南天(ナンテン)の実です。これも、近所の公園にあったものです。
日本では「縁起のよい木」として人気があって、庭や玄関先などによく植えられており、
「ナンテン」の名から「難を転じて福となす」と言われ、赤い果穂をお正月に飾り付けます。
秋になる赤い実も、やはり微量の毒があるそうでわたしたちの食用にはなりませんが、
天日乾燥させたものが生薬「南天実(なんてんじつ)」という薬として、煎じて咳止めなどに利用されています。
ピラカンサやクロガネモチと同じく、鳥たちは冬にこの赤い実を食べにやってきます。
昔の山村の子供たちはヒヨドリを捕まえるために、この南天の実をまいて仕掛けたそうです。
研究結果によると、木の実や種をそのまま土に撒くよりも、
鳥たちが食べて、消化吸収した後の糞と一緒に土にばらまかれた種の方が、発芽率がよくなるそうです。
冬は鳥たちにとって厳しい季節です。
春や夏にあった昆虫や木の芽などの食べ物がなくなるので、
たくさんなっている木の実は、とても大切な食べ物になります。
秋に実ったばかりのときにあった毒性が少しずつ薄らいでゆき、
一番寒い2月まで、誰にも食べられずに残っているのは、
大自然の配慮に違いありません。
南天は、英名は、「sacred bamboo~聖なる竹」、「Heavenly bamboo ~天国の竹」。
葉も枝も全体的にほっそりとしていて、実の付き方もほどよく上品で、
どこか神秘的なイメージがあります。
そんなところから、日本でも「縁起のいい木」とされているのでしょう。
南天の木について調べていて、こんな記述が目にとまりました。
縁起のいい木とは、ただ植えればいいというのではなく、
花咲き、実るものは、鳥たちが食べて初めて、
天と人とをつなぐ懸け橋となる
庭に木を植えて秋に実がなったら、それは鳥たちのための冬の食糧なので、
邪魔だからとか、食料にならないからと言って切ってしまったりせず、
春が来るまでそのままにしておかなくてはなりません。
とても簡単なことですが、わたしたちが生態系のためにできることのひとつであり、
それによって私たち人間も、大自然の流れに乗ることになるのです。
