「2023年オフ、中田翔内野手が中日に移籍することとなりました。その際話題になったのが、名古屋の特異なバスレーンでした。車線中央にバスレーンを有する『基幹バス』で、ちょうどバンテリンドームも近くを通っています。」


 原付でバンテリンドームナゴヤ(ナゴヤドーム)へ出向く際など、一般車両目線でもなかなか特異なものだろう。それでいて親近感がわいたため、注目した次第でもあった。そんな名古屋市で特徴ある交通機関として、基幹バスに乗車した話がある。

 

 2017年4月27日(木)午前8時44分 名古屋市中村区・名古屋駅


 今日は"利用するために"、名古屋駅バスターミナルへ向かう。2~8階の高島屋ゲートモールと、18~24階にあるゲートタワーホテルのをオープンもって一応完成としたJRゲートタワー。実際は地下深くにリニアの駅が設けられると…。


 市バスが11ヶ所使用するバスターミナル。停止可能な位置を示す案内があり、使用中か否かで色分けされる。JR東海が建設に関与しながら、ゲートタワーのバスターミナルには結局"戻らなかった"JR東海バス(をはじめとしてJR系統のバス路線)。


 名古屋駅から発着する系統をメインに、沿線の観光案内などを表示する端末が設置。利用者が自ら操作するタッチパネル式となっている。今回乗る基幹2系統は10番乗り場から発車。
めぐ「で、…ナゴヤドームなんだけど。」
なぎ「唐突に言うな、わかってるからいいけど。」


 ゲートタワーとJPタワー名古屋に跨がるバスターミナル。建物の切れ間からは光が降り注ぐため、閉塞感が和らいでいる。とりあえず昨日の雨が上がってよかった、4月下旬の朝。



1.名古屋駅8:55発→萱場9:22着 基幹2/猪高車庫行き NKH-30
 他に20人が乗車し、発車する市バス基幹2系統。真新しいバスターミナル内部を一回りしてから、外に出ていく。通常の市バス路線と異なり、料金は名鉄バスと同じ後払い式。整理券は発行しないため、ICカードも乗車時に出さなくてよい。
なぎ「…今、出したろ。」
めぐ「ついいつものアレで…。」


 名鉄バスセンターから白川公園や矢場町を回る名鉄バスと異なり、名古屋駅正面から続く桜通を経由する市バス。最初の停留所となる国際センターで3人乗車。
めぐ「…高速バスってどうなるだろうね?」
なぎ「いきなり何さ…?」
めぐ「前って、JRのバスが新幹線口じゃないほうで。」
なぎ「ああ、古いビルにあったとかいうバスターミナルか?」

 県道68号としては津島市から続いており、名古屋市側の起終点近くが桜通。江川線を過ぎると側道に進んで、桜通伏見で2人降りる。さて一部で新幹線口のバスターミナルを拡大させるという話もあるようだが、正直それはよくないと考えていた。
めぐ「名鉄バスセンターもあるのよ。」
なぎ「何を今更…、そこじゃ集められんだろ。」
めぐ「集められないよ?結構建物古いし、建て替えるんなら別だけど。」

 要するに別々にバスターミナルがあるのは、棲み分けはなされるものの決して好ましくないとした話。名鉄バスセンターと新幹線口は完全に離れている。いわゆる"迷駅"は鉄道だけでないのだ。なお2023年現在、JRバスはそのまま新幹線口が拠点となっている。


 さて、そのまま国道19号となった桜通。桑名町とか長島町とか、由来が気になる通りと交差していく。もはやテンプレートのごとく後から調べれば、やはり現在の桑名市に由来するものだったとか。地名としては現存せず、交差点や通り名に残っている。


 桜通本町で1人降りる。大津通で左折してからは、名鉄バスなどと同じルートを進んでいく。
めぐ「さっきの話、続けるけど…。バスターミナルって統合とかできないかな?」
なぎ「今すぐは無理だろ。」
めぐ「今じゃなくって。市バスダメなら、せめて高速…。」
なぎ「そりゃバスタ新宿だ。」


 基幹バスの特徴となるのが、大津通から引山まで路面電車のように中央の車線を走行すること。停留所も路面電車の駅にあるような形をしている。市役所で5人降りてから1人乗り、進路を変える。
めぐ「…JR東海バスと名鉄バスって仲悪いのかな?」
なぎ「さあ、知らんけど。」
めぐ「わかんないけど、仮に仲悪くて。2つくっ付けられないなら…、ね?」
なぎ「リニアじゃないのか?」
めぐ「リニアかもしれないけど。」


 清水口で3人降りて2人乗車。国道41号と交差しており、上を2層構造の名古屋高速1号が通っている。続く白壁では2人が下車していった。さあ、今のところ計画のはっきりしない"バスタ名駅"。実現させるためには、仲介役が必要なのかもしれない。
なぎ「そうなると名古屋市か…。」
めぐ「それか愛知県のどっちかやってくれるといいんだけど、…やっぱり国土交通省?」

 赤塚白壁の片方向しかない停留所で5人降車1人乗車後、桜通大津で離れていた国道19号と交差。徳川園新出来で1人、古出来町で2人が降りていく。


 今回は萱場で、他2人と共に下車しよう。このようにベンチはないものの、路面電車らしいホームを持っている基幹バス停留所。路線そのものは中央走行区間を名鉄バスと共用しており、設備も市バスと名鉄バスで共用している。
なぎ「ってか、去年も乗ったろ。」
めぐ「去年までは名鉄バスだったし。」


 敷地の都合もあるので上下線とも交差点手前、互い違いに位置している。この中央走行区間は基本的に一般車両の通行を禁止していないため(平日朝,夕方はバス専用となる)、路面電車らしい停留所の横を一般車両が通過するのは珍しくない。
めぐ「…あれ?」
なぎ「お前、何か置いてきたとか?」
めぐ「いや、岐阜の路面電車って線路も車走れたかも。」


 市役所方向は改良が施されたようで、屋根が"通路部分"にまで架かっている。平日の朝9時半前、反対側はさすがに混雑する時間。名鉄バスは始発停留所が尾張旭市や瀬戸市にもなり、相対的になかなかの長距離を走行している。
めぐ「座れたらいいけど座れなかったらね…。」


 時は流れて2023年12月。再度基幹バスで萱場へ降り立つと、発車案内の装置が一新。液晶画面式となり、路線番号も加えられた。入っているのは名古屋市バスであり、名鉄バスの番号は入っていない。


 以前にバス・ラピット・トランジットの話をした際、比較例として挙げた名古屋市の基幹バスレーン。改めて取り上げようと考えたのは、バンテリンドームナゴヤ(ナゴヤドーム)の近隣を通っていること。件の移籍会見でこのバスレーンの話が出てきたことだ。


 この基幹バス2系統は中央の車線を走行し、バスというよりかは路面電車の要素も兼ね備えている。バス停留所は安全地帯のそれらしく立派なモノ。軌道がない分、保守管理は容易なのだろうが。より"濃い"のは茶屋ヶ坂から引山まで、片側2車線となる区間だろう。

(名古屋の基幹バスレーンについて つづく)