2012年3月13日(月)午後0時53分 福島県いわき市・いわき駅6番線

さくら「これだけ並ぶと結構…、ね?」
ももか「そう?」



16.いわき13:13発→郡山14:48着 普通737D/郡山行き キハ111-106
 場合によっては貴重なクロスシートになるかもしれない。座っておかねば。

 やはり大きな荷物を持った方もいる。
さくら「他に日記所有者がいたとは…」
ももか「いや違うっての。単なる旅行者でしょ?」

 寝てないので眠いのは当然だろう。それよりも景色を見る際、日が直接当たって暑い。
ももか「そっち座ったからじゃないの?」
めぐみ「まあ…、でも景色」
ももか「景色なら別に1人ずつのとこでも別にいいのよ?」


 ただ…
ももか「寝ちゃってる…。」


 肝心の景色はというと、辺りに雪が見られない田舎。しかしそこは3月の東北、福島県。寒くても不思議ではない。


 木々はまだ目を覚まさない。震災から1年を迎えた福島県、そして東北地方。さらにこの東北旅行もまだこれから…、か。


 田舎に行くと敷地の広い、いかにも和風の家をよく見かける。それにしても青空が画になる…。


 遠くに見える雪をかぶった山々の景色が美しい。青空と白い雲ともよく合っている。


 浜通りから山を越え、中通りへと進む。標高が高いのか、これまであまり見られなかった雪も見られるようになっている。


 上野から大きく回りこむように、7時間45分かけて到着した郡山。

 いたのは新型のE721系。乗り継ぎ時間が5分しかないにもかかわらず、階段を使わなければならない。


17.郡山14:53発→福島15:39着 普通1147M/福島行き クモハE721-35
 ともあれ座ることが出来たこの新型。言うなれば『3ドアにしたE231系』だ。座席は完全にE231系のそれである。ドア上の案内も1段ではあるが、内容や自動放送はE231系のそれと同じ。唯一、ドア横のボタンはその後の登場となる新しいタイプだ。
なぎさ「…これ乗りたかったとか?」
めぐみ「あるよ。」
なぎさ「あるよって…」

 旅行開始から、一時帰宅を挿んで29時間が経過。
なぎさ「どうした?」
めぐみ「…頭が痛いのかな?」

 ここでバスの中寝れなかったのが響いてきた。
なぎさ「寝てればよかったのに…」
めぐみ「景色見たかったし…、見れなかったけど。」
なぎさ「…まああれ寝れないもんなんだ。」


 景色をとるか、寝ておくか…。とりあえず外が曇ってきた。雪でも降るのだろうか?
めぐみ「せっかく寒いとこ行くんだし。」
ももか「あのね…。雪見たいならいいけど歩きどうするのよ?」
なぎさ「そういうお前は結構準備してんだよな?」
ももか「そりゃそうよ。これは雪でも歩けるいい靴だもん。」

 福島にいたのははまた新型。階段を介した6分乗り継ぎは結構厳しいもの。


18.福島15:45発→名取16:54着 普通583M/仙台行き クモハE721-12
 まあ座席を選ぶだけの余裕もない以上、ロングでも仕方がない。旅行班の問題はそれ以前のことである。
ももか「また県庁所在地パスってんだもん。」
さくら「今日中に在来線オンリーで盛岡だったらパスでしょうよ。」
ももか「いや、帰りもよ。何で影薄い佐賀とか水戸はとって福島はパスなの?」
なぎさ「いや、佐賀だって30分40分だろ。」
さくら「それに最初ホテル取ったのって郡山じゃなかった?」
ももか「郡山…、だけどさ?県庁所在地飛ばすなんてどうなのよ?」
なぎさ「よくわかってんじゃん…」
ももか「わかるって。何年一緒にやってきたと思ってんの?」


 他に会津若松もノータッチの旅行班。さて、そろそろ日も傾いてくる時間。いつしか雲は遠くに去っていったようだ。



 名取で降りる。
ももか「なんで降りるの?」
めぐみ「だってワンパターンじゃつまんないじゃん?」

 名取では東北本線のほか、仙台空港行きと亘理行きが発車するため、行先ごとに色分けがなされている。常磐線は亘理から先は通じておらず、バス代行となる。
ももか「…それだけ?」
そう。せっかくだからと仙台空港線の車両に乗りたいだけ。


19.名取17:04発→仙台17:21着 普通1355M/仙台行き クモハE721-502
 来たのはJRの2両編成。座れない。
ももか「余計なことしなきゃいいのに…。好みの来なくてそれで座れないってさ…。乗りたいのって仙台空港のでしょ?」
めぐみ「…そうだけど。」

 この車両は空港アクセスの役割を果たすとあって、一般車ながらミュースカイにあるような荷物置き場がある。とりあえず有効に使わせていただこう。
ももか「そのまま乗ってたら楽できて仙台で何できたか…」
さくら「帰りあるじゃん。」
ももか「帰りもだけど。」
なぎさ「…ずんだ?」
ももか「教えない。」

 荷物置き場の横の席に窓はない。
ももか「勝手に座って景色見えないって?」
めぐみ「…別にいいけど?」


 仙台に到着すると前に仙台空港の車両がおり、連結した。ここまで大分余計なことをしたせいで新木場から12時間近くかかった。
ももか「悪いけどこれから説教するから、アンタたちは他のとこで待ってて。」
さくら「あの…」
ももか「いいから。時間までには戻るから。」
なぎさ「…悪い予感が」
ももか「なに?」


 そして発車まで21分。いよいよ未知の世界へと足を踏み入れる―
(つづく)