2016年1月11日(月)午後0時9分 北海道中川郡~十勝郡
33.帯広11:39発→釧路13:14着 特急スーパーおおぞら3号/釧路行き キハ282-104
並走する国道は片側1車線対面通行ながら、線形がよく交通量もあまり多くないことで速度が出やすい。
もも「…そういえばここまでソフトクリームとかってなかったわよね?」
さく「あるじゃん、札幌のネットカフェ。」
もも「そんな、ネットカフェでいつでもいけるもんじゃなくって。」
めぐ「新幹線のアイスと、それぐらい…?」
なぎ「買うか?」
さく「せっかくあるんならね…。」
めぐ「…お金あったかな?」
常豊で反対列車が待っていた。ここは駅でなければ仮乗降場でもなく、信号場なのにもかかわらず駅名表があるとか。どうやら、キハ283系の自由席では7号車もグレードアップ座席を搭載しているようだ。
さく「…眠くならない?」
めぐ「…どうかな?」
道路を見ると白糠まで36kmとなり、十勝地方と釧路地方の境目には雪が少なく見える。キハ283系は振り子を作動させないようにし、最高速度も110km/hに抑えられている。同じく車体傾斜装置を停止させ速度を抑えているキハ261系より、さらに10km/h遅い。にもかかわらず、どういうわけか傾きを感じられるスーパーおおぞら3号。
もも「気のせいじゃなくって?」
なぎ「何がどうかわからん。」
更に進むと海沿いへと出てきた。やはり大海原の景色には晴天が似合うもの…。
なぎ「こんなところで…。」
もも「これなんてどうよ?」
海から離れると、広い農地と舗装されていない道の組み合わせ。
めぐ「こういうの好きかも。」
なぎ「こういうのな…。」
めぐ「ほとんど誰もいないような何もないとこで、時間が止まるっていうかな…?」
再び近づき、海との間には建物1つない。夏も暑くはなさそうで、次があるならば夏に訪れたくなる。
さく「原付?自転車?」
もも「ダメなんじゃないの?金ないって言うし…。」
やや凍りついた、音別川を渡る。極寒地らしい風景と言えば、まさにそう…。
めぐ「…何も言わないほうがいいかも。」
なぎ「じゃあ無理するな。」
三度海沿いに出ると、未舗装の細道と並走する。橋の造りもか弱く、重量制限標識には4~5tとある。
さく「むしろよくこんなところに造ったもんだよ。」
もも「そう?道ぐらいなら開けて、その上から砂利かぶせときゃいいんじゃないの?」
めぐ「こういうの好きかも。」
なぎ「またか。」
海から離れると、一面凍りついた湿地帯となる。水面が凍ってひび割れも起こしていたのは、調べたところ『馬主来沼』と書いて『パシクル沼』と読む汽水湖とのこと。
さく「これすごくない?」
もも「よくここまで冷えるもんよ。」
白糠に着くキハ283系。池田からはほぼ1時間、実に76.8kmに渡って時刻表上では無停車であった。
なぎ「なんか…、ずいぶん長かったよな。」
めぐ「なんだろうね…?」
もも「…アンタが一番眠くなってんじゃないのよ。」
さあ、釧路まではあと少し。建物がない中で海沿いの直線道路を見ると、最果てへの道といった印象が与えられる。
さく「さすがに釧路は何かあるでしょ。」
もも「そりゃあ…、ね?」
めぐ「まあ、よくは調べてないけど。」
建物が見られるようになり、高架へ上がるともう釧路駅は近いか…?
なぎ「帯広と同じパターンとか?」
めぐ「…わかんないよ?」
…違った。
もも「はい、帰ってから調べなおし。」
地上に降りてからは工業地帯を経て、地上のまま釧路駅に到着。帯広からは95分の乗車であった。
さく「うわ…、やっぱり外は違う…。」
もも「油断したでしょ。」
キハ283系は車内清掃の後、そのまま折り返してスーパーおおぞら8号となる。指定席やグリーン車は満席らしく、自由席の乗車位置には多くの人が列に並んで待っている。
なぎ「これは帰りもどうなるかだな…。」
さく「まあ、大丈夫でしょ。」
4階建ての立派な駅舎は、国鉄時代に地元と共同で建てられた『民衆駅』の1つ。1973年以前に建てられたものを対象としており、北海道内では現存する最後のものとなったそうな。
もも「いつもの儀式はきっちりして…。」
さく「そりゃ記録は忘れちゃダメだよ。」
現在は日本最東端の特急停車駅、そして日本最東端の自動改札設置駅となっている釧路。駅前には、SLの動輪がモニュメントとして保存されている。
めぐ「……。」
なぎ「…ないのか。」
阿寒湖の養殖まりも。天然ものは、国の特別天然記念物に指定されている。
もも「…ってか、アンタこういうのにも興味持ったら?」
めぐ「…え、それで?」
釧路から東では特急列車の運行がなく、普通列車が全てとなる。車両はキハ54が主力。座席は転換式クロスシートか固定式リクライニングシートのどちらかであり、3日目に稚内から乗ったのは前者のほう。
釧網本線の列車に乗ると、宗谷本線と同じような転換式クロスシートが並ぶタイプであった。こちらはやはり0系新幹線譲りの座席ながらも、モケットが花咲線(根室本線)タイプの青色。クロスシートは削られておらず、窓割りは同じく合っていない。
なぎ「空きまくり…、なんだよな?」
さく「なんか、逆に拍子抜けちゃった。」
(つづく)