2014年8月30日(土)午後4時45分 山梨県南都留郡鳴沢村・富士山吉田口五合目(標高2305m)

 ついでに、五合目からはトイレも有料となる。バスの多くは下にある駐車場との間を結ぶものであり、定期の路線バスは断じて多くない。ここから新宿駅まで直行する高速バスもあり、予約制とあって必ず座って"下山"できるのでさぞかし便利だろう。新宿行きはこの時間で最終のようだ。

 旅行班が持つ切符で乗車できるのは往路と同じ路線バスだけであり、着席の保証はない。他に、観光バスも直接乗り入れてくる。時間はもうすぐ夕方5時。霧が晴れない中で日も傾いてきた。
さく「…何かない?」
もも「アンタらが座りたいってんだからここで待つしかしょうがないじゃない。」
さく「…もうちょっとぐらいさ。」

 景色など見えないので、レストハウスなどを見るだけ。もう1つ何か欲しいと考えるならば…。
めぐ「…ソフトクリームとか?」
もも「…欲しいの?」



(現)こけももミックスソフト 350円
 ミルクの味も味わいたいと、どうしてもミックスを選んでしまうのが旅行班。こけもも独自の酸味が勝ってしまい、ミルクの風味を結局味わえなかった。
めぐ「でも別々だとお金とか…。」
もも「そういう決めきれないとこよ、アンタらの悪いとこ。」
めぐ「こけもも1本じゃよくわかんないし…。」
なぎ「…バス座れなくていいのか?」


 持ち運びの利くものでよかった。これまた下山したであろう、重装備の客が多く並ぶようだ。そしてここにきて日が差してきている。
さく「もうこれで動けないよ。」
なぎ「…お前が振ったんだろ。」
さく「ソフトクリームあったし、それでいいじゃん。」
なぎ「…ここで大事なの見れてないのわかってるな?」
さく「わかってるって、こんな中じゃ…」

 長らく行けずに終わっていた富士山五合目。吉田口は観光地化されており、登山しなくても楽しめるものであった。するとここで…。
めぐ「晴れてきた!」
もも「うそ!?」
さく「すごい…。」


 夕方5時にして奇跡的に晴れてきた。眼下に広がる雲が標高2305mらしい、最高の絶景なのかもしれない。
めぐ「待っててよかった…。」
なぎ「本当、そうだな…。」



5.富士山五合目17:10発 富士登山バス/富士山駅行き F4867
 帰りも同じタイプのバス。下山したであろう、重装備の客で混み合う車内。なんとか座席は確保できた旅行班。
なぎ「帰りもまた雲の中なんだろ?」
めぐ「たぶんね…。」
さく「下に雲あったんだからそうじゃない?」


 左側の景色は斜面…。
なぎ「わかんないならスルーしろよ。」


 やはり視界は雲に包まれた。スピードが出やすい下り坂。有料道路はカーブが多く、曲がるたびに景色の見える側が左右変わってしまう。


 それでも視界が開ければ、景色は素晴らしい。すっかり晴れ、目の前に広がる雲海。展望台を兼ねた駐車スペースはあれど、バスに乗ってる以上降りられないのが残念である。


 下山した客が多い車内は、疲れからか座れれば寝るという人ばかり。下りはさすがに速く、33分で下ってきた。有料道路を通っている間、建物らしい建物は一切なかった。

 このバスは往路と異なり、河口湖駅を経由する。ついでに往路は富士山駅で電車を降りたため、富士急行線の"コンプリート"にはまだ至っていない。そして駅に近づくと、流れが悪く進まなくなった。
なぎ「…降りるんだな?」
めぐ「…降りるよ。」


 河口湖駅に5分遅れて到着。ここで降りよう。
さく「でも全然暑くないね。」


 バスはここから、往路の出発点でもあった富士山駅まで向かう。ここで時間が余ったので、少しばかり駅を見ておくこととしようか。
もも「あの電車は?」


 富士急行の前身にあたる、富士山麓電気鉄道の『モ1号』電車。開業時に5両が造られ、1929年当時にして勾配に対応するだけのものを備えていた画期的な車両とのこと。


 『モ1号』電車を前面からも撮っておこう。この車体は上田丸子電鉄にあったものらしく、富士急行60周年記念として車体を引き取り登場時の姿に復元したものだという。


 富士急行も協力しているアニメ。ちょうど内容が富士山に登ろうというものであったのだが、偶然でしかなかったりする。それにしても2期以降、BS11で放送してくれていることで本当に助かっている。
さく「そういえば三つ峠に温泉あったんだっけ?」
めぐ「そこちょっとね…。」


 

 


もも「…アンタら去年の竹原と考えてること同じよ。」
めぐ「…まあちょっとだけだし、よく調べてないけど。」

 次の列車はフジサン特急16号であり、停車しないことから必然的に1本後の普通列車に乗ることになる。
めぐ「行き乗っちゃったし。」

 特急列車が発車するまで普通列車の改札が開かないので、もう少し待つことに…。
めぐ「…博多!?」
もも「…何よいきなり。」

 駅前のロータリーからは、富士山駅と同じく各地へバスが発着する。そして九州、博多へ向かうバスが本当に来てしまった。ついでにここでのバス乗り場は呼び方が変わっており、鉄道と同じように1番線などと数える。
めぐ「アレ乗ったらどうなっちゃうんだろう?」
もも「さあ?でも知立から東京でやられたんだもの。…わかる?」
めぐ「あのバスは4列だからよ。博多行くのとかはだいたい3列。」
もも「3列で変わるっての?いいじゃない。今度乗ろうってなって、乗ったら乗ったでやられるとか言わない?」
めぐ「…とりあえず昼のほうがいいかな?」


 バスの話はひとまずここまで。
(つづく)