期待と意欲、そしてわずかな不安を抱いた初めての旅。優れなかった天気のまま日没を迎えて、さすがに不安が増してきます。常滑から代行バスで戻った後、思わぬ出来事が待ち受けていました。


2003年2月11日(火)午後5時30分頃 愛知県常滑市・常滑駅
11.常滑発→榎戸着 代行バス/榎戸行き 名鉄バス※一般路線用
 常滑でも特に何もせず、乗ってきたバスでそのまま戻る。すっかり暗くなってしまい、乗客も少ない車内。気のせいか心細くなってきた。ここまで、何事もなく回れたはずなのに…。

 参考までに、正月に河和に来てからもそのまま折り返したもの。やはり特急の指定を展望席で取り、またも最前列。金山で居酒屋っぽい店に入り、夕食にしている。今日はあまり遅くなってもいけない。

 暫定終着駅となり、相対式ながら立派な造りとなった榎戸。この時間、発車案内にあるのは急行御嵩行きと普通佐屋行きだけ。時間的にもちょうどいいので、このあたりで帰ることにした…。


12.榎戸18:01発→佐屋19:30着 普通/佐屋行き 名鉄1800系
 跨線橋があるものの、実際には"終端部"にて平面移動できる構造となっている榎戸。津島線まで直通する普通は1800系を2本つないだ4両。
涼子「あ…。」
めぐみ「何してんの?」

 まさかここで会うとは思わなかった。
めぐみ「ひょっとして私のことが?」
涼子「いや…、違うの。たまたま一緒になっただけよ。」
めぐみ「そうなの?てっきり私のことが心配だったのかなって思っちゃった。」
涼子「私もフリーきっぷが1枚余ったから使わないかって。それで仕方ないから、私が使うことにしただけよ。」
めぐみ「そうだったの。涼子ちゃんこういうの好きなんだ。」
涼子「…あなたと一緒にしないでよ。」

 改めて、復路は通過駅なく進んでいく。既に外の様子は見られない時間。太田川までは待避線がないため、優等列車に抜かされることもない。そもそも、主要路線ながら特急があまり走っていなかった。
涼子「どう行ったの?教えてよ。」
めぐみ「…どうかな?」
涼子「じゃあさ、最初どこまで乗った?」
めぐみ「一応…、豊橋。」
涼子「豊橋ね…、私展望席乗っちゃった。」
めぐみ「へ~…。」
涼子「いや、ちょっとはいいな~とかない?」
めぐみ「次が上飯田で…。」

 河和線と合流してからは、聚楽園と大江が待避可能な駅となる。名古屋市に入り、名和あたりからは街明かりが多くなった気がする。神宮前から金山にかけては複々線となっており、2面4線の島式ホームで内側に停車するとちょっとした優越感に浸れたり…。

 ここからは慣れたもの。新名古屋を出て、栄生からはカーブが連続。東枇杷島は普通しか停車しないためか、降りたのは今年が初めてであった。

 犬山線と分かれて程近い西枇杷島で通過待ち。抜かされた新岐阜行き急行から、須ヶ口で乗り換えられる。
めぐみ「私もうちょっと乗ろうかな。」
涼子「そうなの。じゃ私は帰るから。」
めぐみ「うん。じゃあまた明日ね。」

 夜7時、もう少しだけ乗ることにする。涼子ちゃんは自宅に近く、"全ての始まり"となった木田で降りていく。他人に干渉されることのない時間がもう少し続くことに、若干の安心感さえ覚えてしまった。

 さて、正月の日はどうだったのか。金山からは再び特急の一般車に乗車し、新岐阜まで向かう。特にすることもなく折り返し、新一宮から尾西線に乗って津島へ。夜となっては国府宮に初詣ということもなく、家族では後日にお参りしたはずだ…。


13.佐屋発→木田着 普通/鳴海行き 名鉄6500系
 そして佐屋に着くと、弥富から来た車両にすぐさま乗り込む。全面形状から"鉄仮面"と呼ばれるタイプであり、オールロングシート改造の際に床模様が6000系リニューアル車両と同じになった。ついでに仕切り部分はクロスシート時代のものが残されており、独特のさわり心地を感じ取れる。

 実のところ、正月の最後は6000系でリニューアルされたての4両編成。それが2003年最初に乗車したオールロングシート車両だったりするのだ。ある意味狙っても、ここまでクロスシートが続いたのはマグレにしか思えない。


 木田で降りて家路につき、初めての旅は無事に終わった―

 翌日、いつものように登校した中学生。
涼子「おはよう、なんか嬉しそうじゃん。」
めぐみ「え~、そうかな?昨日…。」
涼子「ちょっと頼もしかった。」
めぐみ「…頼もしくなんかないよ?」

 そして迎えた卒業の日…。
めぐみ「…あのね?」
涼子「何?これからも結局同じとこでしょ?」
めぐみ「そうだけど…。」
涼子「行きたいとこあったら、行っていいの。自分で決めたんでしょ?」
めぐみ「はーい。」
涼子「どこで何があっても、私はめぐみの味方。たまには頼ってもいいんだからね?」
めぐみ「また一緒だし。」
涼子「…あのね?普段から自分でやることやってからにしなさいよ。」


 旅はまだ始まったばかり―
(名鉄電車1日フリーの旅 おわり)


(※実際には父親と弟が榎戸から乗車し、木田まで行動を共にしました。)


初めて旅に出たときの話。皆さんもきっかけとか、心境とか色々あるかと思います。
涼子「そこからだもんね、たくさん回ったりとか。何か出る用事あったら回ったり。」
めぐ「せっかくだもん、何もなしで帰るなんてもったいない。」
涼子「それもあったんじゃない?」
めぐ「あるけど、そういうので限界っていうか。」
涼子「そりゃあね、遠くだと計画も全部込みでするんでしょ。」
めぐ「するよ。」


それから早17年。休止期間を挟みつつ、沖縄を除いた46都道府県を制覇。(ブログそのものは2010年から始まり、旧ヤフーブログから移行した現在に至る。)
涼子「本当、趣味でここまでやってこれるなんてすごいよ。」
めぐ「まあ、そろそろ気楽なのも入れたいんだけどね。」
涼子「それから原付も始めちゃって。」