安易には答えられない | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 息子に漁業を継がせようか考えている漁業者がいて

 

 私は当然のごとく

 「ぜひ!」

 と言ったんですが

 

 「漁業は悪くない仕事だと思う。やればやっただけ収入に繋がるし、めんどくさい人間関係も考えずに自分のペースで働ける。でも、ここ数年の海を見ると、悩む。あと5年や10年。自分が働けなくなるぐらいまではどうにかなると思うが、息子が着業したらその先30年、40年海で働くことのなる。その頃に海がどうなっているか解らない。このまま温暖化が進んだら田老の海はコンブも生きられなくなっているかもしれない。それで後を継げとはなかなか言えない。」

 

 これは重かったですね

 「大丈夫」

 って簡単には言えません

 海の環境がどうなるかは誰にも解りませんから

 親とすれば至極もっともな考え

 

 ここ数年の海水温の上昇をみれば、コンブやサケなど冷水を好む生物にとっては、これから状況が悪くなっていくと考えるのが普通でしょう

 それを人為的に改善できるとは思えません

 

 でも、現在の日本の食料を考えたとき、環境に負荷を与えないで、短期間で確実に収量を得られる海藻類養殖は、今後ますますその重要性を増していくものだと思います

 大量のCO2を吸収し、酸素を供給することを考えれば、その重要性は更に大きいものとなると思うんですね

 

 

 環境は変えられません

 けど、種苗なら変えられる

 高水温に強い種苗を作ることならできる

 

 中国は台湾ぐらいの緯度でもコンブ養殖を成立させてるらしい

 それができるなら

 どれだけ温暖化が進もうとも

 田老でコンブ養殖が出来なくなるはずがない

 

 中国がやってるんなら

 日本でも技術でどうにかできる可能性はあるはずなんです

 

 田老の種苗生産技術があれば、息子を着業させても大丈夫

 そう思ってもらえるぐらいにならねば

 

 

 「オレに任せておけ」

 なんて安易には言えませんけど・・・・