2015年8月7日(金)午後2時19分 兵庫県丹波市・谷川駅前

 駅舎は昔ながらの平屋建て。冷房もない待合室にテレビがあり、高校野球中継が流れていた。とりあえず駅前に出て写真を押さえるのが、旅行班の恒例行事。
もも「とりあえずって、ビールじゃないんだからさ…。」
さく「ビールあるの?」
なぎ「あるわけないだろこんなとこで。」
さく「…他は?」


 駅に隣接して観光案内所があるので入ってみよう。
さく「やっぱ涼しいよ中。」
もも「でもここ居座るわけにもいかないでしょう?」
めぐ「椅子ないし。」
もも「椅子あるでしょ。」


 猛暑の丹波市山南町。駅周辺にあるのは農協だけで、他に目ぼしい店など何も見当たらない。それでも、かつては人も多く栄えていたらしい。
もも「…ってか、こっちに居座る?」
さく「だって涼しいし、どうせ外暑いし。」
もも「それだったらどこでもいいじゃないのよ。」

 それでも、なんだかんだで外に出なければならない。駅のトイレはあまりよろしくないため、停車している125系のトイレが役立つ。もちろん冷房稼動中、半自動ドアのため待合室としても機能している。
さく「案外ここ居続けるのがいいのかもね。」
めぐ「それじゃ面白くないよ。」
もも「…どうよ?」
なぎ「…まあその時その時で。」


 そのまま特にすることもなく、38分が経過。やってきた福知山行きは223系でも2両編成。最高速度が120km/hであるため、識別として正面と乗務員扉にオレンジ色の線が入っている。


4.谷川14:48発→福知山15:31着 普通2545M/福知山行き クモハ223-5506
 まあまあ空いていた。転換式クロスシートを備えた車内も車端部がロングシートであること、ワンマン運転を行うことから印象が変わってくる。モケットは基本的に223系と同じで、乗った車両は225系のものに交換されていた。


 次の柏原は東海道本線と異なり、カイバラと読む。駅舎は道の駅にあるような形をしており、鐘のあるような塔がシンボルとなっている。木のぬくもりを感じさせる建物は、後で調べて木造だとわかった。
さく「もう1つなかったっけ?」
なぎ「関西線のとこじゃなくって?」
めぐ「それ、3つとも回ろうってなるとどうなるんだろうね?」
もも「やればいいのに。」


 287系、特急こうのとりが発車。実のところ、初日のルートをほぼ逆に回る計画もあった。結果としてこの順序となり、3日間の"壮大な"旅行計画につながった。
めぐ「…ってか、駅見れたかも。」
さく「やめときなって。どうせ外暑いからやんなっちゃうよ。」


 景色としては、山を縫うように水田が広がるようなもの。夏休み、田舎にとなればこういう景色が思い浮かぶ。
さく「にゃんぱすー。」
めぐ「好きなの?」
さく「え…、めぐっちも?」
めぐ「すごい見てる。」

 だいたい43分で福知山に到着。福知山線の奥地は駅数に対して距離が長く、時間もそれなりにかかってしまう。


 まずは駅の写真。ここから天橋立へ向かうには、北近畿タンゴ鉄道改め京都丹後鉄道を利用することになる。
さく「行ってないとこってそれだけだっけ?」
なぎ「それは日本三景がってことか?」
めぐ「まだないよ。」
もも「…ないままとか?」
さく「さあどうかな?」


 そして福知山の駅前には、旅行班にとって見逃せないものがあった。
もも「…説明のはいらないんじゃない?」
めぐ「いや…、こっちで説明とかだと色々あるし。」


 かつて篠山線を走っていたC11蒸気機関車の40号機。小型車体とあって方向転換させる必要も少なかったため、主に短区間運用で重宝したもの。福知山機関区にあった転車台と共に保存されており、床タイルもご丁寧に線路の形に配置されている。線路そのものが敷かれているわけではないようだ。


 横から蒸気機関車をもう1枚。2007年から福知山で保存されるようになり、既に幾分か年月が経過していることもあって少々劣化気味。
もも「もうちょっと正面の、アップでもよかったんじゃない?」
めぐ「そう?」


 もう1つ、休憩用ベンチのある東屋も見逃せないもの。


 19世紀末にアメリカから輸入されたレールを用いた、高架化前の駅ホーム上屋。戦後から高架化される2005年まで用いられ、現在は歴史的価値を尊重して駅前の東屋として保存されている。
さく「…腕木式のはいいの?」
めぐ「なんか面倒臭くなっちゃいそうだし。」


 福知山駅の南口周辺は高い建物がなく、山々もはっきり見渡せる。公園の他は特に目ぼしいものもなさそうであり、待ち時間も無くなってきたので駅に戻るとしよう。
もも「座ることばっかり考えてさ…。」
さく「いいじゃん。これからまだ長いんだよ?」


 ホームで待っていると、福知山線と同じタイプの223系5500番台が入ってきた。やはり2両編成である。


5.福知山15:54発→綾部16:06着 普通1146M/綾部行き クモハ223-5508
 こちらもワンマン運転を行う普通。モケットは223系本来のものであり、茶色とベージュのツートン系。それなりに客が乗ってくる。
さく「次…、大丈夫だよね?」
もも「…何が?」
さく「乗換とか。」
もも「いいんじゃない?」」


 発車すると福知山城が見える。それにしても、猛暑と緑豊かな風景が似合っている。
めぐ「…よくわかんない。」
もも「だから、後で調べたとかにしときなさいって。」

(つづく)