税理士・川﨑由紀子 ~オフィシャルブログ~ -22ページ目

平成31年度の税制改正事項の
一つである「寡婦(夫)控除」の見直し。
カフコウジョと読みます。
聞きなれない言葉ですよね。
寡婦(夫)控除は所得控除の一つです。
税金の計算上、引くことができるので、
該当すれば税金が安くなります。
寡婦(妻)を前提に仕組みを説明すると、
・夫と死別・離婚した後、未婚の者で
扶養親族又は同一生計の子あり、
・夫と死別後、未婚の者で合計所得金額が
500万円以下、に該当すると
27万円の控除が受けられます。
さらに、
・夫と死別・離婚した後、扶養親族である子
があり、合計所得金額が500万円以下
に該当すると控除額は35万円となります。
夫亡き後、シングルで生きるのは大変だから
税負担を軽減しましょうね、
といったところです。
ところがこの制度、実はちょっと
使いづらくなっているのです。
なぜって条件が「結婚したことがある」
になっている。もちろん、民法上の婚姻です。
ですから、未婚、事実婚シングルで子育て
は対象となりません。
一昔前なら、未婚で子どもを産むのは
大変なレアケース?であったことでしょう。
事実婚もしかり。
でもイマドキそこそこ聞く話です。
この少子化の進む格差社会において、
未婚シングルは経済的弱者になりがちです。
ここにこそ配慮が欲しいところですが、
今の寡婦控除の仕組みでは、
婚姻歴がないと適用されないのです。
実態としては同じひとり親世帯。
大変さは一緒。
法律婚を経たかどうかで税負担に差が
でるのは変じゃない?
そもそも税制は個人の生き方に中立なはず。
これが所得税だけの問題なら
さほど影響は多くないのでしょうが、
この所得控除は住民税にも関わります。
そして、年税額は社会保険料や保育料など
公的サービスにおける負担額計算の
基準となります。
所得控除の適用が一つあるかなしかで
さまざまな負担が違ってくるのですね。
それなら多少条件を見直しても、
「ひとり親控除」的にすれば?
とまぁ検討中なわけです。
やっと今年は何らかの動きがある予定です。
だって去年から、H31年度に検討し結論を得る
って言ってたのですから。
重い腰を上げたのは、これまで慎重論が
強かったからとか。
制度の変更には抵抗感を持つ層はあるものです。
近代から昭和に連なる日本の経済成長を支えた
伝統的家族制度?の効用を固く信じる人たち
かしらん
そもそも税制はあるべき社会への
インセンティブという要素があります。
こうあってほしい方向に有利なっている、
みたいな。
(大原則は『中立』とはいえ、いろいろと
大人の事情が…
)
よく言われているでしょう?
税制を見れば国家がわかるって。
(どこかの租税学者のコトバ)
となると、寡婦控除の見直しは、
伝統的家族観にしばられなくてもいいよと
いっているようなもの、とも受け取れます。
そりゃ気に入らないよね~。
でもこれだけ多様性が許容されている時代、
道徳観念も変化しているわけで。
伝統という呪縛に囚われなくてもね。
子育支援という大義名分も
あることですし。
滞る水は腐る。
変化する者だけが生き残る。
温故知新ではあるけれど、
やはり変化を恐れてはいけないのです。
それでなくても、女性をめぐる制度は
軋みがありながらもいまだ旧態依然。
何がホントに公平なのか、
日本の社会はどうありたいのか。
典型的は家族ってなんだろう。
税制改正の一項目にいろいろと思いを
巡らしてしまいます

先日の富田先生の研修の
もう一つのトピックス。
「譲渡所得税のみなし取得価格に代わる
市街地価格指数等による推計について」
譲渡所得は、土地建物を売った金額から
取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
譲渡益があれば税金がかかります。
ザクっと考えて、手に入れた値段より
高く売れれば、トクしたことになりますね。
その部分が税金の対象となります。
売った価格は今現在の話なのでわかります。
問題は手に入れた(取得した)価格です。
この数年、10年、20年程度なら書類も
残っているでしょう。
しかし、それが30年以上前、ましてや
親から相続で引き継いだものだったら
いくらで取得したかなんてわかりません。
手がかりになる資料を必死に探したけど
どうしても見つからない。
しょうがない、適当に決めておこう。
気持ち控えめだからいいよね~。
なんてダメですよ
こんな場合、税務上は売った価格の
5%相当額とすることができます。
4,000万円で売ったのなら、
その5%、200万円となりますね。
でもこれってなんか少なくありません?
確かに昭和の中ほどであれば、
こんなものかもしれません。
でも、近年の歴史を振り返ると、
土地の価格なんてそりゃあもう
泡のごとくフワフワブクブク
膨らんで、はじけて、それから…、
なんて頃もありました。
そんな極端な頃は別格として、
資料がないから取得費5%で計算するのは
どうにも理不尽に思えるケースが
あるのです。
現在と比べた当時の価格を推計するに、
それなりの金額であっただろうに…。
ではそんなときどうするか。
「市街地価格指数」という指標があります。
大まかな区分ごとに土地の価格の変動状況が
年単位で比率として数値化されています。
これも使えなくはない。
しかし、かなり冒険と言わざるを得ません。
この指数、作成元はしっかりしています。
ですが地域区分は六大都市圏、それ以外の
地方、三大都市圏などとても広いくくり。
そして種類は商業地、住宅地、工業地の3区分。
つまり、とってもマクロなのですね。
ピンポイントの価格を特定するには無理がある、
と言われると、はい、その通り…
判例にもあるように該当宅地の
個別性と地域性をどう考慮するか、
となると妥当性が難しいのです。
で、これらを踏まえた上で、
市街地価格以外による推計の可能性について
検討するのですが、やはりポイントは
個別性と地域性。
逆に、この2つをしっかり論証できれば、
それはそれで信憑性はあるわけです。
(否認の材料がないというべきか…。)
そのためにどのような資料をどこで集めて
どんな変化に注目するか。
富田メソッドを教えていただきました。
やっぱりアナログだけどコツコツと
積上げるしかないのね。
地味な作業だわ~。
でも、税額が×××万円も違えば
チャレンジしなくてはね。
私も過去の譲渡所得申告では
取得費不明で、四苦八苦したこと
ありました。
市街地価格指数から地価公示、基準地価、
固定資産税評価額、ともかく対象地に関する
入手できうる数字をかき集め、
少しでも関連のある資料を見捨てず?
資料の裏付けをとるため閉鎖謄本も取り寄せ、
試算して、文献をあたり、同僚に聞きまくり、
果ては当局サイドまでやんわり探りを入れ?
検討結果をまとめました。
後日談としては骨折り損の笑い話なのだけど、
いや、あの2月は大変だった…
この指数や推計値の利用度?については、
会計事務所によって温度差があるようで。
話を聞くとそれなりの根拠があるのが
また面白い。
今回の研修で、また引き出しが増えましたが、
できればきちんと資料があるに
こしたことはありません。
土地を所有の皆さま、
取得時の資料は大切に保管しておいて
くださいね

たまには時事ネタで。
障害者雇用をめぐり
中央省庁での水増しが
騒がれています。
民間には厳しく運用を義務付けて
おきながら自らはかなり甘く
鷹揚な解釈で通してきたとか。
これは心象悪いですよね。
企業努力に水を差すどころか
障害者の方にも失礼な話です。
その中でも、なにこれ~
と思った点。
(某日刊紙によります。)
おもな水増しの手法
・職員本人が申告した病名のみに
もとづき障害者と判断(国税庁)
・歴代人事担当者が「障害者手帳などを
確認しなくてもいい」と引継ぎ(経産省)
所得税の計算上、『所得控除』という
ものがあります。
税金の計算上、個人的事情を考慮して
税負担の軽減を図る仕組みです。
現在、14種類あり、扶養控除、配偶者控除、
医療費控除などはよく聞くところでしょう。
そして14種類のひとつが障害者控除です。
本人、一定の配偶者、扶養親族が
障害者であるとき、一人につき
27万円、特別障害者は40万円、
同居特別障害者は75万円の控除額です。
この場合の「障害者」判定は
基本的に障害者手帳、療育手帳などを
確認することによります。
私も適用する場合は必ず手帳の写しを
依頼します。
これまで提出いただけなかった方は
おられません。
間違っても自己申告やお身内の
判断だけでは適用しません。
税額に影響を及ぼす事項ですから
適切に運用しなくては脱税行為に
なりかねませんもの。
と民間の現場は適正に一生懸命に
やっております。
しかし、しかし、それなのに
自己申告でいいだって~!
手帳の確認など不要だと~!
納得できない…。
それで済めば、よこしまな発想も
あるじゃないの?
「障害者」をこんなに軽々しく
扱っていいの?
なんかな~
障害者に配慮した制度は
相続税にだってあるのですよ。
それでなくても、今年の確定申告は
書類保存で納税者の方はチクチク
言っていたのに…。
問題はもっと深いところに
あるのかもしれないけど、
後味の悪い思いです。
さて、この話どうなるのか?
志のある政治家、役人
だれか頑張ってくれるかしら

先日の研修は土地評価について
講師は税務と不動産に精通する富田先生。
「財産評価における不動産の調査の仕方」
をテーマに豊富な資料を交え、
テンポよく講話いただきました。
相続税の財産評価、
特に土地は難しい。
特に見落としがちな評価減の事例、
間違えやすい評価の事例は、
うっ
これはあるかも
というもの。
道路に見えて道路でない?
地図と公図で確認。
無道路地の評価ね~。
一筆の土地で利用状況が異なり
評価単位がわからない?
航空地図と建築計画概要書で確認。
利用単位に分けて分けて~。
そして、路線価が付されていない土地。
特定路線価を申請することもできるけど、
最も近い路線価により不整形地評価も可。
どっちがお得?
慌てて申請しないように~。
(これは更正の請求にまつわる
とっておきの裏話つき
)
今回の富田先生の資料は秀逸!
具体例を挙げて
①住宅地図で対象不動産を把握。
②公図で詳細な地番と形状を確認。
③想定整形地を描き、地図に重ね
かげ地割合の計算式とともに表示。
これをずらっと並べると、
ふむふむ、こう考えるのかと
とても分かりやすい。
確かに自分でもこのプロセスで
評価していくけど、
人様が?ここまで親切に色分けして
具体的数字まで落とし込んでくれると
すっきり納得
ありがたや…。
要は土地をちゃんと調べて、
通常の評価ではない可能性を
見極められなけばならないってことね。
はい、十分気を付けます…

女税連組織部の集まりで、
恵比寿の割烹へ。
恵比寿はあまりなじみがない場所
ですが、全方位が商業域。
新しくきれいで高級な施設あり。
庶民的な飲み屋が連なる区画あり。
昔ながらの起伏の富んだ道なり。
五差路の交差点。
不思議に魅力的な街です。
女性税理士の集まりですから、
そりゃあみなさま落ち着いたお年頃
お料理も量は少なめ野菜多め。
美味しくいただき、
会話も弾みました
税理士として、女性として、
人生の先輩方の話はとても示唆に富み
勇気づけられます。
90歳オーバーでも現役でご活躍の方が
いらっしゃるとか!
ボケない限り、
身体が動く限り、
お客様のいる限り、
できるんですね~
そしてもう一つ印象的なコトバ。
「女性が”ありのまま”でいられること
そんな社会、組織でなくてはね。」
つまり、今は女性が”ありのまま”で
いられない。
話の前後を飛ばしますが、要は
アラサーまではぶりっ子(これ自体死語
)
アラフォー(アラフィフもかな)は補助役
(みんなを支えるポジションこそ望み)
みたいに(空気読んで)演じてない?ってこと。
男社会で生き抜くためにオヤジ化してない?
無意識にオヤジ受けを狙ってない?
自分を無理して変えてない?
それっておかしいと感じない?
気配り、たしなみ、思いやり、
常識、良識、処世術、
綺麗な表現はあるけれど、
やっぱりありのままをオブラートに包むこと。
好き勝手には生きられない。
組織にはルールがある。
忖度は円滑な運営に必須のスキル。
そんなこと全部承知の上で、
長らく社会で仕事をしてきた女性のコトバ。
このところ独自の領域で活躍する
女性経営者と接することが多く、
ちょっとこの視点、遠のいてました。
別に女性経営者が”ありのまま”に
突っ走っているわけではありませんが、
少なくともわき役には徹していません。
世間で働く女性は大多数が組織の中。
”ありのまま”を押し殺して望まれる
であろう役割を演じているのかも。
裏を返せば、男性も同じこと。
だれもが生きやすい社会。
男女共同参画、
多様性の尊重、
働き方改革、
少子高齢化社会の給付と負担、
聞き飽きた言葉でも、まだまだ道半ば。
考え続けなければなりませんね

