ここからご覧いただくのは陸羽西線(奥の細道最上川ライン)が、鳴子温泉から新庄まで通じていた当時の内容と車窓である。2025年現在は災害により寸断されており、以前から通過需要が小さかったことで存続危機にも瀕していた。復旧はすることとなったものの時期が判明できていない。
 

2019年7月22日(月)午後1時17分 山形県最上郡最上町/堺田駅


29.鳴子温泉13:05発→新庄14:09着 普通725D/新庄行き キハ110-243
 堺田は相対式ホームの痕跡が残っている。この付近が県境になり、分水嶺でもある。山形県は日本海側となるため、川の流れも日本海…。
もも「アンタ無理しないで休んだら?」


 左側がまた開けてきた。雨は降っておらず、遠くの空が明るい。天気も太平洋側から逆転してきたのだろうか。


 橋を渡って最上に停車。反対側に入ってきたのはキハ110系列でも、標準的なカラーリングを纏っている車両。そちらは同じ小牛田に所属する編成でも、石巻線で運用されるイメージが強くこちらでは新鮮に映る。
もも「あ、そう?逆があるならいいじゃん。」


 鳴子温泉から乗り進めていくうち、山から結構下ってきたのだろう。雲は相変わらず厚く、山々を覆っている。


 鵜杉の近くは山々が近くに見られる。晴れていればまた、違った風景になるに違いない。
もも「じゃあ、次来た時ってんでしょ。」
めぐ「…そういうわけにもいかないのよ。結構ここまで遠かったじゃん?」


 川沿い道と共に進んでいく陸羽東線。路面は乾いており、やはり雨は降っていないとわかる。この道はどこからどこを結ぶのか。国道47号が、確か並行していたはずだ。
もも「で、また何。原付がどうとかって?」
めぐ「ここまで来ちゃうとね…。」


 瀬見温泉まで来たところ。入浴後であったため眠気も誘い、ここまでの行程において寝る時間もあまりなかったものだ。路線愛称たる"湯けむり"は、まだまだ途切れそうにない。


 南新庄を出ると、電化された線路が並走してくる。さあ、もうすぐ新庄だ。電車に乗り換え山形まで南下するところ、スピード感も変わってくることだろう。それこそ新幹線開業前の北陸本線が、妙に速く感じた当時の…。
なぎ「北陸がどうかしたか?」
もも「あ、起きてた。」


 64分で新庄に到着。奥羽本線の途切れた部分を通路としており、ホーム位置が少々離れても段差なく乗り換えられる構造だ。
さく「階段使わなくていいもん。楽だよ。」
もも「はいはい、わかったわかった。時間は?」


 秋田方向と陸羽東線、陸羽西線は狭軌となっている。調べればその昔、両路線を介する寝台列車がいたらしい。ここまで乗ってきたキハ110は折り返さず、陸羽西線で酒田に向かうようだ。また陸羽西線は2022年5月以降、沿線で工事のため運休。2026年1月に再開する予定となった。
もも「何、あっち行きかかったの?」
めぐ「いや、別に今日じゃなくていいんだけど。」


 対する山形、福島方向は標準軌。新幹線特急と普通では発着ホームが分けられ、前者は中間改札も設けられている。
さく「本当、よくできてるよ。ぶった切ったところそのまま歩くって。」


30.新庄14:18発→山形15:32着 普通1440M/山形行き クモハ701-5504
 乗り込む普通はオールロングシートの701系にして、ライトの位置やドアステップがないことなど専用設計になる5500番台。実態としては秋田新幹線(田沢湖線)向けの5000番台に準じており、ボックスシートは搭載されなかったことが相違点となろう。


 発車してしばらくは先程の非電化単線と並走。こうして見れば標準軌と狭軌、それぞれ幅が異なっているとわかる。
さく「それこそ秋田の。」
もも「そういやあったわね、新幹線の。」


 上を高規格道路が跨いでいる。後から調べれば国道47号バイパスであり、自動車専用だったそう。
さく「調べてよ。」
もも「たまにはさ…。」


 南新庄は電化された標準軌のこちらにホームがなく、非電化狭軌の陸羽東線がそのまま単線で離れていく。しばらくして奥羽本線は複線になった。


 カーブはそれなりに多いものの、先程が最高速度の低い非電化路線であったもの。軽量車体を持つ電車で最高速度も高く、余計に速く感じられる。
なぎ「ああ、だからさっき北陸って?」
めぐ「そうそう。さっきまであんま速くなくて、こっち速いじゃん。」


 そのまま単線になっており、北大石田は片面にしかホームがない。無人駅でも待合所のデザインが凝ったものとなれば、降りずとも印象に残るだろう。
めぐ「…降りないけど?」
もも「…別に何も言ってないけど?」


 新幹線特急の停車する大石田は、相対式ホームを持つ一線スルー構造の駅。待避しない列車が、駅舎に近いほうへ進んでいく。


 袖崎の付近、工事中の東北中央自動車道が見られるのはそう長くないはず。
もも「結局道路か、どっち好きよ?」
めぐ「まあ、道路は動画もあるし。」
なぎ「動画ってな…。」

 東北中央自動車道は2019年12月に相馬ジャンクションから相馬山上、2020年8月には伊達桑折から桑折ジャンクションが開通。2021年4月の霊山から伊達桑折が開通したことによって、常磐自動車道と東北自動車道が結ばれることとなった。

 山形県でも2021年12月に村山本飯田から大石田村山、2022年10月は東根北から村山本飯田が開通。11月には新庄鮭川から新庄真室川が開通しており、2025年現在は相馬から新庄真室川まで東北自動車道を挟んで直通している。


 村山は新幹線特急が停車するため、2面3線式ホームと橋上駅舎を持つなど立派な造り。ここでそこそこな数の客が乗車してきた。


 東根は新幹線特急が通過し、ホーム1本だけの無人駅に収まっている。市名を単独で冠する駅だけあって、調べれば在来線時代に特急も一部停車していたそうで…。
さく「…はい。」
なぎ「いや、こっち振るなよ。」


 さくらんぼ東根は新幹線特急が停車し、相対式ホームと橋上駅舎を持つ。ここでは反対方向からの列車を待つため、しばらく停車。
もも「気分転換ね、またいつもの大事な。」


 乗客も入れ替わり、新幹線車両が入ると発車となる。山形から天童に停車してきた新幹線特急は、村山,大石田,新庄の順に停車していく。
(つづく)