2015年8月8日(土)午後9時43分 富山県富山市・富山駅

 新幹線ホームに上がってきた。冬になると雪が多く降るため、全体に雪よけの大屋根がかかっている。新たに開通した区間の全線、全ての駅にホームドアが設けられている。
なぎ「…いよいよだな。」
さく「こんなに早く乗るなんて、思わなかったよね。」
もも「特にさ、アンタら金出さないもん。」


 鉄道唱歌のメロディと共に、いよいよ入ってくる新幹線車両。系統別に色が分けられているJR東日本に対し、JR西日本では列車名に応じて色が分けられている。最速達の『かがやき』は黄色、『はくたか』は赤。短区間折り返しの『つるぎ』は青となる。これは東海道~九州新幹線と同じだ。


 500系を思わせる青に、金沢らしい銅色のラインが入った車両が入線。秋田新幹線のE6系と同じく、フェラーリのデザイナーが手がけたとか。
さく「やっぱかっこいいわ…。」


 入ってきたのは東日本のE7系。車両側に用いられるLED表示の色分けは、JR西日本もJR東日本に準じて紫色となる。
なぎ「…空きまくりだな。」
もも「だいたいわかってた。」


 では長野行きの3号車に乗りこもう。



23.富山21:58発→上越妙高22:38着 新幹線はくたか590号/長野行き E725-2
 車内の照明は白いLED。普通車の赤い座席は、頭部分に上下可動式の枕が設けられている。リクライニングさせると座面も連動して沈み込む。そして、向かい合わせにしなければコンセントが1人1ヶ所という優れもの。
さく「いや、これ本当すごいよ。」
めぐ「こんなの使っちゃっていいの?」
もも「使っていいんだからあるんじゃないの?」

 スマートな携帯も電池残量が気になるところなので、ありがたく使わせてもらおう。整備新幹線は最高速度が260km/hとなるように建設されており、この北陸新幹線も先行開業区間(高崎~長野)共々そう。夜10時を回り、外の景色など楽しめるはずもない。挙げるならば、途中駅の発車案内は省略型なのか3色LEDであること。
さく「…何かない?」
めぐ「今日は特に何も持ってないけど…。」
なぎ「…何だ?」
さく「いや…、せっかく乗って。寝るのもアレだし…、時間もそんなに長くないし。それに最終じゃん?」
なぎ「まあな…。」

 そして途中にトンネルが多いということ。この間に電力周波数の境目をまたいだようだが、よくわからないまま過ぎていたようだ。北陸新幹線におけるE7系のチャイムは、上越新幹線と同じものが用いられる。
もも「…なに?」
さく「…もう着くよ。」
もも「…早かったわね。」


 これまでは在来線の普通で、乗り継ぎと合わせて3時間は要していた区間。新幹線では富山から上越妙高まで、40分で到着できてしまった。ここはJR東日本の駅ながら、JR西日本の乗務員が金沢~長野間をすべて担当。在来線は第3セクターとなったため、JR東日本の乗務員が基本的には来ないことになる。


 新幹線の駅はJR東日本が管理しているため、改札口は当然ながらJR東日本の担当。はくたか590号が発車した今、ここを発着する新幹線はすべて終了。人もほぼいなくなった。


 新たな駅は天井周りに木でできた造作がある。かつての脇野田とはまったく違う駅になり、驚きを隠せないだろう。
めぐ「…まあ降りたことなかったんだけど。」
なぎ「通過ばっかりだったな。」


 えちごトキめき鉄道の駅は券売機が稼働しているのみで、改札口はすでに無人となっている。今夜キャンプ地とする、春日山までの運賃は200円。新幹線との接続は基本的に良好なもの。


 真新しい駅につながる、真新しい出入り口を暖かな明かりが照らす。そんな脇野田改め上越妙高の、整備された駅前には何も見当たらない。
めぐ「…やっぱりこういうの好きかも。」
もも「…ちょっと黙ってて。」


 元々は普通しか停車していなかった脇野田。1面2線の島式ホームという構造は変わらなかったのに、新幹線の駅ができることでこうも印象が変わるとは…。



24.上越妙高22:49発→春日山22:59着 普通2377M/直江津行き ET127-1
 来たのはラッピング車両。JR時代のE127系0番台は、そのほとんどがえちごトキめき鉄道に引き渡された。2両のワンマン列車で、後ろの車両はドアが開かない。走行音は名鉄3500系と同じように思わせておいて、実は異なるというもの。座席は701系と同じオールロングシート。
めぐ「…7時半ぐらいに出るのかな?」
もも「明日、…前よりゆっくり目になったことない?」
めぐ「前よりはね…。8時間パックとかなら長く居るぐらいで割が合うのかなって。」
もも「そこは…、本数じゃない?」
なぎ「1回あったな。朝5時に出て、…快速?」
さく「あったあった。」


 10分で春日山に到着。ワンマン列車であるため、ここでも最前部のドアから降りることとなる。
もも「…この前後何とかならなかった?」
さく「後ろがよかったし、空いてた。」


 夜11時を回り、無人化した春日山駅。ここから今夜キャンプ地とする、ネットカフェまで歩く。前回利用したのは2013年の1月6日。結果として夜遅くにたどり着き、結構な厄介ごとになってしまうとは…。
さく「あの時えらい目にあったもん。雪で全然歩けなかった。」
なぎ「で、今日はただ暑いだけで。」
もも「その大荷物よ。」
めぐ「じゃあ、プラスマイナス0でいいよね?」


 1月の上越市は路上に積もった雪が溶けかかっていた上にさらに雪が降っていたことから、雪のあまり降らない土地から来た旅行班にとって危険と隣り合わせであった。ネットカフェの夜、そして3日目はどうなる!?
もも「…足元気を付けてよ?」
めぐ「ごめんごめん。」

(つづく)


 さて『あの夏で待ってる』では軽井沢も舞台地に含まれる。金沢からは『はくたか』で直行可能な便が一定数設定されており、来るべき日には『花咲くいろは』と合わせて視察してみるのも悪くないだろう。

 

 

 P.A.Worksの2021年最新作だが、沖縄は遠すぎた…。


 北陸新幹線についても後々、かなり深く掘り下げることとなる。ベーシック仕様では公開済みも、完成をお楽しみに…?