また一人 | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 他の漁協の職員さんから

 今月末で退職することになった

 とご連絡をいただきました

 

 その方、コンブの種苗生産担当者であり、ダイバーであり、定置網に使うような大型の船を操船して漁協自営のワカメ養殖を仕切るという、もう二刀流だか三刀流だか訳が解らないツワモノ

 

 

 たくさんの漁業者を雇用して集団でワカメ養殖を行い、ワカメの原藻確保と雇用確保を両立させようというのは田老町漁協の前組合長がずっと前から提唱されてきたことで

 当方でも過去に何度か挑戦したんですが

 成功には至りませんでした(泣)

 

 漁業者は個性が強いので、集団で何かをやるのが難しいんです

 だいたい、意見が合わずに分裂する傾向にあります

 

 漁業者を黙らせるだけの実力を持った強力なリーダーが統率すれば上手くいくんですが

 そういう人材はなかなかいません

 

 この人ならと思う人にお願いしても

 「一人でやった方が気が楽」

 って受けてくれません

 (まあ、そうだよな・・・)

 

 

 日本中見渡しても、ある程度の規模でワカメの自営養殖を実現させたケースってほとんどないと思います

 その数少ない成功例となったのが前述の方が所属する漁協です

 

 前組合長から

 「あそこと同じようにお前が仕切ってやれ」

 って言われたことがあるんですが

 わたしゃあんなでかい船回せませんって。ましてや何十人もの漁師を仕切るなんてとてもムリ(汗)

 

 

 あの方が辞めたら自営ワカメ養殖も空中分解だろうなあ・・・・

 代わりをできる人ってそうそういないだろうし

 

 

 4月には別の漁協で、アワビ種苗生産とダイバーのスペシャリストが退職されました

 県の技術職も漁協の専門職も、スペシャリストがどんどん退職されていきます

 

 技術が継承されてればいいんですけど

 専門的な技術っておいそれとは真似できません

 引継書を見ればできるようなものじゃないですから

 

 サケの不漁で県内の漁協の経営は年々厳しさを増して、何年もかけて専門職員を育てることが難しくなってます

 今後、AIの進歩で事務的なことは機械に任せることもできるかも知れませんが

 

 引継書で伝わらないことはAIでもできないでしょう

 

 どんどん人材がいなくなって、この先、漁業は大丈夫なんだろうか

 心配になります 

 

 


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