赤い実の話をもうひとつ。
近所の公園で見つけました。
たわわといよりはぎっしりと言う感じですね。
バラの仲間で、ピラカンサと呼ばれます。生け垣や鉢植えとして栽培される常緑低木のひとつです。
今の時期にたくさんつく小さな赤い果実は、最初のころは毒性があるので、鳥たちも食べません。
中に含んでいる種が熟してくると、徐々に毒性が薄くなってきます。それで2月ごろになると鳥たちがさかんについばむようになります。
人間の食用にはなりませんが、鳥たちにとってはクロガネモチと同じく2月ごろの重要な食糧です。
毒性がない時に人間が食べてみたという記録がありました。
それによると、
激しい苦さとこの世のものとも思えないくらいの刺激が舌に残り、
「舌に残った苦さが消えるのに1日、刺激が消えるのには3日かった」そうです。
・・・聞いただけでも食べる気が起こりませんね。
クロガネモチと同じくピラカンサもまた、「人間には食べられたくない」のです。
どうしてなんでしょう。
こんなに苦い果実・ピラカンサを、鳥はよく食べられるものだと思って調べたところ、
鳥は体の構造から食べたものは丸飲みで、噛み砕くということをしないのだとわかりました。
また、空を飛ぶためには体を軽くしておかねばならないので、消化吸収したあとに残る種を、素早く糞として排出します。
人間のように体にため込んで、決まった場所で排出するということをしません。
鳥は「種蒔き名人」なのです。ピラカンサやクロガネモチが「鳥だけに食べてもらえればいい」と思うわけが、よくわかります。
ピラカンサの実が持つ毒性は、
私たちが大好きな「梅の実」がまだ青い未熟なときに持っているものとよく似ています。
少しかじったくらいなら大丈夫でも、大量に食べると体によくない影響が出るというように。
よく「青梅は食べるな」と言われますね。
それでも私たちは梅の実が好きで、熟して毒性がなくなったものを大喜びで収穫し、梅干しや梅酒に加工します。
「果実の中に含んでいるタネがまだ未熟で発芽能力のないときに収穫してもらっては困るけれど、
熟して発芽できるようになったら是非とも収穫して食べて欲しい」
という梅の実の思惑に、完璧に翻弄されている私たち。
鳥たちも赤い実をつけたピラカンサの思うところにまんまとひっかかって、せっせと種蒔きをしているのです。
「人間に食べてもらってもたいしてメリットがない」ことまでよくわかっているところが、梅の実よりも賢いと言えます。
自然の仕組みとは、本当によくできているものですね。この叡智はどこから来るんでしょう。
