2018年8月29日(水)午前9時25分 香川県綾歌郡宇多津町・宇多津駅

 程なくして入ってきた特急は、先ほど乗ったものと対になる8000系。高松行き『いしづち』と岡山行き『しおかぜ』を分割するため、ホロが外される。
なぎ「8両セットだと一体感あるんだよな。」


 前方編成が発車すると同時に、後方編成が外れる仕組み。これは福島や盛岡の"ミニ新幹線"と同じだ。中間に入る先頭車両は平面顔であるため、瀬戸大橋を渡る5両は編成美が通常崩れるもの。
ユン「300で連結なんてすごいですよね。」
さく「あ、新幹線の話?」


 続いて後方編成も発車。8両単位で形になっており、両端がロケットのような形状。多客輸送時期は岡山発着が優先されるため、編成美を伴った8両編成で本州へ渡る体制。高松発着は別で用意され、宇多津ないし多度津で乗り換えが必要となる。


 反対方向にJRの『アンパンマン南風』が入ってきた。2000系による本州からの特急は、高知(,中村,宿毛)へ向けてグリーン車付きの非貫通型先頭車が来るようになっている。
もも「グリーン車なんて夢の話よね…?」
ユン「…よかったらグリーン車用もあったんですけど。」


 2000系は気動車故に1両単位で連結できることから、貫通型先頭車が多数派ということで…。
めぐ「ごめん、まとまんない。」
なぎ「ってか、そろそろ乗るんだろ。」


 こちらは国鉄民営化直前から四国の電化路線で幅を利かせてきた、121系電車の普通。青帯を纏った前方編成が原型のワンマン非対応車両、後方の赤帯はワンマン改造車両。特に後者は2本しかなく、7200系への改造に向けて試作要素が強いものだ。


 多度津方向は線路が外側に膨らんでおり、内側が待避線になるような構造らしい。行き止まりに保線車両がたたずんでおり、その向こうからもう1本入ってくる。
さく「ってか、レアキャラじゃん!?」
ユン「レアキャラって…?」



80.宇多津9:32発→茶屋町10:09着 普通1530M/岡山行き 6001
 ここでさらに珍客が登場。四国オリジナル要素を持ちつつ、東海の211系や311系に加えて東日本E217系から"OEM供給"を受けて混ぜ合わせた6000系。3両編成が2本の、合計6両しか存在しない。
さく「これは適当かな…?」
もも「また…。」
なぎ「バラバラに座れってさ。」


 車内はそこそこ混雑模様を見せており、可能な限り窓側へ座りたい。発車して高松行き線路を跨いだ後、瀬戸大橋から宇多津行き線路の下へ潜る。少しして坂出からの瀬戸大橋行き線路が合流。これら含めて宇多津駅の構内として扱われ、マリンライナーは通過する扱いとなる。


 さようなら四国。今回は正味2日半、特急もしっかり乗って回れたものだ…。


 ただいま本州。改めてメインタイトルは『西日本だって愛してほしい!』とした今回。この夏休みは猛暑だけでなく、大雨による災害も多かったもの。九州から岡山へ至る際も、被害を受けた山陽本線に触れている。


 坂出から瀬戸大橋に"合流"し、普通の後を追ってきた快速マリンライナー18号。乗ってきた普通は児島で抜かされるため、少々の停車時間と同時に客も乗り換えていく。
ユン「…あれ?」
めぐ「乗り換えなしだけど。」


 一行は児島で乗り換えず、一気に空きの多くなったこちらも発車。車内はJR東海311系のそれをベースとしつつ、ドア上にはJR東日本E217系のようなLED案内とドアチャイムを設置。ブルーグレー系の座席は、ヘッドカバーもブルーグレー系。運転台後ろは片開きドアだ。
さく「そこがオリジナリティっていうか…。」
なぎ「組み合わせたら化学反応的なアレなんだ。」


 本州の"陸地"に上がってしばらくすると、もう1本線路が下から近づいてくる。そちらが本来の宇野線(宇野みなと線)で、これから乗ることとした路線。過去乗車した際は早朝、夜明け前であった。
もも「で、景色見ようってのよ。」



81.茶屋町10:13発→宇野10:37着 普通1645M/宇野行き クモハ213-2
 宇多津から37分。隣にいたのはワンマン対応のリニューアルされた213系で、車内は座席が結構埋まるほどの混みよう。
さく「これも適当だよね…。」
ユン「またですか…。」


 発車すると水田地帯の中、瀬戸大橋から分かれる高架から降りていく。こちらは古来からの宇野線で、地上を走る単線だ。


 茶屋町から2駅目、備前片岡に停車する普通。駅から見れば水田地帯において、ロケットのように鋭い屋根が目立つ。これは何かと後に調べれば『岡山市サウスヴィレッジ』なる施設らしい。
もも「こういうのは調べればいいのって、前々から言ってんの。」
ユン「あれは目立ちますね。」


 宇多津から合計65分で終着駅、宇野に到着。路線記号[]の導入に合わせて、駅名標も路線色(薄い水色)の入ったものとなった。
めぐ「これなんて言うかね…、うちのパソコンソフト入ってる乏しい色の…。」
なぎ「今、パソコンソフトなんかどうだっていい。」


 ホームから見た限り、港のほうに建物はほとんどないようだ。駅近くの家電量販店が目立って仕方ない。
ユン「どこでもあるものですよね?」
もも「何、新しいパソコンソフト?」


 現在は1面2線の頭端式ホームとなっている宇野。乗ってきた213系はそのまま1時間待って折り返す。せっかく来た以上、少しでも駅周囲を見て回りたいものだ。

(つづく)