(6)快速急行は時にぶっ壊れるから気を付けろ・後編

 パワプロ9では『二中の快速急行』と呼ばれていた手塚隆文が登場する。主人公の1年後輩となる投手。快速急行というのは球速からでなく、特急ほど速くなく高いコントロールでちょうどいいところに止まるという意味。前回までに2例を挙げ、快速急行は概ね適度な停車駅に停車するという結論に至った。

 さて"急行以上特急未満"という立ち位置では、こんな事例もある。今回はそちらについて取り上げよう。なお前回と異なり乗車実績がなく、Wikipedia等から引用してまとめたこと。一部推測が含まれることに留意すること。


3.京王線の準特急

 京王線では急行と特急の間に、快速急行でなく『準特急』を設定。急行と特急の中間とはいいながらも、京成八王子発着便では笹塚,千歳烏山の停車有無程度しか違いがない。笹塚は都営地下鉄新宿線(~京王新線)との接続、千歳烏山は利用客数の増加が停車要因という。

 またサッカーや競馬などのイベント開催日は、飛田給,東府中への臨時停車がある。なお急行は運行本数自体が少なかったりする。以下京王新線、および区間急行,快速については割愛した。

 橋本発着便は調布から先、停車駅に変わりはない。こちらも京王多摩川,京王よみうりランドへの臨時停車がある。変わりモノとしてはわざわざ種別変更し、京王堀之内,多摩境へ停車する急行と特急(準特急)か。

 ややこしいのは高尾山口発着便。北野から分岐し、急行と特急は通過運転。準特急は各駅に停車する。当該区間内での"立ち位置"を明確にしたものとはいえ、序列が崩壊してしまっている。

 


 2022年3月改正で、名目上は"準特急の廃止"。実態としては"特急と準特急を統合"し、準特急の停車駅そのままに特急となる。したがって準特急の停車した笹塚,千歳烏山に特急が停車するということ。橋本発着便は調布から先、停車駅に変わりはないようだ。

 ややこしいのは高尾山口発着便。北野から分岐し、特急が各駅に停車するようになる。一方で急行については、発表時点で処遇が記載されていない。仮に急行の停車駅が変わらなければ、それこそ序列崩壊まっしぐら…。

 これらはおそらく、座席有料定員制の『京王ライナー』が影響させたに違いない。これまで"最上位"だった特急が陥落し、立ち位置が不明瞭なことで停車駅も増やすことができたのではないかと…。

 それこそ準特急が快速急行だったら…。

 ……。

 結論。準特急が快速急行だったら、特急は2022年3月改正で消滅したかもしれない。

 さて私鉄の急行は料金不要なのが定例ながら、もちろん例外もある。特にかつての東武日光線(~スカイツリーライン)が顕著だろう。


4.東武日光線快速急行『おじか』,急行『南会津』,特急『ゆのさと』,特急『リバティ会津』

 東武日光線ではかつて特急だけでなく、快速急行や急行も有料の座席指定制を取っていた。快速急行には主に5700系が用いられ、『だいや』『おじか』の列車名が付けられている。特急は1720系(デラックスロマンスカー)が使用されたことから、実質は車内設備の格差によるものが大きいか。

 その後は車両が350系となり、急行『南会津』『ゆのさと』となる。特急も新しく100系(スペーシア)による運行となった。加えて(6000系→)6050系による、料金不要の快速。あるいは区間快速もあった。

 やがて急行が地下鉄半蔵門線直通便の種別となれば、車両そのまま(350系)で特急へ格上げ。さすがに同じ料金ではまずいと、車両によって特急料金が分けて設定されている。この時期から『南会津』は運行されなくなった。

 それこそ"準特急"だろう。近鉄でも1960年頃だったか、設備の劣る旧車両で運行される『準特急』があったという。名鉄でも1991年頃の最繁忙期に指定席車両が足らず、自由席車両による『ライナー』が臨時運行されていたり。

 話を東武日光線に戻そう。そしていよいよ投入される500系(リバティ)。特急らしい設備を有しつつ機能性重視で、何よりの特徴が分割併合運用だろう。3両となったことで、野岩鉄道~会津鉄道へ特急を適正に運用させることが可能となったことか。

 料金面は東武日光線において、いよいよ特急(100系)と格差がなくなった。かわりに野岩鉄道~会津鉄道のみで乗車を完結させる場合、料金不要の措置が取られる。

 結論、…ただ羅列しただけだろ。


5.まとめ
 一部線区で特急並みの立ち位置を示すも、快速急行は最終的に中途半端な立ち位置に収まってしまった。
(おわり)


(7)今後の展望?
 今回書いているうち、関東の私鉄を乗りたくなった。京王線は京王ライナーも触れつつ。東武日光線はいっそ野岩鉄道~会津鉄道へ抜け、なんなら勢いで磐越西線も乗ってJR仙台近郊区間完全制覇。それと小田急で…、箱根芦ノ湖まで往復も。
(おわり)