伝える | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 私の親父は自営定置網の責任者をしつつ、ウニ・アワビ・ワカメ・コンブを採る漁師でした

 

 もう2年近くも入院していて、けっこう痴呆も進んでしまっています

 私の息子らが面会に行っても誰かよく解らない

 私のことも怪しい感じで、しばらく話をして

 「ああ、なんだお前か?」

 って気付く感じ

 

 そんなになっても、親父が話すことと言えば

 「サケは獲れてるか?」

 「定置に何か入ってるか?」

 「(定置の)乗組員は元気か?」

 「アワビ何キロ採った?」

 「カゼ(ウニ)はどご採ってる?」

 

 「オレはもう口開けには行けそうがねえな」

 (まだ行く気してたのか?)

 

 昔からだけど、思考の9割以上が海(笑)

 

 

 私の長男が小学生の時、ウニ漁に連れて行ったらすごく嬉しそうでした

 

 別に漁師になることを強要するわけじゃなかったですけど、親族が海に携わるのは嬉しかったみたい

 

 職業の選択は自由ですけど、マニュアル化できない職人の技みたいなものは伝えていかなくちゃならないんじゃないかと思うわけです

 

 名手と言われた親父と違って、私は「てどなす」(へたくそ)なので、残念ながら親父の技術は継承できてないかと思いますが、息子や甥っ子に田老のウニ・アワビを食べさせるぐらいはね、なんとかしたいので

 

 

 親父は海の漁師ですけど、母方の祖父と伯父は小本川の川漁師で、夏の間はアユを釣って生計を立てていました

 

 祖父の孫はみんな遠くへ行っちゃってアユを釣る人はいません

 唯一、私だけがウニ・アワビ漁と同じく「てどなす」ながらアユを釣ってます

 一年に数回しか行けないですけど

 親族に川で育ったアユを食わせるのがオレの使命みたいに思ってまして

 

 

 海も川もオレで終わりかなって思ってたんですけど

 次男がアユに行ってみたいというので、昨日の午後にちょっとだけ

 

 解禁後、初めてのチャンスなので仕事が終わったら直行する予定だったんですが、中一日のウニ漁で仕事が溜まりに溜まって首が回らない状況

 組合員向けの広報をようやく完成させ、印刷しようとしたらPCが突然ダウン

 あ”ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ま、自動バックアップがある

 自動バックアップアイルを呼び出して、まずは保存っと

 突然画面が真っ青に

 え”っ、まさか・・・

 私も真っ青

 

 またもPCダウン

 (汗)

 今度は自動バックアップもなし

 つまり、完全にファイル喪失

 茫然自失

 

 いどど(そもそも)体力の限界でへろへろなのに、メンタル的に大ダメージで

 

 ようやく動き出せたのは午後の2時

 

 息子にあーしろ、こーしろ言ってたら自分はほとんどできませんでしたけど

 ある意味、自分で釣るより面白かったりして(笑)

 「竿立てて、おとりをカミに飛ばすんだよ」

 「カミ?飛ばす?」

 「あー、なんて言えばいいんだ?上流に自力で泳がせんだ」

 伝えるって大事

 なんじゃないですかね

 

 


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