至宝 | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 うんまかったなあ!

 

 もう40年以上も前のことを細部に到るまで鮮明に思い出せるのは本当においしかったからだと思います

 

 錆びたダルマストーブ

 どっからか持ってきた、すすけた大きなナベ

 もうもうとわき上がる蒸気

 立ちこめる磯の香り

 

 「ほら、これはいいぞ食え」

 白いヒゲのじいさんが手渡してくれたバカでかい貝

 

 無言で延々と食ってました

 「食い過ぎて腹こわしても知らねえぞ」

 って笑われてもずっと

 

 こいつ↓

 これ、あんまり大きなサイズじゃないです

 

 これをでかいナベに放り込んで

 火を付けて

 おしまい

 味付けもなし、水すら入れない

 口が開いたら食べられます

 熱いのをハフハフ言いながら口に入れたら

 メチャクチャ美味い!

 もう至福ですわ

 

 ムール貝(ムラサキイガイ)に似てますけど、違います

 これはシューリ(イガイ)

 味も全然違います

 

 ムール貝はほっといてもワカメ養殖のロープなんかにびっしり付きますが

 イガイは磯場にしか付きませんので、春の大潮の干潮時だけ採れる

 この辺ではどっちも「シューリ」って呼ぶんで区別が難しいです

 

 ショイノクジに採るホントのシューリ

 なんて言えばこの辺の人には理解してもらえるんですが

 

 内陸の人だとまずムリ

 ムール貝は解るみたいですけど

 「ムール貝に似てんだけど、岩場に付くホントのヤツ」

 「ムール貝にホントのとウソのがあるの?」

 「違うでば!種類が違うの。おっきくて貝が厚くて」

 「えー知らない」

 

 大阪出身で、大学で貝の研究をしてた友人には

 「これ食うんですが?食って大丈夫ですか?」

 って怖がられました

 

 この貝は重金属とかを体内にため込んじゃうんで、よほどきれいな海に生息してるヤツじゃないと食べられないんだそうな

 「なんともねえって、最高に美味いから食え」

 恐る恐る食べて

 「うわ!メッチャ美味い!」

 って感動してたもんです

 

 

 最近は生息量も減って漁業関係者でもなかなか食べられませんけど、本当に美味いですよ

 海の至宝

 だと私は思っております

 

 この貝には時折小さな真珠も入ってます

 昔は真珠を探すって死ぬほど食って気持ち悪くなったり(笑)

 


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