683系を改造した『まほろば』用編成は、683系のまま6000番台を名乗っている。289系でないのはよくわからないが、以前に考えていたことがあった。
2008年頃に6000番台として考えていたのは、上野から金沢を結んでいた夜行の特急『北陸』と急行『能登』向けの新車であった。これらは越後湯沢から北越急行経由で結んでいた『はくたか』との共通化を前提に、最高160km/h運転に対応するモノ。
そもそもは北越急行が683系を8000番台として投入しており、それに準じた設計を逆採用するというのだ。0・1000番台は『サンダーバード』向け681系の増備となり、2000・3000番台『しらさぎ』向けに新規で投入した。
4000・5000番台は『サンダーバード』向けに、大がかりな設計変更がなされている。8000番台は北越急行が採用したため、空いているのが6000・7000番台ということだ。と…、疑問なのは+1000番台。
調べればどうやら8000番台を除いて最高160km/h対応は準備工事に留まり、電動車は区別する目的があったらしい。9000番台がないのはそういった理由だったのか。
そうなればこの度登場した『まほろば』用の6000番台と異なり、当該案では7000番台が登場しないこととなる。
ところで夜行の『北陸』や『能登』向けとするならば、JR東日本の管轄範囲もそれなりに大きくなるはず。そこで…、空いている7000番台をJR東日本の保有とするのだ。これによって車両の運用距離を適宜調整したい。
実際には寝台特急だった『北陸』が座席列車にならず、座席列車だった『能登』も定期運行を廃止。そのまま双方とも運行がされなくなり、北陸新幹線が金沢まで開業して現在に至る。強引に登場させなくて、今となってはよかっただろう。
一方で強引に当該案の6000番台と7000番台を登場させていたならば、JR西日本が287系をあまり投入させなかった。あるいは少数派で扱いに苦心した283系を、もっと早々に撤退させたかもしれない。
北陸新幹線金沢開業後、余剰となる当該案の6000番台。7000番台はJR東日本からJR西日本へ編入させ、0番台を使用していた『サンダーバード』へ転用する。同じく北越急行から編入させた8000番台も、史実と異なり『しらさぎ』ではなかったかもしれない。
押し出された0番台は6両編成と3両編成であることから、転用先となる289系『くろしお』では大きな編成の組み替えも不要だろう。史実や福知山地区向けになった2000番台と同じく、最高160km/h運転に対応しないのも理由だ。
そして北陸新幹線が敦賀まで開業し、少数の3両編成が『能登かがり火』用に金沢へ残留した以外は交流電化区間の走行も消滅。683系のベースとなった681系は順次退役することとなる。現状の『しらさぎ』はJR西日本所属のまま、0番台の6両編成となった。
もしかすると現在の『しらさぎ』は、上野へ乗り入れたJR東日本所属歴のある編成だったかもしれない。そしていよいよJR東海が、書類上だけでも所属扱いになるかもしれない。JR3社を跨ぐような、国鉄時代に匹敵する大転用劇だ。結構、数奇な運命になるんだろうな…。
(おわり)