パートを始めて三ヶ月が経った。

朝、子どもを送り出してから、昼過ぎまで。

近所のスーパーでレジに立つ生活にも、ようやく慣れてきた。



夫は単身赴任で、もう一年近く家を空けている。

六歳になったばかりの息子と二人、

それなりに慌ただしく、笑いも絶えない日々だったけれど――

ふとしたときに、言葉にならない寂しさが、胸に沈んでいるのを感じる。


高橋悠斗くん。

大学四年生。

同じレジに入るバイトの青年は、二回り近く年下だった。


明るくて素直で、仕事も覚えが早い。

妹や弟みたいな感覚で接していたし、彼もきっとそんなふうに私を見ていると思っていた。


「ミキさんの笑顔、好きなんです」


休憩室で缶コーヒーを飲みながら、ふいに彼がそう言った。


「えっ、なにそれ。おだてても何も出ないよ?


思わず笑って、冗談めかして返す。

彼は照れたように笑って、それ以上は何も言わなかった。


――若い子って、ほんと素直。


そう思っただけのはずだった。


なのに、

彼の言葉が、妙に耳に残っている自分に気づく。


意識なんてしてない。

ただ、

胸の奥で、小さな泡がひとつ、はじけたような気がした


そんな違和感を抱えたまま、

私はまた、レジに戻った。




『今もまだ思い続けて2』へ続く↓



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