実家で、父の四十九日の後。
兄、母を交え、私と旦那が兄の状況を確認。
四十九日には欠席した義姉。
母に「来てもらえないか」と電話してもらいました。
義姉は「都合が合えば行く」とのことでした。
午後に再確認すると、来ることとなりました。
義姉は自転車で来たようです。
ブレーキの音、ドアを引く音。
母が迎えると、無言で入ってきました。
硬い表情。
私たちに目を合わせず。
旦那の右隣に座りました。
兄嫁は離婚届を持たせて、兄を追い出した。
その家族である私と旦那から呼び出されたのだから、穏やかなはずがない。
身構えているのが、ありありと分かる。
「今、どういう事情なのか、お義母さんに聞いていたところです。」
旦那が口火を切りました。
「正美さん(兄嫁の名)、大変でしたね。」
旦那が義姉にやさしい言葉をかけたのが、私には少し意外でした。
確かに。
実際、義姉の家庭は、大変だったに違いない。
兄はうつ病。
会社を解雇されそう。
そして、判断力も低下した兄は、詐欺に引っかかった模様。
愛想を尽かし、追い出したくなるのも、ある意味、無理もない。
「これまで一人で抱えるのは大変でしたね。」
旦那が繰り返す。
義姉は相変わらず硬い表情だが、口元が少しだけ緩む。
一方的に攻められると思ったら、そうでもないと安心したのだろう。
持ってきたバッグをあける。
カードの明細を印刷したもの。
それが束になったものをかばんから出し
机の上に叩きつけるように置きました。
そして、言葉が一気に出てきました。
「この人は、こんなことをやっていたんです。
おじいちゃんが病気の間も。
死んでしまった日にも。
こんなことをやっていたんです。」
チラッと見ただけでも、同じような英語の会社名を記した明細が並んでいる。
明らかにカード明細をプリントした紙の束。
出会い系サイトらしき請求書。
旦那がそれを手にとって見る。
1つの請求が90ドル程度。1枚に20件程度。それが5~10枚程度。
同じ日付に何件もならんでいる。
確かに、義父の亡くなった8月の日の利用分の請求も。
「いくらくらいあるんですか?」
旦那が聞く。
「わからないけど、30万くらいじゃないですか。」
と兄嫁。
さらに大きな声になって、続ける。
「うつ病になって、全く何もやる気を出さないんです。
会社もクビになるって言うし。
本人が変わらないとしょうがない。
一日中パソコンをしてるから、散歩でも行けばって行ってもしないし。
私が食事を作らなければ自分でやるかと思い、何も作らなかったんです。
パソコンの言うことは信じても、私の言うことは信じない。
もう、やってられない。」
兄嫁は、そこまで一気にまくし立てました。
食事を作らなかったという事実は、知りませんでした。
きっと、こちらがそれを攻めると思って、先に予防線をはったのでしょう。
そのつもりで論理的に準備をしてきた言葉のように感じました。
一方で、兄の家庭での様子がこれまで以上に分かりました。
兄は家庭内で孤立。
食事も作ってもらえないので、食卓にも向かわない。
パソコンのみに向かう毎日。
その画面では、兄を誘惑する出会い系サイト。
「誘惑」といっても、色気ではなく、お金。
パソコンが先か、家庭内孤立が先か。
ニワトリが先か卵が先か。
それは、わからない。