大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版によると、化学療法治療実施上の注意点に、治療効果に関する記述があります。
・ 治療効果は、CT,MRI などの適切な画像診断を用いて判定する。奏効度の判定には、RECIST(Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)ガイドラインを用いることが望ましい。
・ RECIST または臨床的に明らかな病状の憎悪、重篤な有害事象の発生、患者の拒否のない限り、治療スケジュールを遵守して治療を継続することが望ましい。
それでは、RECISTとは何なのでしょうか? 【読み方】れしすと
○ 固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライン) ― 改訂版 version 1.1 ― 日本語訳JCOG版 ver.1.0
ポイントを一部抜粋します。
4.3. 効果判定規準
本項では、客観的な腫瘍縮小効果の判定に使用する規準の定義を示す。
4.3.1. 標的病変の評価
完全奏効(Complete Response:CR):すべての標的病変の消失。標的病変として選択したすべてのリンパ節病変は、短径で10mm未満に縮小しなくてはならない。
部分奏効(Partial Response:PR):ベースライン径和に比して、標的病変の径和が30%以上減少。
進行(Progressive Disease:PD):経過中の最小の径和(ベースライン径和が経過中の最小値である場合、これを最小の径和とする)に比して、標的病変の径和が20%以上増加、かつ、径和が絶対値でも5mm以上増加。
安定(Stable Disease:SD):経過中の最小の径和に比して、PRに相当する縮小がなくPDに相当する増大がない。
RECISTは、化学療法アルゴリズムでは治療ライン移行の目安となり、特に治験ではより厳密に用いられると思われます。
尚、大腸がんだけでなく、他の固形がんにも適用されます。
◆ 2017/3/7 追記 CR症例でも腫瘍遺残 ◆
一次治療として行われている併用化学療法±BEVの臨床的CR率はおおむね5-15%程度と報告されているが、臨床的CRの約80%が真のCRではなく、臨床的CRが得られた場合であっても根治として扱うことはできない。
― 国立がん研究センター MDT 大腸がん治療戦略 Vol.1より ―
100人に1人~3人は化学療法で根治するという意味なのだろうか。
◆ 2017/3/18 追記 ◆
100人に1人~3人というよりは、100個(サイト)に1~3個(サイト)は、腫瘍遺残せず消失するという意味なのかもしれません。