暦869年の貞観地震で今回のような津波が有った

と云うことは社内でも指摘する者がいたのに、そんなお伽話みたいな事に
金が出せるかと却下したらしい。

そして貞観地震についての公式の場での2年前の警告をも黙殺。
その結果、多くの人々に被害を及ぼし、数兆円の損失を招いた。

しかも事故発生後も迅速適切な手を打たなかった。ここを見よう。


関連サイト
(総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 耐震・構造設計小委員会 地震・津波、地質・地盤合同WG(第32回)議事録)

しかも
 東電、貞観大津波も過小評価か 4メートル未満と推定
と云う記事を見つけた。震災前に出したというが、それは
どう考えても怪しい。

 想定外の自然災害だった

との主張を何とか証明したくて震災後に出したのではないか?
そして津波についての「想定」もはっきりしない。

 3.122mという記事
 5.7mという記事

自然災害についての記録が有れば、それを上廻る規模で再現されると
考えなければならないのに、1000年以上前の記録なんかは夢のような
ものだと嘲笑った幹部がいたらしい。まさに愚か者だ。

地震や津波については間が長くあけばあくほど巨大なものが来ると
覚悟すべきだ。1000年以上前の記録があるなら、明日にでももっと
巨きなのが起きるかも知れないと、恐れなければならなかったのだ。

実際には東電も想定外の津波が来る可能性も知っていた。→ここ

それが現実になった場合の損害は評価しなかったのだろうか?


失敗2 周辺軽視
--------------------------------------------------------------
原子炉は電気が無ければ爆発する。
 「絶対に安全です」
と云うなら、電源は絶対に失ってはいけない。
非常時の海水組み上げポンプも同様だ。

それなのに、
 非常用発電機、ポンプ、重油タンクを低い位置に配置。
 全部で1台しか予備の発電機を置かなかった。
 最後の頼みの綱、電源車はケーブルが合わなかった。

要するに津波が入ってきたら終りと云う造りだった。



失敗3 不十分な危機管理
--------------------------------------------------------------
電源が落ちたら
 バッテリー動作
 それが切れたら非常用電源
 それが駄目なら電源車
 それも駄目なら
  ベント解放
  非常注水、水素爆発予防措置
  ・・・

電源車の所でケーブルコネクタが合わないため接続に数時間。
つまり訓練でここ迄はやっていなかった。

ベント解放で電気が来ていないと弁が動かないことに気付く。
開けるまでに長時間。これも訓練していれば判った筈。

水素爆発対策は4号炉までやられて初めて思いついた模様、

その後も何をやる場合も駄目だったらどうするか考えてない
ような印象が強い。
今迄ニュースやネットの動画を見ていて、3号炉に関するニュースに
違和感を感じていた。炉外で起きていた火災が何故起きたのかが全く
説明されていなかったからだ。

どうも冷却プールが地震か水素爆発で壊れて水が減ったためプールの
中で再臨界が起きた可能性があるらしい。

炉内でも再臨界が起きていないとは断定できないようだ。

但し、1~2号炉では再臨界が起きてもウラン235の含有量が少ない
ので、間欠的なものになるらしい。

問題は3号炉でMOX燃料が壊れてプルトニウムだけが圧力容器の中で
熔落した場合である。融点が低いのであり得ないことではない。

臨界量が僅か16kgなので、炉底で核分裂が始まるかも知れない。
その確率は限り無く小さいと思うが、ゼロではなさそうだ。

爆弾のように密封されていないからプルトニウムは吹き飛ばされる
ので。爆弾級の爆発は起きない。水蒸気爆発か水素爆発止まりだ。