いつものごはんだよ? | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 17~18年ほど前のこと

 長男が小学校に入ったお祝いにごちそうを食べさせたいと、親類からこの辺では有名な和食の店に連れて行ってもらったことがあります

 

 「ごっつおを食べさせてあげるからね」

 そう言われて息子らは大喜び

 「どんなごちそうだろ」

 何日も前からワクワクしてましたっけ

 

 

 当日、一番いい衣服を着て、お店へ

 

 いかにも高級そうな店内に緊張気味の子供ら

 「どんなごちそうかな」

 

 仲居さんが運んできてくれたお膳は

 ママス(サクラマス)の焼き物、生ウニ、イクラ、ウニのいちご煮・・・・

 「わー、凄いごちそう」

 と歓声を上げる親類

 

 「ごちそうだね、良かったね」

 と笑顔で子供らに語りかける仲居さん

 

 ところが、きょとんとした顔の息子ら

 「これがごちそうなの?じいちゃんちのいつものごはんだよ」

 だって

 

 仲居さんの笑顔が能面のように凍り付く(汗)

 

 

 ママスは知り合いからよくもらってましたし、サケがたくさん獲れていたその頃、イクラはふんだんにありましたし、その頃は親父も私もウニを採ってましたので、ウニもたくさんある。

 つまり、うちの子供らにとってはどれも見慣れた食材なわけです

 親父もお袋も孫がかわいくてしょうがないので、ママスもイクラもウニも最高にいいやつだけを子供らに食わせてましたので

 どんなに凄い料亭といえど、漁師が選ぶ最高のものと比べると・・・・

 少なくとも鮮度では比べるべくもないので

 なにしろ、ウニは海から採ってすぐのを殻から直接食べてましたから

 

 

 子供らの顔を見て落ち込む親類

 焦る私

 「すごいなあ、美味しいなあ。なあ!」(汗)

 必死になって場を盛り上げようと

 

 正直なところ(そりゃじいさんちで食べてるものの方が美味いよな・・・・)って思いつつ

 

 内陸の子なら間違いなく、とびきりのごちそうでした

 

 

 大人だったら空気を読んで、喜んだんでしょうけど、小学生になったばかりの子にそこまでの配慮はできません

 親類にはほんと、申し訳ないことをしました

 

 

 その子供らも大きくなり、田老を離れて一人暮らしをしながら学校に通ってます

 おそらく、普段ろくなものを食ってないんですねえ

 

 先日帰ってきてママスを食べさせたら

 「なにこれ、美味すぎ」

 あまりの美味さにに絶句してました(笑)

 

 


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