高校生になったリタ、再登場。

リタ「…キャンプじゃないよね?いいけど。宿も何もない中で、今回選んだのは"散歩"というものでした。夜が明けて、次はどこかな?」



 そして旅行班は相変わらず…。では時を戻そう、2014年8月31日だ。

2014年8月31日(日)午前5時 山梨県南都留郡富士河口湖町・河口湖駅(標高857m)
 なんとか持ちこたえることができた旅行班。いつしか空に明るみが出て、駅の中にも入れるようになっている。標高800mでは単純に計算して5℃近く気温が低いことになり、寒さを感じてもおかしくはない。そして3日目が、正式に始まった…。

13.河口湖5:20発→大月6:13着 普通/大月行き クモハ6001
 朝1本目、ここから電車に乗る人などそういないはず。乗れれば座れるので、寝られるうちに寝ておくのは当然。
もも「そしていつものごとく壁際と…。」

 富士山駅で進行方向が変わるのもお約束。下吉田で鐘の音を鳴らしていたものは、見る限り歩行者用の信号機でしかない。では大月まで寝ておこう…。


 53分で大月に到着。ここから直接折り返すのではなく、昨夜から停留していた車両が大月発の1番列車となる。今日も残念ながら雲が多く、富士山の姿を拝めそうにない。
めぐ「…晴れなかったね。」


14.大月6:22発→富士山7:06着 普通/河口湖行き モハ6601
 205系からそうだが、壁際では突起部分を肘掛として利用できる。
さく「おやすみ…。」

 さて、『世界遺産・富士山フリー乗車券』では『富士登山バス』以外にもいくつか周遊バスに乗ることができる。今日はバスをメインに据えようか…。

 まず乗るのが、富士山駅から忍野八海を通って山中湖へと向かう『ふじっ湖号』。この列車から"第1便"へは9分で乗り継ぐことができるはず。同じ富士山駅から出るのが、文字どおり富士山の構成遺産を回る『富士山世界遺産ループバス』。河口湖駅から出るのは、『河口湖周遊バス』と『西湖周遊バス』。もう1つ記載のある『芝桜ライナー』はシーズンオフなので運行がない。
もも「…寝なくていいの?」
めぐ「…え?」
もも「…寝てないわよね?」
めぐ「…予定とか考えてたし。」

 ノープランといいつつ、さすがに見ず知らずの地で行き当たりばったりというのも少し不安である。そこで今回はあくまでバスに乗ることを目的とし、到着時間を元に組み立てていくことに…。
もも「…私に教えてくれたわけじゃないわよね?」
めぐ「…教えたわけじゃないけど。」
もも「…でも、…組んでくれてるんでしょ?」
めぐ「……?」

 大月から富士山駅まで44分。着いたらバス乗り場へ急ぎたい…。


 ところが乗る予定の『ふじっ湖号』にはすでに多くの列をなしている。
もも「あのさ…。」
なぎ「…何だ?」
もも「…こうなることはわかってたわけ?」
めぐ「いや、全然…。」

 昨日に続いて山中湖、交流プラザでライブイベントが行われる。そのためかバスの出る富士山駅から多くの客が乗車し『ふじっ湖号』は満車。結局、乗ることはできなかった。
めぐ「…まあポンチョじゃダメだよ。」
もも「…ポンチョ?」

 日野自動車が製造した小型バスの車種名が『ポンチョ』である。どう考えても詰め込みが利く車両ではない。
さく「…わかってて変えないってならどうかしてるよ。」
もも「でもどうとかでどうにかなるわけじゃないんでしょ?」
さく「…一応、45分に臨時があるとかで。」


 その後なんだかんだで30分待つも、『世界遺産・富士山フリー乗車券』では臨時便を利用できないらしい。ところで臨時便に用いられるバスは通常の路線バスタイプながら、面白い窓の形をしている。
なぎ「これ下を開けるのか?」
めぐ「そう…、なるんじゃない?」

 次の『ふじっ湖号』は8時15分。乗れなかった便とは、山中湖の回り方が逆である。
さく「…いっそ定期便は交流プラザスルーってのは?」
なぎ「それはダメだろ…。」
さく「どうせ好きな音楽とか問いただしたところでたかが知れたもんでしょ。」
めぐ「なんかね…、フェスってなったら古い携帯の中入ってるのしか思い浮かばなくて。」
もも「…ひょっとしてアンタも?」
めぐ「キャンペーンでタダだっただけだよ。」


 今日は日曜日。ライブイベントと関係のないツアーのバスも出発。


 もう1つ、臨時便に用いられる"エバーグリーンシャトル"。
もも「…乗りたいなら乗ればいいじゃない。」
めぐ「…さっきほどじゃないよ。」


 このタイミングで、『富士登山バス』の乗車位置が移動。


 次の臨時便は定期の『ふじっ湖号』と同じ時間に発車する。貸切用のバスが用いられ、ライブ会場となる交流プラザまで直行とのこと。ここまで需要に合わせてかバス乗り場で乗車券を販売していたのだが、ここからは乗車位置も分けられる。
さく「やればできるじゃん。」
なぎ「…お前誰だよ?」
もも「…やっぱこの人たちじゃダメね。」
めぐ「…許してあげようよ。」

 そして『ふじっ湖号』が入ってきた。先ほどと違い、車体もやや大きい。



15.富士山駅(8:15)発 山中湖循環バス/ふじっ湖号左回り F2774(レトロバス)
 とりあえずライブイベントへ向かう客は隣の臨時便に乗ることとなり、こちらにはさほど乗ってこない。
もも「…降りて観光とかする気ないでしょ?」
さく「…わかってんじゃなくって?」
もも「…もうさ、私だから許せるようなもんよ。」


 こまめに停留所を回っていく周遊バス。"レトロバス"とあるように、外装だけでなく内装も凝ったもの。
めぐ「あとは電球色なら完璧だったんだけどね…。」
なぎ「結局それかい。」

 車内放送には観光名所の説明もある…。
めぐ「…途中で終わってない?」
なぎ「…終わる前に過ぎたんだろ。」

 富士山レーダードーム館を経由するもまだ開いていない。そこからしばらくすると木々が生い茂ってきた。
さく「…何かない?」
もも「…アンタらがバスしか調べてないからじゃないの?」

(つづく)