いよいよこのときを迎えてしまいました。2010年3月、この旅行モノに一旦距離を置くこととした"卒業旅行"。その裏で勝手に進めていた、もうひとつの物語。2人の関係性が再び動き始めます。そしてさらに、続きがありました。

凡例
私:『鶴岡まき
お姫:『姫路ももか
岸田さん:『岸田あいか
白木さん:『白木ひろみ
津山さん:『津山涼子
黒坂さん:『黒坂なぎさ
"彼女":『市川めぐみ



もうひとつの旅行班 第3夜『もうひとつの旅行班』

 いよいよ当日を迎えました。作戦そのものなど、大まかなものはお姫が考えてくれています。それによれば、午後9時半から10時までに米原へいればいいのです。

 とにかく時間まで、京都観光に勤しみましょう。でもやはり、終始浮かぶのは"彼女"のこと。せっかくの京都を、うまく堪能できません。せっかくお姫が考えてくれたのに…。

 時間は待ってくれません。夕食もそこそこに、米原で待ち構えなくてはなりません。"彼女"たちがこれまでに、何度も通っている米原の駅。北陸本線の管轄の関係もあって、在来線の管理はJR西日本が担っています。

 そして…、"ラスト・ラン"のため在来線ホームへ来た"彼女"たち。

ひろみ「ちょいと…、何勝手に終わろうとしてんだよ?」


 お姫と"彼女"、黒坂さん。津山さんもいます。そしてもう1人、見慣れないのはあの友達でしょう。名前を『森川さくら』といいました。

まき「あの…、初めましてでしたっけ…?鶴岡、まきです…。」

 ここでお姫が明かします。

ももか「私が組んだの、…"第2の旅行班(アンタら)"をね。」
涼子「組んだって…?」
ももか「私だっていつまでも素人のままだと思ったら大間違いよ。」
あいか「ごめんなさい、勝手に京都行っちゃって…。」
ももか「…別にダメなんて言ってないし。」
さくら「3人で楽しかったんならいいよ…。」
まき「…いいんですか?」

 思わず口に出してしまいました。ここからは"彼女"たちの"グランドエンディング"まで、共にしましょう。

2010年3月28日(日)午後10時28分 滋賀県米原市・米原駅を出発


1582.米原22:28発→大垣22:59着 普通3232F・大垣行き モハ313-5003
 全員が揃って、最初で最後かもしれない旅路。やはり申し訳ない気持ちが勝っていました。

まき「…ダメですよ。」
ももか「ダメって、それこそ帰れなくなってダメじゃない。」
まき「迷惑かけるだけ…」
なぎさ「同じだった。」

 黒坂さんが重い口を開き、私に言いかけたこと。

なぎさ「最初…、私が迷惑だと思ってた…。でも違った。」
まき「…違ったって?」
ももか「まだわかんないの?」
まき「……?」
めぐみ「…自信なかったの。」

 自分はこの中で迷惑な存在…、それは"彼女"が誰よりも自覚していたことでした。時間に遅れることもあれば、プランニングが甘いこともあったそうです。それでも結果として今日まで続いてこられたのした。

ももか「まあ最後なんだし、ゴールぐらいね…。アンタらもそれでいいでしょ?」
めぐみ「…いいけど。」
まき「…本当に?」

1583.大垣23:02発→名古屋23:34着 快速(名古屋から普通)5602F・岡崎行き モハ310-6
 大垣で乗り換え、そして最後の列車。長く続いた旅は、もうすぐ終わりを迎えます―

めぐみ「ついこの前だったのに…。」
ももか「楽しいときってすぐ終わっちゃうのよ…。」
まき「…もしいつか行くってなったら、…?」
めぐみ「…基本は4人だけど。」
まき「気が向いたらでいいです。」

 あ…、ついついこぼれてしまいました。ごめんなさい。

なぎさ「…まあ軽い系ならな。」
ももか「そのかわり邪魔しないでよ?」

 本当に私でいいのでしょうか?そんなことを聞き返す余裕はありません。でも、もう答えは決まっていたのでしょう。

 大垣から名古屋まで、"最後の32分"。気づけばこれまでの曇った気持ちが、かなり晴れていました。
めぐみ「…終わっちゃった。」
ももか「…アンタらとしばらく顔合わせなくてよかったわよ。」
さくら「…そうかな?」

 そして最後…、黒坂さんの言葉。

あいか「落ち着いて。」
なぎさ「…本当、楽しかった。私もめぐみもモモも…、ダメだけど一緒で本当よかった…。」
まき「…私。」
ももか「今度は私が誘うの。」

 …今までありがとうございました!
涼子「がんばってよ。」
まき「…はい!」

 こうして"彼女"は長い旅に一区切りをつけ、今までの長旅を記録として残すことを決めたのでした。私が認められたのかどうか、メールで"彼女"から来ました。

「今日はありがとう。今までごめんなさい。」

 内容としてはこれだけでした。でも私にとってとても重く、響いた答えです。今の気持ちは、夕立からのきれいな夕焼け…。

もうひとつの旅行班 第4夜『それからの私』

 あの卒業旅行から1年ほど、"彼女"は遠出を控えたそうです。きっと今までしてきた長旅の記録を、何かしらの形にしてまとめていたのでしょう。私も密かに、復活を期待していました。

 やはり"彼女"は再び旅物語を始めます。もちろんメインであるお姫と黒坂さん、森川さんの4人組。私の出る幕はありません。ただ"彼女"も、あるべき形が何か模索しているらしく…。

 一方で私たちも再始動しますが、お姫はあまり関わりません。代わりに入ったのは津山さんでした。確かにこの4人でも、うまく回っています。

 ただ私は…、"彼女"からの誘いを待っていたかもしれません。でも待てども、連絡していない以上返って来ません。そしてそれは突然でした。おそらく"彼女"は何か用事があったのでしょう。気づけば邪魔にならないよう、私は追いかけていました。

まき「あの…。」

めぐみ「…鶴岡さん?」
まき「まだ、覚えててくれてたんですね…。」
めぐみ「どうして?」
まき「だって…、昔いろいろ…。」

めぐみ「もういいじゃん、そういうの。」

2012年12月6日(木)午後2時48分 名古屋市中区


 どうやら用事が想定より早く終わって、いつものようにこのまま帰るのはもったいないと考えたのです。ただお金があまりないらしく、地下鉄の範囲でどこへ行こうかといいました。

まき「どこでもいいから私も…、いいですか…?」
めぐみ「いいけど…、大したのないよ。」
まき「ありがとうございます!」

 "彼女"が考えていたのは八事日赤、徳重。そして名古屋大学…。
めぐみ「…名古屋大学行こう。」
まき「名古屋大学…、ですか?」

1.久屋大通15:00発→名古屋大学15:21着 普通・名城線右回り 2410
 名城線が名古屋大学まで開業したのは2003年末。"彼女"は2004年の元日に出向いているらしく、当時はまだ環状が完成していません。程なく環状は完成しています。

めぐみ「ここから新しいのわかる?」
まき「ああ…、そういえばきれいに見えますね。」

 確かにナゴヤドーム前矢田から先、どこか雰囲気が新しいのです。新しい区間の駅はデザインも考えてあるのか、無機質な感じがあまりしません。そして"彼女"がポスティングをしていること、それがきっかけなのか住宅街好きになったことも知りました。

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 ポスティングの話をしながら、地下鉄としては長い21分の乗車時間。"最先端"をイメージしたのか、黒っぽい大理石調の名古屋大学の駅。もちろん入学予定はなく、冷やかしに来たわけでもありません。名古屋大学から八事日赤まで歩くことになりました。

 大学を離れるとマンションが並んでいます。"彼女"によるポスティングで大規模マンションは配布数を増やしやすい反面、"お断り"ともなれば手元に多く残ったままとなってしまうのです。

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 そしてこのあたりは坂の多い地形。"彼女"は坂が気になったようで、家の周りにこういう坂がないといいます。"彼女"は濃尾平野に位置するあま市(旧美和町)在住で、確かに海抜も0m前後と低く真っ平でした。

 さらに歩きだからこそ坂がいいと言い、自転車で上り坂はきついものだと語りました。
めぐみ「何がきついって、緩くても長い坂だったらいつもより強く漕ぐのが長く続くの。」
まき「そうでしょうね…。」

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 そのまま八事日赤に着いて、地下の駅へ下ります。
まき「これで終わりですか…?」
めぐみ「どうしようかな?まだ1駅歩いただけだし…。」

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 結局八事日赤からも歩くこととなりました。この頃の"彼女"は歩きモノに積極的で、なんとかーズハイ的なアレな気がして仕方ないらしかったのです。
まき「坂道歩きがってことですよね…?」
めぐみ「…まあ自転車もだけど。」

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 名古屋大学からゆっくりと、丘陵地を歩いておよそ40分。今の"彼女"とたくさん話しながら、早々と八事に着きました。ここまで起伏に富んでおり、私も結構楽しめた気がします。
めぐみ「八事ってイメージ…?」
まき「大学とかマンション見ましたけど…、どうですかね?」

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2.八事16:16発→伏見16:32着 普通・上小田井行き N3302
 鶴舞線では堂々と新車が来ました。N3000の2編成目は、日本車輌で製造されたステンレス車体。新しい座席は硬めながらもクッション性がよく、座りがよく感じられました。
めぐみ「私こういう新しいの好きでしょうがないのよ。」
まき「…それより何か他事考えてましたよね?」
めぐみ「今さっきだけど次に柏森行きってあったじゃん?」
まき「ありましたけど…」

 "彼女"はそのまま、かつてJRを通じて高山まで直通していた特急『北アルプス』号の話をしました。新鵜沼駅横の渡り線を直して、美濃太田まで電化させて。それならば豊田市から地下鉄を経て美濃太田直通もありだと思う、…という話です。

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 妄想だけならば、私でも好き勝手にできます。そのまま地下鉄としては長い16分、東山線との乗換駅である伏見で降りました。
めぐみ「本当ごめん、勝手なことばっかりで…。」
まき「いえいえ、こんな私なのに拒みもしないでくれてありがとうね…。」
めぐみ「またついてきてもいいよ。」
まき「いいんですか…!?」
めぐみ「何かされたっても昔だし。」
まき「…ありがと。」

 ついに私は、"彼女"から認められたのです。接し方からして、上辺だけとも思えません。

 少し経って、黒坂さんのお姉さんから呼び出されます。何か悪いことでもしたのかと少し思いましたが、違いました。

「あなたが鶴岡さん?」

 あのときから話に聞いていたお姉さんですが、やはり黒坂さんのように背の高い美人系でした。ただ雰囲気は違って柔らかく、人懐っこいらしいです。

 本題はといえば、"彼女"たちがお揃いのシャツとパーカーを作りたいとのこと。そのために私のサイズを測りたかったのでした。さらに何色がいいかと言うので、グレーか黄色でしょうか…?

 また少し経って、黒坂さんのお姉さんから再び呼び出されました。"彼女"たちと同じ、シャツとパーカーが完成したのです。これでお揃い…、私もようやく"彼女"たちの一員になれました。

 これは旅に出られることしか取り柄のないダメ人間による、長い旅の物語。そして今後、一生続く旅物語の再スタートを告げるお話。そう願っています―
(おわり)

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随分昔の話になってしまいました。では話を2019年に戻しますと、こちらのYahoo!ブログはこれで最終回となります。一応メインブログの後釜は決まってまして、アメーバブログ(https://ameblo.jp/mstomato3/)へ移転する予定でいます。

じゃあ…、ここでお暇しましょうか。では次回、アメーバブログでお会いしましょう。長らくのご愛顧ありがとうございました。