YASUDA | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 海も田老も全く関係ないので

 あしからず

 

 私が高校生の時からずっと愛用していたサッカースパイクのメーカー

 YASUDA

 社会人リーグを辞めてしばらくサッカーから遠ざかっていて

 シニアリーグに復帰したときYASUDAを探したらもう売ってませんでした

 倒産したとかで

 

 それがなんとクラウドファンデイングで復活してたようです

 いやー嬉しい

 私はもうスパイクを履くことなんてないでしょうけど

 でも「買おっかな」って思ったり

 

 

 

靴下スパイク

 サッカー選手が個性を見せられるのは唯一スパイクだけ。

 今はいろんな色のスパイクがあるが、私が学生の頃は黒だけだった。

 見た目で差があるのはラインのデザインの差だけ。

 それだけにみんな大なり小なりスパイクのメーカーにこだわりを持っていて、ずっと同じメーカーのスパイクを履いていたものだ。

 

 私は中学生のころから三本線のアデイダスをずっとはき続けていたが、私の足は幅広・甲高の典型的な日本人型みたいで、足の長さに合わせると幅が狭くて小指の爪が死に、巾に合わせるとつま先が余って土を蹴ってしまうという問題があった。

 当時はワイド巾のスパイクは存在していなかった。

 プーマ、アシックス、ミズノ、ナイキと色々と試したがどれも同じようなもので、結局アデイダスに戻っていた。

 当時、私の両足に小指の爪はなかった

 

 当時も人工革はあったが、厚く、堅く、足になじまず、いくら履いても足に豆ができるという恐ろしいシロモノで、牛革が主流だった。

 その牛革にしても厚くて堅くて重かった。

 

 厚いゴム手袋を付けて小さなナットを外すような感じといえば解って貰えるだろうか、革が厚くて堅いスパイクはボールを蹴る瞬間の微妙な感覚がよく解らない。厚い牛革だと直接フリーキックを蹴る時の微妙な感覚がどうしようもなく、スニーカーで蹴った方がずっと精度が良かった。

 とはいえスニーカーで試合に出るわけにも行かない。

 

 カンガルー革は薄くて軽くて柔らかくて繊細なフィーリングを感じるには最高らしい。

 というウワサを聞いたが、アデイダスでカンガルー革を使っているスパイクは「コパ・ムンデイアル」というサッカー雑誌の背表紙に写真が出ている最上級のモデルだけで、値段は2万円以上して、到底私が買える値段ではなかった。

 直接フリーキックを狙い通りに蹴るため、カンガルー革のスパイクが欲しいとカタログを探しても、やはりどのメーカーも最上級モデルのみ。

 

 ずっと土のグランドで練習するので、1年に3~4足は履きつぶしていたから、スパイク代でけっこう親に負担を掛けていたし

 

 1社だけ1万円そこそこで買えるカンガルー革のスパイクがあった。

 ヤスダという聞いたことのないメーカーだった。

 今は1万円以下のスパイクがいくらでもあるが、牛皮が主流の当時は最低でも1万円はしたものだ。

 「カンガルー皮で1万円?ウソー?」

 

 チームのみんなに言うと

 「なんだそれ?ヤスダなんて聞いたこともねえぞ。」

 「バッタもんだ。すぐ壊れる」

 「カンガルーなんていって豚の皮だべ」

 等々ひどい反応ばかり聞こえた。

 たしかにどこに試合に行ってもヤスダのスパイクを履いている選手なんて見たこともない。

 

 そもそも宮古では売ってなくて通信販売で買った。

 今のようにネットですぐに買えるわけではなく、サッカーマガジンとかイレブンというサッカー雑誌の広告ページに載ってる2㎝四方ぐらいの小さな写真で選んで、電話して在庫を確認して現金書留でお金を送る。

 

 初めてYASUDAのスパイクを履いたときの衝撃は今でも忘れられない

 まるで測ったように足の形にピッタリ合っていた

 「こんなに軽いのか?こんなに柔らかいのか?こんなに革が薄いのか?」

 スニーカーよりもさらに薄い革。もう素足で蹴るのと変わらなかった。

 キックの精度は格段に向上した。(ような気がした。)

 

 汚れたらブラシで汚れを落として、ミンクオイルを塗って、日々丁寧に手入れをしてずっと履き続けていたら、底のスタッドは擦れて無くなり、真っ平ら、革は足の指の形に色が落ちてスパイクに指の形が浮き上がった。

 「靴下スパイク」「地下足袋スパイク」「スリックタイヤ」などと皆から笑われた。

 「そんなんでよく滑らないねえ」

 でも、素足で蹴るようなフィーリングは何物にも代えがたい

 

 今時のスパイクは5千円ぐらいの人工皮革製でも軽く・薄く・柔らかくて、カンガルー皮みたいなフィーリングでビックリする。

 色も形もメーカーもよりどりみどり。ワイド幅のスパイクもあって今の選手はいいなあと思う。

 でも人工皮革はゴム手袋みたいなもので、履けばフィットしても脱げば元通り。天然革は履けば履くほど足の形に変形してきて戻ることはない。

 完全に自分の足になじんだスパイクは世界中のどこにも売ってない宝物である。

 

 

 

 

 革に手入れをして自分仕様に育てていくっていうような感覚

 そうやって長い間使えるいいものを販売する会社って、逆に経営的には苦しいのかもしれません

 それはなんかおかしい

 

 安くて高品質な物がいくらでも手に入る時代にはそぐわないのかもしれませんが、復活したYASUDAが倒産しないで、ずっと良いものを生産し続けられますように

 

 ワイド幅のスパイクを履いている中高生のサッカー選手

 一度YASUDAのスパイクを使ってみて下さい

 手入れをして大事に使えば使うほど良さが解って貰えると思います

 

 

 私が高校生の時は安くて高品質でしたが、今のところ2万円以上するみたいです

 1万円以下で高品質のスパイクが手に入る現在、カンガルー革とはいえ2万円は高いかも・・・・

 ただ、メイドインジャパンしかもハンドメイドらしいので

 

 

 

 震災を期にシニアリーグにも行けなくなってしまいましたが

 YASUDAのスパイクを履いてもう一度ピッチに立ってみたいですねえ

 友人には

 「ケガするだけだから止めとけ」

 って笑われますけど

 

 


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