※以下、2023年に構想していたものを記載します。
2023年現在、中部国際空港への鉄道ルートは名鉄常滑線~空港線のみとなっている。よく比較される成田国際空港や関西国際空港は鉄道ルートを複数有しており、片方に輸送障害が生じてもある程度は代替できるとされた。
このため中部国際空港でも、現行ルートを代替する新経路。並びに名鉄空港線を保有する第3セクター会社にJR東海も出資していることから、JR東海との直通を見据えた"新経路"が少なからず求められていた。そこで今回は名古屋臨海鉄道を旅客併用化し、中部国際空港ルートを机上で形成させてみよう。
JR東海の東海道本線、笠寺からは貨物専用となる名古屋臨海鉄道東港線が分岐。事業者がかわるため機関車を付け替えることから、駅構内は広く取られている。名鉄の新車が搬入される際もこの経路となっており、笠寺まではJRの線路で輸送される。
笠寺からは貨物専用となるためか、以降全て含め非電化単線。東港線は高架で踏切は有していないものの設計などが古く、カーブがきついため速度は上げられないと思われる。
東港は貨物駅となり、ここで東港線はおしまい。ここからは引き続き南下する南港線のほか、進行方向を変えて名鉄築港線へつながる東築線がある。名鉄への新車搬入では後者が使われ、事実上は搬入専用口となっている。
さて南港線は厄介だ。地上へ下りたため、いきなりの踏切。しかも愛知県道36号は土地柄もあって、交通量が多ければ大型トラックの割合も大きい。貨物だけならば本数もごく少量ながら、旅客線になってしまえば目的もあるので本数が激増する。止めるワケにもいかない。
踏切はそこそこあり、愛知県道55号も交差している。同じく交通量の多い幹線道路となるだけでなく、高架としようにも伊勢湾岸自動車道の高架下であり干渉する。改良事業決定に至っても、長期間の工期は必須だ。
名古屋南の貨物駅からは西知多産業道路と並走しているほか、路線そのものが休止状態にある。廃止はされていないため新規で用地を確保する必要がなく、この区間だけならば工事は用意とされる。せいぜい、知多の貨物駅を輸送事業者が一部利用しているぐらい。
線路そのものは知多の貨物駅からも少しだけ残っており、手入れがなされていないままとなる。以降は全くの新規で建設することとなるため、用地も新規で取得しなければならない。
これは別案となるあおなみ線(名古屋臨海高速鉄道)ルートも同様で、途中(日長~新舞子付近)で名鉄常滑線への合流が現実的だ。結局はこの"現線活用"区間が本数の関係でネックになってしまう。
空港線はさらにJR武豊線ルートも合流することとなり、風速規制などの影響は全て平等となる。結局は国土交通省なり、名鉄とJRの間に第三者は必須だろう。しばらくは名鉄常滑線ルートだけで進めるほかなさそうだ。
余談ながら道路やバスを含めると、高山から中部国際空港の直通を実現させたのは名鉄バスであった。2020年に満を持して1往復のみ直通させたものの、折り悪くああなったために運休。そのまま再開せず現在に至っている。そちらの話はまた別にしようか…。
(おわり)