名鉄の指摘事項と可能性事項を、当初は2本立てでまとめようとしていたことだ。


 名鉄では名鉄名古屋,金山でのホームドア導入が検討されている。名鉄名古屋は時期未定ながら全面的な大改造を行うこととなっており、その際に整備ということになりそうか。そうなれば、問題は金山。

 そもそも名鉄は路線規格(カーブの多い路線)の都合上から、一般車両が主に18m級3ドアとなる。20m級4ドア車両は名古屋市営地下鉄との直通路線に限られ、名鉄名古屋へ乗り入れる旅客運用は存在しない。

 で…、話をややこしくするのが特別車両。実は19m級となっており、一般車両より車体が長くとられている。このため通常の左右開閉式では、ドア位置が一致しなくなる。


 それでも一部特別車編成ならば、特別車両となる前方2両のみを考慮すれば何とかなろう。ところが名鉄には全車特別車編成があり、4両編成を2本連ねた8両が最長となる。全車特別車編成は2000系『ミュースカイ』であり、中部国際空港への運用が目的となるため外せない。

 一部特別車編成は2200系が前提とみていい。先述した2000系がベースとなり、内装や車体こそ同一ながら車体傾斜装置を搭載しないといった相違がある。

 それ以外ならば、1600系はすでに差し替え済み。1000系もリニューアルから10年が経過しており、名鉄が施工後15年の使用を考慮としたことから撤退してもおかしくない。


 そうすると、やはり通常の左右開閉式ホームドアは苦しいか。JR西日本が採用している上下昇降式ロープならば可能とされるところ、不安を覚える団体があるともいう。上下昇降式プレートといったものは採用例がない。


 加えて大阪駅地下(うめきたエリア)では左右開閉式で位置調整も可能なタイプが導入されたが、まだ試行段階なようで1面のみにとどまっている。費用面からすれば、このタイプを既存の金山には導入しないだろう。

 左右開閉式に限定されるならば、もう可能なことは1つ。特別車両も18m級にするしかない。定員は相応に減ってしまうが仕方ない。よって全車両の差し替えということとなり、大量の余剰が生じる。1600系から差し替えた車両に至っては、2024年初頭時点でまだ3年程度しか経過しない。

 …やはり現実的でないな。
(おわり)