『 … いい、よ。』
照れたように、コメカミを掻いた後
あなたはそっと
その手を僕に差し出してくれた。
涙が、出そうだった。
不安で、
心細くて、
初めて知った嫉妬という感情に押しつぶされそうだった僕は、
きっとあなたの瞳には、
相当醜く映ってたハズ、なのに
あなたはいつもと同じ穏やかな笑顔で、
変わらず僕を、
真っ直ぐに見つめてくれてたから。
『 … いい、の? 』
恐る恐る、
僕も手を、伸ばした。
長袖シャツから覗いた
あなたの真っ白な手首と指が、
あまりにも華奢で
傷つけてしまわないようにと、
そっと、その手を取ったのに、
すぐに細い指が僕の指に絡んで、
ギュッ、と力がこもるから、
ドクン、と
大きく、跳ねた心臓。
繋ぎ止めたかったのは僕なのに、
まるであなたも、
僕を求めてくれてるような、
そんな錯覚を起こしてしまいそうで
ありえない速さで脈打つ鼓動が、
繋いだ指先から伝わるんじゃないか、って
心配になったけど、
『 まさきは、… あったかいね。 』
そんな僕に気付く様子も無く
固く握った手と手を見て、
呟くようにそう言ったあなたは、
その長い睫毛を伏せたまま
力なく、笑った。