2012年8月27日(月)午後9時59分 滋賀県米原市/米原駅


 隣は221系の新快速で、おそらく本来の列車ではない。新快速を止めてしまうと米原から長浜までの手段が断たれることから、とりあえずこの区間だけ運行しようというものだろう。
ももか「珍しいのも見れたしもうこれでいいわよね…。」
めぐみ「十分乗れたし、見れました。」


 引退が迫った国鉄快速車両の大垣行き。それが、なかなか発車しないもの…。
なぎさ「もう1本接続させようってことだな…。」

17.米原(21:58)22:14発→大垣(22:31)22:47着 普通250F/大垣行き モハ116-56
 連鎖は止まらず、接続待ちでまた16分遅れる。乗ったら国鉄型の大きな眠くなる音、そして揺れに合わせて寝るだけ…。

 国鉄型車両というのは、不思議と安定した安心感というものか。153系の後継として登場した、この117系も重厚感があるというか。座席は転換式クロスシートで、今のようなバケットシートがなかった時代らしいもの。ボックスシートと異なり背もたれに傾斜があったことが、座り心地のよさにつながったのだろう。

 この117系と185系は、外観がほぼ同じなだけでなく座席も同じようなもの。実質的にはキハ47とキハ48の関係に近いものである。117系はキハ47と同じく両開きドアを持ち、デッキはない。185系はキハ48と同じく片開きドアであり、デッキがある。設備面ではどちらも急行列車レベルであった。

 ところが登場した時期は、国鉄の財政問題が明らかだった1980年ごろ。私鉄と競合していた大阪地区では、117系を料金不要の新快速に投入。名古屋地区も追う形で117系を投入した。それに対して東京地区では、急行から格上げした特急列車に185系を投入してしまったのだ。

 元々は185系も間合い運用として、料金不要の普通列車に用いることを考慮したもの。それでも、20世紀末までは117系と同じ転換式クロスシート。特急としては183系などと比べて明らかに劣り、117系と比べると東西格差が際立つような存在でしかなくなってしまった。

 185系は座席がリクライニングシートに交換され、現在も特急運用を精力的にこなしている。117系は混雑に対応できなくなり、221系と比べて性能でも劣るため新快速からは撤退。JR東海の117系も、313系へ着実に置き換わりつつある。

 そんな117系は側面が2段窓だったため、どういうわけか最初は好きになれずにいた。そして、乗ってるうちに好きになっていったのだ。そんな117系も、これが最後になってしまう。
なぎさ「…寝れたか?」
めぐみ「なんかね…、何度も寝たような感じがする。」


 そのまま2013年3月、JR東海から117系は引退。JR西日本からも"とある1本"を除き、2023年に定期運用を終了した。JR東日本でもとうに185系は定期運用から撤退し、残すは6両編成が2本だけ。

 しかし残存組がなかなかしぶとい。185系は臨時用車両が不足気味なこともあり、2024年になった今も活躍の場がみられる。117系の"とある1本"は大改造を受け、新しく『WEST EXPRESS 銀河』として西日本各地を回る。

 33分だけなのに、なぜかよく寝れた気がしてならない。

18.大垣(22:42)22:51発→名古屋(23:14)23:20着 快速2550F/豊橋行き クモハ313-5004
 乗り換えに余裕を与えない今の状況。急いで乗り換えた5000番台は、車両番号の下2桁が04であることから新車ではない。そして、どうやら名古屋地区でも事故があったらしい。それでも大きなことではなく、接続の遅れ程度で済んでいるようだ。もう少し寝よう…。

 次に遠くへ出かけるのがいつになるのかわからない現状。そうなってしまうと、次回作のころには117系が生き残っていないかもしれない。幸いにも和歌山や岡山、下関の117系にはまだ引退の声が聞こえてこない。それでも、JR東海の117系にはもう乗れないかもしれない…。

 嵯峨嵐山から247分。計画時点での見込みより1時間遅れて、名古屋に帰ってきた。
ももか「京都の次は奈良でしょ。」
めぐみ「奈良ね…。」
なぎさ「いいかもな。」


 では最後に183系『ムーンライトながら』を見送って、まさに"当たって砕けろ"となった今回の旅はお開きとしようか…。
ももか「では次は、奈良でお会いしましょう。」
なぎさ「おいおい…。」

 夜行快速『ムーンライトながら』は、定期列車での373系が長らく定着。臨時列車としては全席指定化を機に183系となり、定期列車廃止後も継続。後に185系が用いられることとなり、2020年まで運行された。

 名鉄でも事故は起こっていたようで、10分ほど遅れていた。最終よりは早くなったものの、帰宅は0時になってしまった。
(当たって砕けろ!?福井・京都旅行 おわり)


 ところでその後北陸新幹線が金沢まで開業し、富山へ青春18きっぷだけで行くことが難しくなってしまった。2013年1月に長野,長岡,新潟,富山,和倉温泉と回っており、実質的には最後のJR在来線として北陸を回ったという話もある。


 ということで2024年2月12日…。
さくら「で…、今から行くんだよね?」
なぎさ「なんかな、新幹線まで待てなかったわけじゃないのに。何を。」
(2024年2月、もういちど北陸の雪景色から… 第1夜につづく)