ひろ「あれ、まだ続いてたんだ?」
涼子「続いてたよ、2014年の夏休み。青春18きっぷの旅。」
ひろ「なんか、さらに拡大した?東京近郊区間とかいう?」
涼子「乗ってなかったって、乗りに行った話。」


 前回までに水郡線の常陸太田を制し海浜幕張で野球を見て、羽田空港を見学。ここからは前回の羽田空港と雰囲気が大きく変わるほか、食糧事情も思わぬ方向に…。

2014年8月9日(土)午前8時58分 東京都台東区・上野駅に到着

 13分で上野に着き、特急列車が発車する14・15番線ホームへ。時間的に、十分乗り換えられる。

 1本前にもあるのだが、E233系に乗りたいのでパス。
ももか「ってか、そんなんもわかるの?」
めぐみ「別のとこであるの。」
ももか「あのさ…、何が来るかっていうのだって楽しみの1つなんじゃないの?」
さくら「それはまた別のとか。」
めぐみ「その調べたのの中にだって、いろいろあったりするんだし。」
ももか「…ま、B6狙ったら?」


33.上野9:31発→高崎11:16着 快速アーバン3923M/高崎行き モハE233-3229
 東京都内でも、始発駅で乗客がドアボタンを押して車内に乗り込む方式をとるようになった。
ももか「ただ乗りたいだけでしょ。」

 さほど乗客は乗ることなく、上野を発車。快速は尾久を通過し、次は赤羽。
なぎさ「…眠いとか?」
ももか「アンタらが選んどいてそういうのはね…。」
なぎさ「お前だって…。」
ももか「またそうなる…。こんなつまらないことで喧嘩はやなの。」
なぎさ「…寝ようか?」
ももか「ああどうぞどうぞ。昨日だって…、日またいだけど寝てないんなら寝たほうがさ?大前行くのに景色見れないなんてなったら、私は悪くないし。」

 大宮までは"京浜東北線に対する快速"とされ、この快速はさいたま新都心も通過。大宮からが高崎線であり、ここからも通過駅が出てくる。その間の記憶は断片的なものでしかない…。

 少なからず寝たのだろう。籠原で前の5両を切り離す。立ち客もいるようだが…?
さくら「…あれ、いいの?」
めぐみ「もう別にいいじゃん…。」
ももか「そうなら…、寝たっていいんだし。」

 ここからは半自動ドアとなる。そもそもこの『快速アーバン』、過去に2度乗ったぐらいでしかない。車両は双方とも211系オールロング。特にグリーン車が連結されていなかった10年前は、籠原から大宮まで立ちっぱなしという有様。
ももか「必ず座れるってわけじゃないのに、…真っ先に座ろうとしてさ。」
なぎさ「別にいいだろ、座りたきゃ座るで。1分とかなら座らなくてもいいけど、…2時間だったら。」
めぐみ「それで211をしばらく嫌いになってた。」
ももか「座ってないのに?」
めぐみ「…一応大宮から座れたけど。」

 東日本の2000・3000番台と、東海の5000・6000番台がそれなりに別物であったと気づいたのもこのぐらいから。以降、短距離なら割り切って乗車。すると実は座りが結構よかったものだった。
なぎさ「それから好きになったと…。」
めぐみ「好きとまではいってないよ、静岡のトイレないし。」

 『快速アーバン』は程なく、湘南新宿ラインの特別快速に置き換わる形で数を減らす。グリーン車は自由席であるため、18きっぷとの組み合わせで乗車可能となった。そして高崎の211系にもグリーン車が連結される。そしてE233系の導入で、211系は追われることとなり現在に至る。
めぐみ「…菓子食べちゃおうか。中空くし。」
ももか「それがいいわよ。」

 95分乗車し、到着。ここでしばらく時間が空く。
ももか「また座ろうとする…。」

 特急草津1号は651系の7両で、なんとなく混んでそう…。
さくら「乗らなくてよかったのかも。」
ももか「乗らなくてよかったも何も、昨日使っちゃったからダメ。」

 ついでに、651系を水戸から追い出したのはE657系である。

 では改めて、大前に行く吾妻線列車は1日5本しかない。
ももか「私だって何も知識なしってわけにいかないもの。どういうとこか見ておいたら、…まあ何もない。」
さくら「いつ?」
ももか「誰かさんの寝坊で遅刻した辻堂のネットカフェ。」



34.高崎11:43発→大前13:23着 普通533M/大前行き モハ114-1043
 3両編成にだけリニューアルが多い115系だが、車両番号はまさかの手書き。連休に入ろうかという土曜日、大きな荷物を持った客が多い。
さくら「107じゃなくてよかった。」
ももか「107はオールロングのよね?」
さくら「あのオールロングはまあダメ。変な座り方だと…、なんか当たる。」

 渋川までは上越線を通る。


 吾妻線は単線。今朝から生憎様で、遠くの山はよく見えない。羽田空港もそうだが、遠方から来る人間が日を改めて来直すというのは難しいことである。18きっぷの"有効回数"にも限りはある。


 郷原からは、霧のように雲がかかった山を見る。
めぐみ「よくない?」
ももか「山も見えないのに?」
めぐみ「幻想的じゃない?」

 そしていよいよ、ダム建設によって沈む旧線区間へ。
めぐみ「あれ、トンネルって…。」
ももか「トンネル?」
さくら「日本一短いっての?」

 樽沢トンネルの長さは7.2m。これではわからないという方に参考として書いておくと115系1両の長さは約20m、東海道本線丹那トンネルの長さは7804mである。(Wikipediaより引用。)


 川原湯温泉の旧駅はダムによって沈みゆく。上には新たに橋がかけられ、完成後は橋の上からダム湖の湖面を見下ろす形になるだろう。
なぎさ「…いいのか?」
ももか「ここ最初で最後でしょ?」
さくら「…いいの?」
めぐみ「帰りあるし、1本道だもん。」

 新線が左側から"合流"すると長野原草津口。連休にかかろうかという土曜日。草津温泉の玄関口だが、車内はまだ乗客がそこそこいる。


 羽根尾に停車しているのは、先に出た『草津1号』と思しき651系。ここからは単線で列車が1本しか入れないため、万座・鹿沢口から折り返さなければならない。

(つづく)