多摩川河口付近の上空を、大きな鳥が1羽、しきりに旋回していた。
写真を撮って調べたところ、鷹の仲間でミサゴという種類に違いないようだ。
日本では主に海岸に生息するが、幅の広い河川や河口でも見られる水鳥で、
肉食性で、魚を主食とする。
獲物を見つけると、素早く羽ばたいて空中に静止し、
急降下して水面近くで脚を伸ばし、両足で獲物を捕らえる。
多摩川では、今まであまり取り上げなかった水鳥にも着目したい。
魚、水生小動物、微生物など、餌のあるところに羽ばたいてやって来る。
水鳥の姿があるのは、そこに何かしらの生態系が存在する証拠だ。
あまり注目されないが、地球の自然環境・生態系への貢献度は大きいのである。
水鳥を含めて鳥類は「飛べる」という能力によって、3次元的な空間利用をあたりまえのものとして日常的に行っている。
移動、飛行能力が高い渡り鳥は、複数の異なる生活環境を利用しているし、
水中、空中、陸上を動き回れる種類もいる。
これほど環境の異なる場所をダイナミックに利用して生きる生物は、地球上には他にいないのである。
さまざまな場所で鳥類がする糞は、地球での物質移動の役割を果たしているという。
その中で特筆すべきは、海から陸への移動だ。
陸上に存在する枯れ葉や種子、土砂、動物の死骸などの海への移動は川が行ってくれるが、
水は低いところから高いところへは流れないので、海から陸地への移動経路は、自然界には存在しないのである。
海中で魚を食べた鳥が陸地で糞をすることで、海から陸への物質移動が実現している。
ミサゴのように魚を主食とする水鳥は、生体を構成する必須元素とされる窒素やリンを魚から摂取し、
繁殖地のある陸地に、糞と言う形で運ぶ役割を果たしていると考えられているそうだ。
街中でも水辺でも、山の中でも、鳥はどこにでもあたりまえのように存在するが、
彼らは「ただ飛んでいるだけ」ではないのだ。
もしも彼らが飛行能力を失ってしまったら、地球の生態系は大きく崩れる。
危険を察知すると即座に羽をひろげて舞い上がり、
今の自分自身に最適な場所を、空から見つけて舞い降りる。
高い視点から人間たちの喧騒を眺めて生きてきた鳥たちは、
陸上という限られた範囲でうごめいている私たちよりも、ある意味では優っていると言える。
人間とは異なった感覚・広い世界を持っているに違いない。
