魚に咥えさせないで釣るなんて方法は、世界広しといえども「アユの友釣り」だけじゃないでしょうか
生きてるアユ(オトリ)にハリをつけて川に放してやると、縄張りを犯された野生のアユが体当たりしてきて針に掛かってしまうという
なにしろ生きているアユですから1尾1尾体力も性格(?)も違います
川に放しただけで轟々と流れる流れの流心にビューって泳いでいくオトリもいれば、流れの緩いところですぐ休もうとするヤツもいる
千差万別ほんと人間みたいです
それをいかにコントロールするかが釣果を分けるので
嘘か誠か社長さんとか管理職など人をつかう仕事の人にファンが多いと言われます
釣り方には無限の方法があるんですが、大別すると2つ
オトリが泳ぎたいように泳がせる「泳がせ釣り」
と
竿と糸で魚を引っ張る「引き釣り」
どちらの方法でも、より元気に泳ぐオトリほど釣れる確率が高いんです
泳がせ釣りはオトリの意思(?)を尊重してるので、魚が疲れにくい反面、釣り人が思った場所にはなかなか行ってくれません
引き釣りだと思った場所に行かせられる代わりに、無理矢理魚を引っ張り回すので、すぐに魚が疲れて泳げなくなってしまいます
釣れたら、釣れたアユをオトリにするので、常に元気なオトリを使うことができますけど、釣れなくなると負のスパイラル
オトリが疲れてくるにしたがって、どんどん釣れなくなってきます
流れが強い荒い場所には縄張り意識が強いアユがいるので、そういう場所にオトリが泳いでいけば一発で釣れますから、釣れなくなると流れの強い場所で一発逆転をしたくなります
けど、疲れてるオトリは流れの強い場所には泳いでいけない
そうすると釣り人の本性が出てきますね
泳ぎ出すまでじっと我慢する家康みたいな人もいれば
オトリをだましだまし強い流れの中に引きずってく秀吉みたいな人もいたり
はては鉛のオモリを何個も付けて激流に放り込む信長みたいな人も
魚が疲れ果てて泳げないのに、荒い流れの中に強引に引っ張り込む釣り人を見ると
(あの人の下では絶対に働きたくないなー)って思います
よく釣る人は魚の泳ぐ能力に合わせて上手にコントロールしますね
元気なオトリは荒い流れにグイグイ引っ張り込みますが、疲れて泳げないオトリは比較的流れの緩い場所で泳がせたり、別のオトリと交換したり、魚を休ませたりと限界の手前でなんらかの対処をします
疲れたアユも、ほんの10分でも休ませれば、また泳ぎ出すんですけど、その10分がなかなか待てないんです
周りの釣り師がバンバン釣ってたりするとなおさら
最悪なのは疲れ果てて泳げなくなったオトリに鉛のオモリをいっぱい付けて、強引に激流に引っ張り込んで一か八かの一発勝負
まあ、それでたまーに釣れたりするんでやっちゃうんでしょうけど、釣れなかったらオトリは再起不能です。休ませても復活しません
キャリアのある人ならそんなこと解りすぎるくらいに解ってるはず。なんですけど、釣れなくて、頭に血が上るとやっちゃうんですね
他の漁協でサケのふ化場を担当していた職員が、ここ数ヶ月の間に相次いで2名も精神的に患って休職・退職してしまったみたいです
去年はサケが少なくて放流計画の卵数を確保するのが非常に難しかったので、おそらく、ものすごいプレッシャーを受けてのことだと思います
生真面目で一生懸命仕事に取り組む方々だったので、必要以上に責任を感じて、悩んでしまったのか・・・・・
なんとかできなかったのか、自分はなにか力になれなかったのかと
ただただ悔しい限りです