2019年7月20日(土)午前9時18分 山形県西村山郡大江町


 途中に大昔のガソリンスタンドらしき看板を発見。今となってはほぼ見かけないものかと…。
さく「丸いんだよね、ああいう。全般的に。」
なぎ「そうそう、それで昔とか。結構。」


 改めて洋式トイレに乏しい中で、なんとか用を済ませられた。ではもう1つ気になっている交流ステーションで、残りの時間を過ごそうか。
もも「結局そうなったし。時間だけ余らして、することない。」
めぐ「…もだけど、朝食べてないんだよね。」


(現)小岩井ミルクとコーヒー(キリンビバレッジ) 税抜98円
 そして水分と共に、朝食を確保しておきたかった。こういう立地で24時間営業は必ずしも必要なく、ドラッグストアが大いに役立つもの。甘めな"モーニングコーヒー"と共に、惣菜パン2つを選択。
もも「いや…、さ?店はないんだけど?」
さく「そう、だからこういうのしか。それにさ…。」

(現)大きなメンチカツ(山崎製パン) 税抜128円
 もはや定番の肉食系ドーナツ。それでもこの肉感はやめられない、それが『大きなメンチカツ』。

(現)まるごとソーセージ(山崎製パン) 税抜108円
 こちらは意外にもご無沙汰だったり。ホットドッグとも異なり、味付けが加熱されたからしマヨネーズ。手軽なそれこそ『まるごとソーセージ』。
さく「結構がっつりしてるし。」
めぐ「で、お昼にお米をね…。」

(現)十六茶(アサヒ飲料) 税抜84円
(現)グリーンDAKARAやさしい麦茶(サントリー) 税抜78円

 他2品はここからの水分補給用だ。ここからもそこそこ移動時間がかかるため、手元には余裕を持たせておきたい。
もも「…やっぱり時間だけ余らして終わったんじゃないのよ。」


 せっかくなので大江町交流ステーションについても取り上げよう。どうも外観は"櫓"をイメージしたらしく、外壁も石垣を意識した装いという。内装も地場の『西山杉』を使用したとあり、天井など木のぬくもりを感じさせた。(引用:大江町観光物産協会)
さく「それとさっきからさ、妙なのが聞こえてくるんだよ。」


 中は休憩スペースのほか、売店や各種展示コーナーなど。大江町の各種動画も流れており、時折流れる"ひだりじゃない"というフレーズが耳に残ってしまう。
もも「…あれ、アンタ傘は?」
めぐ「…あれ?」
なぎ「…置いてきたな?」


 ここまである種"ジンクス"のようなものを信用し、雨が降りそうな様相の時には買ってでも持ち歩いていたビニール傘。どうやらトイレに入った際、置き去りのまま忘れてしまったらしい。過去手元にビニール傘を持っていれば雨降らず、曇り気味な空の下で傘を持っていなければ…。そういうこと。
さく「ま、仙台だと晴れてたかもだし。なんなら途中でも。」
めぐ「じゃあ…、そうしようかな。」
もも「本当今日、不安しかないんだけど。」

 ということで左沢の"散策にならなかった散策"はここまで。少々の距離を隔てれば道の駅と温泉があり、本数が限定されるもののバスが通じている。次に来る機会があれば、ぜひそちらも楽しみにしたいものだ。


7.左沢10:11発→山形10:51着 普通334D/山形行き キハ101-13
 復路も同様にオールロングシート、トイレのない専用気動車を2両連結。この便こそ、当初到着する計画だった折り返しにあたる。傘がないならばジンクスからして、今回は結構不安だ。
もも「アンタの計画なのに、雨が降ったら全部だめとかさ。」
めぐ「一応…、そのために2日連続で。」


 では往路と対になるよう、左側の景色を見ていこう。しばらくは山のほうを向いている…。
さく「…何かない?」
もも「そればっかりだし、ないならパス。」


 羽前高松は片面ホームに新しい待合室とトイレ、隣接して高松地区の公民館がある無人駅。簡素ながらも雰囲気はなかなかよさそうだ。
めぐ「降りるわけにいかないもん。」
さく「そりゃそうだよ、次…。昼過ぎるし。」


 車内から改めて寒河江の近代的な橋上駅舎と、左沢線の車両基地を見ておきたかった。しかしどうもやはりタイミングは難しい。するとここから、客が一気に乗車してくる。
さく「いいじゃん、調べて出てくるもんだろうし。」


 往路ではヒマワリ畑を見た羽前長崎。ホームの反対側は住宅が多い景色となるが、こちらもタイミングがしっくりこない。おまけに雨も降ってきた。
もも「ほらやっぱり…、傘置いてきたのが悪い。」


 羽前金沢の付近に来れば、左側がひたすら田畑の広がる風景となる。初夏に植えられた苗が青々と育ち、秋になればやがて黄金色に染まり。稲穂が実っていくのだろう。


 福島から通じてきた東北中央自動車道。2025年時点では相馬から東北自動車道を挟んで、新庄真室川まで1本でつながっている。山形から先、秋田県まで1本で繋がるのはいつになることか…?
もも「本当、免許もね…。」
めぐ「…ようやく新車でってのに?」


 東金井に停車したキハ101。復路は左側に座ったため、住宅街の景色を向いている。
なぎ「あんま邪魔すんなよ。」


 北山形は3路線(左沢線,仙山線,奥羽本線)全てに相対式ホームを有している形。あとはそのまま山形まで、1067mmの線路を仙山線と共用する。
さく「後はもう流れでいいでしょ。」


 トイレなしオールロングシートで40分、特に不満もなく到着。単線ですぐ隣から発車するとわかった以上、1分乗り換えでも勝算はあった。
もも「随分余裕かましてたけど、完全に確信犯ね。」
なぎ「…これ座れるか?」

 これにてひとまず山形を後にした旅行班。仙台市内へ戻って向かう先は利府、そして…。
(つづく)

 左に沢で"あてらざわ"。

 

2019年7月20日(土)午前8時29分 山形県寒河江市/寒河江駅


 寒河江は数少ない有人駅にして、折り返す便も多い拠点駅。1面2線の島式ホームであり、先に入っていた山形行きが隣から発車するタイミングだ。せっかくなので気分転換がてら、外へ出よう。
もも「そうそう、この時間大事って。」
さく「言ってたけど、まあね…。」


 ここで後ろ2両を切り離し、前2両はワンマンとなる。ここまでは4両となっていたため、ワンマンで運転することができなかった。
もも「ってか、切り離すシーンってんでしょ。」
めぐ「…そうだけど?」


 近代的な橋上駅舎が上に架かっている。この駅は2001年まで若干異なる位置に有したらしく、かなり以前の鉄道雑誌にて移転工事が完成したことを取り上げていたと覚えている。
めぐ「完成までなんか、バス代行とかあって。」
なぎ「そんなもんよく覚えて…。」


6.山形7:50発→左沢8:44着 普通327D/左沢行き キハ101-12
 北仙台から北山形を経て、目立っていた運動部の高校生。西寒河江までに全て下車していった。
さく「これでようやく楽になれるよ。」
もも「いや、だからさ…?そういう。」


 以後はすっかり空きの多い車内。周囲も再び開けて羽前高松へ。ここまで見る限り、電化されていないだけで完全に通勤路線のそれである。
なぎ「じゃあこういうロングで、トイレなしがいいってか?」
めぐ「まあ、ここだけで終わるならね。1時間ぐらいだし。」


 高台のようなところへ上がってきた。柴橋の次は、路線の終着駅たる左沢。最後にトンネルを2つ抜ける。
めぐ「…あれ?」
さく「別にトンネルの1つ2つ、奥多摩だってそう。」


 向かいの足元を見れば、置き忘れられている水筒が1つ。
もも「多分さっきの子たちのよ。」
さく「そのままってわけにもいかんし…、どうするよ?」

 山形から54分で到着。乗車時間も限られているため、オールロングシートでも問題にならない。ホームは1本だけであり、寒河江からは1列車しか乗り入れられない。


 駅舎は大江町交流ステーションを併設しており、なかなか大きいもの。もっとも駅機能は1階の一部分に集約されているため、実質はそこまで大きいものでなかったり。
もも「さすがに早いでしょ、今朝…。」
さく「後でしょ、時間あるじゃん。」


 日本海側に位置する内陸の"まち"だけあって、おそらく冬は雪が多く降るのだろう。駅前へ通じる道には消雪パイプが埋め込まれ、路面が赤茶色くなっている。
めぐ「これ、あるとこう…。」
なぎ「なんかパイプの鉄分とかが出るんだってな。」


 大江町の地図があるのでとりあえず見ておきたい。駅を基点として、歩いて回るルートがいくつか用意されている。当初計画では10:04着の予定となっており、12:54発までじっくりと回れたことだろう。
もも「そうそう、場所を確認するのもね。大事なこと。」
なぎ「じゃあ、行くか。」


 今回は予定を早めたため、90分を切る滞在時間。そんな限られた時間で、自己流で可能な限り見て回ろう。駅前のドラッグストアはまだ開いていない。
もも「なんか…、またヤーな予感がするんだけど。大丈夫?」
めぐ「…調べてはない。」


 銀行と郵便局があって、コンビニはない左沢の駅周辺。最高速度"40"の下に付く補助標識は、区間内に"高・中速車"とあるものが残っていた。
めぐ「アレ、今ないヤツなのよ。」
なぎ「昔あったんだっけな…、じゃあいつだ?」


 山形県道23号は国道458号にぶつかっており、調べれば天童市から続いてきてこの『左沢』が起終点らしい。直進方向にあたるのは県道112号で、国道287号を経て長井とある。信号機は雪の多い地域らしく縦型だ。


 交差点を左に向いてみよう。国道をそのまま進めば、最上川を渡って山形市にたどり着く。この国道458号も曰く付きで、2019年時点でも未舗装の峠道(十部一峠、2021年以降通行止)が残っていたり。
もも「本当、そういう…。」
めぐ「いいじゃん、こういうのも。」


 国道から外れ、古くからあるまちなみへ。こちらも消雪パイプが埋め込まれ、路面が赤茶色くなっていることで雰囲気も出ている。
さく「…何かない?」
もも「調べてないってんだし、わかんないわよ。」


 ふれあい会館と公園。調べたところこの町民ふれあい会館は、452席を有する文化ホールという。
めぐ「ごめん、トイレ行きたいんだけど。」
なぎ「ああ、さっきの中になかったからな…。」


 結局は何をするということもなく、駅に戻る流れになった。駅周辺は基本的に住宅と、古くからの店々が目立つ。朝9時という時間だけあってか、しっくりくる飲食店は見当たらない。そびえるのは…?
もも「いや、だから。スルーじゃなくって。」


 大江町役場も駅から近い位置にある。正面こそ新しくしているものの、建物自体は古めかしい。参議院通常選挙の期日前投票があるため、この土曜日は裏手が開いている。表玄関は開いていなかった。
さく「ってか、あそこ入ったのも平日だったでしょ。」
なぎ「そもそも勝手に入り込むなって…。」
めぐ「ごめん、他ないから駅…?」


 とりあえずトイレに入りたい。役場でできないとなれば、駅しかないだろう。引き上げて戻るのが最善だ。
めぐ「あったと思うんだよね。」
もも「いいけど、いつも危なっかしいからさ。」
(つづく)


リタ「リタでーす。今日は…、何かな?」
めぐ「今からもう6年前になるかな?仙台で野球見に行った、2日目のお話。最初に向かうのが"左"に"沢"で"あてらざわ"っていうんだけど、わかる?」
 

 

 新時代『令和』最初の夏休みも2日目からが本番。仙台市内を早朝に出てまず向かう先は、"左"に"沢"で"あてらざわ"の左沢線。この路線でしか使われない車両があるということで、乗って調べよう。


 …ってか、君誰よ?ちょっとアレンジしてみたけど、小さな子というイメージだけではなんかうまくいってないような?まあ、いい。時間を2019年7月20日朝に戻して、本編に進もう。

2019年7月20日(土)午前6時23分頃 仙台市青葉区/東北福祉大前駅


5.北仙台6:17発→山形7:37着 普通821M/山形行き クハE720-34
 しばらくは山へと入りきらず、住宅の多い中を進んでいくE721系。この通勤通学需要が多いため、快速の多くは仙台から愛子まで各駅停車となっている。東北福祉大前に停車…。
めぐ「ごめん、早かった。」


 タイミングが合わなかったためやり直し。ここではあまり乗客が下りることなく、そのまま片面のみのホームを発車する。
もも「…何を期待したってのよ?」
さく「ちょっとは降りるのかな…、とか?」


 全区間単線で結ばれる仙山線。どことなく仮設らしい雰囲気の葛岡も、ホーム1本だけで両方向とも捌いている。周囲は何やら建物の工事が進められているようだ。
さく「調べてよ。」
もも「…マンションとかじゃなくって?」

 以降は景色がよくなろうとも、なかなか開けない。
さく「…何かない?」
もも「ないんだったら黙ってなさい。」


 やがてこの路線の主要駅にして、区間運転の"折り返し"駅。愛子と書いて"あやし"と読むのは、繰り返し覚えておきたい。別名を"秋保温泉口"という。
なぎ「温泉…、あるんじゃなくってか?」
めぐ「もっと後にあるよ。」


 その先は同じ仙台市内でも、雰囲気は大きく変わってくる。着実に山へと進んでいき、建物も比較して少ない。
もも「…これ本当、仙台?」
なぎ「普通に言われればな…、金沢だってそうだろ。」

 作並にかけて臨時駅がかつてあり、それはどこだったか。2006年当時は全便通過したものの現役であり、当然ホームは残っていた。廃止後の2017年には撤去されたらしいが、当時通った際は夜間であった。
さく「…調べてよ。」
もも「だから、アンタが調べなさいって。」


 臨時駅は『西仙台ハイランド』と『八ツ森』の2つ、どちらが先だったか。
さく「ま、西仙台ハイランドはわかるんだけどね。」
なぎ「お前な…。」


 そしていよいよ山奥へと進んでいく。ここまで来ると建物らしい建物はなく、2006年当時は携帯電話が圏外だったことを思い出したり。仙山トンネルが県境となり、ようやく『仙台市内』から抜けていくE721系。
めぐ「冷蔵庫現象の。」
もも「中が涼しいから、暑い外出たら冷えたドリンクってんでしょ。」


 トンネルを抜けた先の面白山高原は山形県にあり、かつて快速が停車したものの現在は普通のみの停車駅。これは仙台市内にある奥新川と同様、事実上の遠近分離を図っていたものと考える。
めぐ「一応、これも新しいのをね。」
さく「あ、古いのって本当に古かったんだった…。」


 山寺が近づいてきた。ここからは山を下って、山形市内へとひた走る。
さく「…山寺どこさ?」
もも「…こっちじゃないわよ。」


 楯山に来れば周囲も開けており、山形市に入った印象。客層は終始、部活動などの高校生が目立つ車内。
なぎ「おぅ、慌てんな。」
さく「本当、若いっていいよね。」


 羽前千歳は山形(新幹)線とホームを共有し、それぞれ単線のまま交差。以降は並列して山形へ。見えている照明塔は"Y"の字を模ったようだが、これは何だろうか?山形市に野球場が新しく完成し、1軍公式戦も行われるというが…?
もも「パス。」
さく「…パス2。」

 ということで、きらやかスタジアム(山形市総合スポーツセンター野球場)であった。


 北仙台から80分で山形に到着。仙山線の隣には専用塗装をまとった、左沢線の気動車が待機している。早速そちらへ乗り込もう。


6.山形7:50発→左沢8:44着 普通327D/左沢行き キハ101-12
 専用気動車キハ101は17m級の単行式、オールロングシートでトイレが設けられていない。淡赤色の席に座った感じは柔らかめな印象だ。4両連なっているうち、後ろ2両は寒河江で切り離される。
めぐ「…どうだろうかな?」
さく「まあ…、そんなに悪くはないんじゃないかな。」


 北山形までは仙山線と線路を共有する。山形へ進んだ際とは反対側に座ったため、この区間でも見られる景色は違うもの…。


 仙山線から分岐する北山形は、3路線全てに相対式ホームを有している形。ここで早くもというのか、反対方向の車両を待つキハ101。
もも「いや…、さ?そういうのって。」
めぐ「ないもん、紙の時刻表に。」


 非電化単線となった左沢線。山形市にあって山形駅から近いため、しばらくは住宅が多い景色だと思わせる。
さく「ま、この辺は。」
もも「アンタら本当、何期待してたのよ?」


 左側はいきなり開けて、田畑やビニールハウスが主体となった。右側は東金井まで住宅街らしい。
さく「ほら、変わった。」
めぐ「帰り、右のほうを…。」
もも「行き止まり路線往復でよかったこと。」


 東北中央自動車道は無料区間を挟みつつ、2019年4月に晴れて福島まで繋がった高速道路。右側の景色も開けた田畑が多くなった。
もも「それでまた道路の話やろうってんでしょ。」
めぐ「まあ…、動画ならいくらでも。」


 そんな水田地帯が続く中、山裾にメルヘンな建物を発見。周囲の風景から結構目立っている。
なぎ「…わからん。」
もも「…パス。」
さく「パス2。」


 やがて羽前長崎に停車。駅前にはヒマワリ畑が広がっており、夏らしく美しい風景となった。
めぐ「曇ってきてるけど。」
もも「いい?雨とか、フラグとかありそうだし。」


 最上川を渡ると寒河江市に入って、また住宅の多い景色となる。そろそろ路線の拠点駅、寒河江へ…。
(つづく)