法事は無事終わりました。


実家に帰ると、兄がいました。


兄が義姉から家を追い出されてた事実。
離婚届を突きつけられた事実。


この件を私たち夫婦が知ってから、最初の兄との対面です。


Gパン、Tシャツ姿で、夏にとても気になった"汗臭さ"。
今は全くありませんでした。

うつ病の典型的な症状の1つ、風呂に入れないという症状。
それは、母によって強制解除させられた様子。
さすがは、母なる力(笑)


ただ、兄の顔は表情に乏しく、葬式の時より痩せてやつれた様子。

この状況でうつ病が良くなるはずないな

当たり前ですが、そう思いました。



兄の離婚問題について考えようと、旦那が中心となり、母、兄、私がテーブルにつきました。


えーっと、お兄さんはいつから追い出されて実家に戻ったんでしたっけ。」

旦那が口火を切りました。


一週間くらい前からね。正美さんが離婚届をうちに持ってきたのよ。」
母が答えました。
兄がはんこを押すまでこれを預かってくれって。兄がはんこを押したら持ってきてくれって。」
義姉の署名を入れ印鑑を押した離婚届でした。


もう出てって。顔も見たくない。」と義姉に言われ、着の身着のまま追い出されたらしい。
子供たちも、どうやら母親側についているようです。
まあ、それは当然か(笑)


実家と兄の家の距離は歩いてほんの3分程度。
いわゆる『味噌汁の冷めない距離』。

追い出されてからも、兄は何か用事を思いつけば、たびたび自分の家に帰ることはあったそう。
特に、パソコン
兄は仕事もパソコン、趣味もパソコンといった感じのパソコン人間でした。

だからきっと、結構な頻度で自分の家に戻ろうとしたに違いない。

そのたびに、「帰ってこないで」「出てって」「離婚するんだから」と、しばらくすると追い出されて実家に戻ってくる。
そして兄嫁は母に電話をする。
うちには絶対帰さないで下さい
迷惑だったらお母さんも追い出せばいい
と、義姉が突っ張るそう。

追い出すこともできず、母もしょうがなく、兄を受け入れる。


そんな状況が、一週間ほど続いているそうです。



原因はなんですかね?」と旦那。


決して話が上手ではない母ですが、一生懸命説明を続けました。
正美さん(兄嫁の名)は、太郎(兄の名)がパソコンばかりやっていて、家族の話を聞かないって。
そして、お金をもらえるからって出会い系のサイトに何十万円も使ってしまったって。
正美さんがそういうことを言ってた
。」


はあ、なるほど...
出会い系サイトで兄に「お金をあげる、会おう」と言って来るのは、サイト上でやり取りを続けてお金を使わすためのエサなのか。


...詐欺だ


なんとなく分かってきました。



兄も傍らに座っていましたが、無表情のまま黙って聞いているだけでした。


2,000万円をただでくれるなんていう出会い系サイトの相手に騙されてしまう病気の表情

私はそう思って、その兄の顔をまじまじと見つめてしまいました。

9月の末、兄が家を追い出されて、実家に戻ってきました。
義姉には離婚届に判を押して渡されてます。
兄夫婦の関係がとうとうここまでこじれてしまった。


そして、どうやら兄が勤め先の会社を解雇されることになるらしい。


おまけに、「ただで2,000万円くれる」という誰がどう考えても怪しい話を本気で信じている。



10月の月初の週末には、8月に亡くなった父の四十九日の予定。
金子家が代々お世話になっている近所のお寺さんに納骨します。


とにかく、この日に兄に合えるので、その時に話をすることとしていました。


しかしですが、これらの騒動で、兄夫婦とその子供たちは欠席となりました。
大事な法事ですが、まあ、止むを得えないことかも知れません。



四十九日当日。

わが家は子供たちも連れて、朝早く車で家を出ました。
そして実家に到着、母を拾ってそのままお寺さんへ。


法事よりも少し早くお寺に着いたので、ご住職とお茶を飲みながら話す時間がありました。

兄夫婦は長男夫婦。
本来は、長男家が代々お墓を引き継ぐもの
住職も、兄夫婦が出席できないことを不思議に思っているはず。

今日は太郎さん(兄の名)たちは?」
ちょっと体調を崩しまして」と母。
そうですか」と住職。
何か感ずいたような表情を一瞬されましたが、サラッと流してくださいました。



そして、四十九日の法要。

参列は、母、私たち夫婦と、2人の娘たちの合計5人。
ご住職の唱えるお経は、5人のお焼香には長すぎました。


ご住職の説法は、お寺に伝わる古文書の話。
聞いたことのある歴史上の人物の名前が出てくるので、娘たちも飽きずに聞いていました。



その後、納骨。

祖父母の骨壷の手前に、父の真新しい骨壷が加わりました。

まだまだ骨壷のスペースはたくさんある。
でも、兄が離婚してしまったら、このスペースに加わる金子家の人間は、兄が最後になるのかな。


そんなことを考えました。

静かな四十九日が終わり、実家に戻りました。


そこには兄がいました。

故父の四十九日もまもなくとなった9月末。
母からの泣きながらの電話。


うつ病の兄が会社を解雇になるらしい。」


でも、母の電話はそれだけでは終わりませんでした。

兄の様子がおかしい」と。


兄は、うつ病を患っている。
そして、義姉に家を追い出され、離婚を突きつけられている。
それは、情緒不安定になるに違いない。


でも、事情はそれだけではありませんでした。


兄は、着の身着のままに追い出されている。
通帳、カードも持っておらず、現金もほとんどない。
なので、どこかに行くにしろ、何かをするにしろ、お金がかかる場合は、母に頼るほかない。


その状況の兄が、ある日、母に「名古屋に行くから交通費を出して欲しい」と言う。
母が理由を聞くと「インターネットで知り合った人と会う」らしい。


ネットの世界の知識など全くない母。
話が全く要領を得ないのですが、兄はあるサイトを通じて誰かと合う約束をしているらしい。


私は、「きっと、趣味のサイトのオフ会か何かに参加するのだろう
母の言葉から、そう想像していました。

そんな時に名古屋なんて、と、母は結局お金を渡しませんでした。



ところが。

その後も「興福寺(実家近所の寺)で人と待ち合わせをしている」と言って出かけてしまう。

そして何時間も帰って来ない。

そんなことが数回あったそうです。


何でそんなところに行くのか?」


と母が聞くと、


いや、お金をくれるって言うから
いくら
2,000万円
2,000万円くれるって?!



私は母に聞きました。

お兄ちゃんはその話を信じているの?」
そうなの
ただで2,000万円くれるって?」
なんか、ストーカーに付きまとわれている社長令嬢にいろいろと助言してあげたんだって
...はぁ?


そんなバカな話があるわけない。
どんな金持ちでも、そんな理由で見ず知らずの人間に大金を渡すなんて。
笑っちゃうくらいうまい話。
子供でも嘘だと分かるよ


こんな話を信じちゃうなんて。


兄はどうかしてしまったのか
いやいや、何か事情があるに違いない。


私も何がなんだかわからなくなりました。

どうしたら良いものか、半分途方に暮れました。


そこで、仕事から帰宅していた旦那に電話を変わりました。


金子家にとって恥ずかしい話なので、これまで母は旦那には話してませんでした。
でも母も頼るべき人が他にいない。
恥ずかしがってる場合じゃない。

私に話した内容をもう一度最初から全て話しているようです。

長い電話が続きました。

時折、旦那が得意の自分の家族観を話していることがわかります。


恥ずかしいことじゃないよ、お母さん
困ったときに助け合うのが家族だよ

旦那はそんな言葉を差し挟んでます。


そして、一通り話が終わると、電話を切りました。


いや、お兄さんには本当にいろいろなことがあったんだね。本人から詳しく聞いてみないと。」


とにかく、四十九日で実家に帰った時に、旦那も交えて兄と話をしてみることにしました。