アオの滝 | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 田老の青野滝地区に大きな滝がありまして

 そこの滝壺に「アオ」という大きな魚の主がいる

 という伝説があります

 

 中学生の頃

 友人らとその「アオ」を釣ってやろうと行ったことがあります

 ヌシを釣ってやろうという罰当たりもですが

 伝説のヌシが今も生きてると思ってることが私らのバカなところで(笑)

 

 たぶんサケぐらいの大きさのはず

 って勝手に想像して海釣り用の太い竿にでかいリールを付け

 ものすごく太いナイロン糸にサケでも釣りそうな針を付けて

 川沿いをずっと上っていきました

 

 滝の周りは切り立った断崖になっていて

 10㎝ぐらいの幅しかない足場を横移動

 ロープで確保することもないので

 落ちれば死ぬな

 って

 

 その断崖をジリジリと横移動しているときに、友人が

 「すげえ!デカい魚がいる」

 って

 怖くて下を見るのもイヤだったんですが

 見れば滝壺に大きな魚が浮かんでいます

 

 はるか眼下に見える大きな滝壺は20mぐらいありそう

 この距離からでも魚が確認できるって事は、そうとうデカい

 「1mはありそうだな」

 「あるな!アオだな!」

 「ホントにいたな」

 「この竿で上げれっかな」

 針に掛けてもいないのに釣り上げる心配(笑)

 「祟られねえかな」

 釣り上げてもいないのに(笑)

 

 はやる気持ちを抑えつつ、断崖を渡りきり、岩場に這いつくばりながら滝壺へと降りていきます

 

 落差100mぐらいはありそうに思えた滝

 なのに岩場を降り始めたらあっという間に滝壺が近づく

 あれ?

 

 20m程はありそうに思えた滝壺は

 近づくにつれ、次第にそのスケール感が無くなっていき・・・・

 あれ?

 

 ようやく滝壺の下に降り立つと

 滝壺は4~5mぐらいしかなく

 そこに25㎝ぐらいのイワナがぽっかり浮かんでおりました

 

 あれ?

 「・・・・・・・・」

 「帰るか?」

 「うん」

 

 バカでかい竿を背負ってとぼとぼと帰路につきました

 

 


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