国土交通省が設置した『鉄道分野のGX(グリーン・トランスフォーメーション)に関する官民研究会』は2025年9月8日、鉄道分野における脱炭素化の基本的考え方をまとめた。鉄道車両の高効率化や、次世代燃料を利用した車両・設備の導入、再生可能エネルギー導入の拡大などが盛り込まれている。
これは主要な鉄道事業者に対し"省エネの徹底"などを求めるということ。電車の制御装置を最新式のものへと更新し、2035年度までに非VVVF車両および初期のVVVF車両(GTO方式)の置き換えを原則として完了させようというのだ。
では対象となるのは何か。とりあえず今回の記載では概ね5~8大都市圏のJR,大手私鉄,地下鉄の電車を対象とした。おそらく今回求められる主要鉄道事業者の定義も、それで一致するのだろう。では、JRにおける置き換え対象について…。
JR北海道721系0番台
既報のとおり6両編成から置き換えが進められ、2025年度までは川崎車両。2026年からは日立製作所が製造し投入する。国土交通省による通達目標の対象が含まれるのは3両編成であり、2027年度から日立製作所が製造することとなった。
JR北海道785系
諸都合から5両編成が2本だけ残っており、この度置き換え用車両の入札要件等についてJR北海道から公表された。今回記載した対象にならない789系0番台についてもおそらく含まれており、今後の入札によって車両設計等が決まっていくのだろう。
JR東日本719系5000番台
厳密にいうと仙台近郊かどうかグレーながら、仙台近郊区間に含まれることなどから対象とした。
山形新幹線の線路を走行するため標準軌となっており、開業時から使用されているため老朽化も顕著になっている。少なからず置き換え計画は進んでいると思われるが、投入すべきはE721系5000番台。後述する長野地区向けの3ドア車両と車体を共有するのだ。
JR東日本211系
甲府~長野地区へは4ドアのE131系が投入されることとなった。3両編成を連ねて6両にすることができ、6両編成もそこそこ有していることから3両編成だろう。編成数はこれまで投入された地区よりかなり多くなる。
ただ2両編成は3ドアで定着していることやワンマン運転を行っていること、3両編成もJR東海やしなの鉄道と関係があり3ドアのほうが都合良い。このため4ドアのE131系と機器を共有しつつ、3ドアのE129系としても投入するのだ。ドア数問わず、3両編成でのワンマンも考慮しているかと。
また高崎地区へも4ドアのE131系として投入されることとなりそう。それこそ先に投入された宇都宮地区の3両編成と共通化させ、宇都宮地区の編成を単純増備することも視野に入るか。4両編成がある分どうするか。
JR東海213系5000番台
既に一般車両(電車)の置き換えが進んだJR東海で、残る"対象車両"は飯田線の213系のみとなった。武豊線などでは4両編成の投入で輸送増強も図られ、外れた2両編成の313系が飯田線へ回ることで置き換えている。詳細は別記事にて。
JR東海373系
一般車両の統一に続いて特急車両となるのだろう。JR東海では身延線や飯田線にも特急が走っており、短編成で必要とされる。このためこちらも新車ということにはなるのだろう。別件で長大な編成を組む車両も考えており、そちらと共通化するということに…?こちらも詳細は別記事にて。
JR東海383系
中央西線の特急『しなの』は既報のとおり385系への置き換えが決定しており、先行編成がいつ登場するのかということ。機器類の基本設計は315系電車をベースにするものと思われ、383系と同等な振り子装置も進化させて搭載される。
次は西日本…、なのだが結構量が多いので次回へ回すとしたい。
(つづく)